ひと

2021.09.20


[イ・ジヘ、イ・ギョンミ、チョウ・ジェヨン]

[映像 = パリ・オペラ座バレエ公式YouTubeチャンネル]

今年6月10日、「ロミオとジュリエット」でジュリエットを初めて演じたパク・セウンさんは、オーレリー・デュポン舞踊芸術監督の推挙により、アレクサンダー・ネーフ総監督からエトワールに任命された。彼女は、パリ・オペラ座バレエ団に所属しており、352年の歴史を誇るバレエ団でアジア出身のダンサーがエトワールになったのは今回が初めてである。

エトワールとは、フランス語で「星」を意味する。パリ・オペラ座でエトワールの座は最高位のダンサーを指している。韓国の芸術界では元フィギュアスケート選手のキム・ヨナ、ビルボードチャートで1位を記録したボーイズグループのBTSと肩を並べる位の成果だという。彼女をエトワールに任命したオーレリー・デュポン舞踊芸術監督は「彼女はいつも真面目で謙虚であり、バレエのテクニックや芸術性が優れた完璧なアーティストである」とコメントした。

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7月22日に行われたコリアネットとのインタビュー後にポーズをとってもらった。=キム・シュンジュ撮影


7月22日、あるカフェでコリアネットのインタビューに応じたパクさんは「エトワールになったことについて最初は実感できなかったが、韓国でたくさんのお祝いをもらった時、初めて実感できた」と語った。

2011年に準団員としてパリ・オペラ座バレエ団に入団した時、エトワールの座は自分とは別世界のことだと思っていた。しかし、それから10年経った今、監督と同僚たちが実力を認めてくれたおかげで見事エトワールに任命された。パクさんは「エトワールになる資格がある」「この日がもっと早く来るべきであった」とよく言われたという。

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6月10日(現地時刻)パリバスチーユオペラで披露した「ロミオとジュリエット」の公演でのパク・セウンの踊り=Ballet Opera de Paris公式サイト


6月10日(現地時刻)パリバスチーユオペラで披露した「ロミオとジュリエット」の公演でのパク・セウンの踊り=Ballet Opera de Paris公式サイト 正団員の構成はカドリーユ、コリフェ、スジェ、プルミエ・ダンスール、エトワールの順で、計150人の中からエトワールに選ばれるのは16人のみ。パリオペラ座バレエ団は唯一の昇進制度を施行している。各段階ごとに踊れるダンスが決まっているため、ダンサーの中で、競争が激しい方だ。パクさんはプルミエ・ダンスールの昇進試験の時、ケガをおして試験を受けたが、失敗した経験がある。

プルミエ・ダンスールまでは昇進試験を通して選抜される。しかし、最高級のエトワールに任命されるには芸術監督と理事会の議論によって決まる。エトワールになるための条件についての質問に対してパクさんは「私もデュポン監督に聞いてみたい」と笑いながら答え、特に決まった条件はないようだ。また「同期のダンサーみんなが、エトワールになれる優れた実力を持っている。今回は、監督が追及する方向性や作品のイメージに、自分が運よく当てはまっただけ」と話してくれた。

エトワールに昇格すると様々なメリットが与えられるが、その中でも一番ワクワクするのは、自分が踊りたい作品の舞台で踊れることだという。 今までは10年間ずっと、キャスティングが決まった後に教えられていたが、エトワールになると監督が直接、どの作品に出たいか、誰と踊りたいかを優先してきいてくれる。パクさんは「これから私の得意な作品とやりたい作品でみなさんに感動を与えられるような公演を披露したい」と述べた。

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6月10日(現地時刻)パリバスチーユオペラで披露した「ロミオとジュリエット」の公演でのパク・セウンの踊り=Ballet Opera de Paris公式サイト


ソウル芸術高校と韓国芸術総合学校でバレエを専攻したパクさんは10代の時からアメリカのジャクソン国際バレエコンクールや、スイスのローザンヌ国際バレエコンクール、ブルガリアヴァルナ国際バレエコンクールなど世界4代バレエコンクールの中でトロフィーを3つ獲得してコンクールの女王とも呼ばれた。2018年にはブノワ賞という一番優れた女性舞踊賞を受賞した。生まれつきの天才に見えるかもしれないが、人一倍の努力を重ねている努力家だ。エトワールになった今でも、1日の練習時間が9時間を超えるという。

パクさんは韓国人であることが成長の原動力になったという。「フランス人が韓国について良いイメージを持っていて韓国人としてプライドを持ちながら踊ることができた」そして「韓国の国籍だと出られる公演が制限されていて、フランス帰化についての誘いも受けたことがあるが、一度も考えたことがなかった」と述べた。

コリアネット所属のフランス名誉記者団がパクさんを応援していると伝えると「私の努力が認められる感じで、とてもありがたいです。これからも観客からたくさんの声援をもらえるダンサーになりたいです」と、これからの抱負について話してくれた。韓国の方々には「遠い所で活動していますが、忘れずに応援よろしくお願いします。来年の夏には韓国での公演もあるので、その日劇場で会いましょう」と挨拶を送った。

shaadiya1223@korea.kr