第1回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」の課題図書「ショウコの微笑」を持って微笑む最優秀賞を受賞した牧野美加氏=8日、ソウル、イ・ギョンミ撮影
[ソウル=イ・ギョンミ]
「最優秀賞の受賞者と決まったとのメールを見て、最初は信じられなかった。夢見てるのかと思った。賞を狙ったのではなかった」
第1回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」で最優秀賞を受賞した牧野美加氏は、ソウルで行われたコリアネットとのインタビューで受賞の感想を語った。
「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」は、優秀な新人翻訳家を発掘して韓国文学を広報し、日本内の「文学韓流」を拡散させるため開催された。K-BOOK振興会と株式会社クオンが共同主催し、韓国文学翻訳院が後援する。
「最初から最後まで何回か読んで、自分でしっかり消化してから日本語で誰かに説明するならどういう風になるか考えた。あまり原文と翻訳を違うようにしたらダメだと思ったので、その加減が難しかった」
韓国生活11年目の牧野氏は、広報誌などの翻訳経験はあるが、文学翻訳は初めて。事実をそのまま伝える広報誌や新聞とは違って文学の翻訳は、作家がその言葉を使った意図を解釈し、文学的な表現も必要だったから簡単ではなかったという。しかし、だからこそとても面白い作業だったという。
牧野氏は文学翻訳を本格的に勉強するため、韓国文学翻訳院で翻訳アカデミー授業を受ける。毎週水曜日に釜山(プサン)からソウルを訪れる。
韓国文学の魅力に関する質問に「韓国の小説の中には、社会的な問題や韓国の実際の社会の背景などが盛り込まれてるのが多い」と答えた。「(コンクールの課題図書である)『ショウコの微笑』にも通貨危機の際の話やセウォル号など現実の韓国の背景が入っている。だから、韓国小説を読むと韓国の様子が分かる。これからも韓国の文学が多く翻訳されることを期待する」
第1回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」の授賞式で感想を語る最優秀賞受賞者の牧野美加氏=21日、東京、駐日韓国文化院
去年10月から今年1月まで応募を受け付けた今回の翻訳コンクール。課題図書は7本の小説が収められているチェ・ウニョン作家の「ショウコの微笑」で、2016年に韓国で出版され、10万部以上売れた。特に、小説家が選んだ「今年の小説」1位に輝く話題作だ。コンクールには212人が応募し、授賞式は21日に駐日韓国文化院で開かれた。
審査員を務める韓国文学研究家兼翻訳家の吉川凪氏は、牧野氏の翻訳について「日本人読者が読んで分かりやすいようにという努力が感じられた。自然な文章だ」と好評した。台湾出身の日本小説家の温又柔審査員は「『オンマ』『ハラボジ』の使い方が心地よく、日本語で読む読者にとっていい意味での異国感も感じさせる作品だと感じた」と評価した。
牧野氏と他の受賞者らが翻訳する「ショウコの微笑」の日本語版は今年12月、日本で出版される予定。
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