ひと

2023.09.21

ハ・イルグォン作家が2012年に連載を始めた「放課後戦争活動」のワンシーン。未確認外界細胞球体が出没し、学生たちが予備軍になって戦うSF・スリラーウェブトゥーン。3月にはティービング・オリジナルシリーズとして公開された=ハ・イルグォン作家

ハ・イルグォン作家が2012年に連載を始めた「放課後戦争活動」のワンシーン。未確認外界細胞球体が出没し、学生たちが予備軍になって戦うSF・スリラーウェブトゥーン。3月にはティービング・オリジナルシリーズとして公開された=ハ・イルグォン作家


[ユ・ヨンギョン]

「夢を見ずに、幸せに暮らす人生も、夢のために努力する人生と同じように価値があり大切だということに気づいた。それ以来、もう夢をテーマにする作品は描いていない」

13のウェブトゥーンと50冊余りの出版、2019年大韓民国コンテンツ大賞 漫画部門 文化体育観光部長官賞を含む7回の受賞。河壹權(ハ・イルグォン)作家は、デビュー作「サムボン理髪店」(2006)から「3段合体キム・チャンナム」(2008)、「アンナラスマナラ」(2010)、「お風呂の神様」(2011)、「放課後戦争活動」(2012)まで、連載する作品が全て大ヒットすることから、「信じて読むハ・イルグォン」、「ウェブトゥーン大統領」、「演出の神様」などのあだ名がついた。

「お風呂の神様」を連載するまでは、主に「夢」をテーマに作品を描いていた。だが「放課後戦争活動」を始めに、これまで触れたことのなかったテーマで作品を描き始めた。コリアネットはジャンルとテーマにとらわれず、自身の作品の領域を自由に広げるハ作家にインタビューを行った。

- 「サムボン理髪店」、「3段合体キム・チャンナム」、「お風呂の神様」など、ごくありふれた素材を、クリエイティブなアイデアで作品につなげると好評だ。作品のインスピレーションは主にどこから得るのか?

日常の中から得る方だ。漫画家の一日はとてもシンプルだ。変わらない毎日の中で、新しくない毎日の中で、創作活動をしなければならないため、日常の些細な出来事でも、ネタにしようとする。日々の経験を違う観点から見ると面白い素材にならないだろうかと、いつも考えている。

- 「アンナラスマナラ」、「放課後戦争活動」、「サムボン理髪店」など実写化された作品が多い。原作者として各作品をどう見たのか気になる。

自分の作品が他の形でリメイクされるのは、原作者にとって大きな喜びだ。もちろん作品もすべて面白かった。2次創作された作品は、もはや私の手を離れた作品であり、他の監督たちの解釈が入って再製作されたものだ。私の作品を、他のクリエイターの方々はどのように再解釈して、リメイクしたのかを見るが楽しみだ。

ハ・イルグォン作家が2010年に連載した「アンナラスマナラ」は2002年、ネットフリックス・オリジナル・ミュージックドラマとしてリメイクされた。公開2日でネットフリックスのテレビ番組部門で、グローバル4位にランクインし、バングラデシュ、インドネシア、ヨルダンなど13カ国でトップに立った。ウェブトゥーン原作のシーン(左)とネットフリックス広報ポスター=ハ・イルグォン、ネットフリックス

ハ・イルグォン作家が2010年に連載した「アンナラスマナラ」は2002年、ネットフリックス・オリジナル・ミュージックドラマとしてリメイクされた。公開2日でネットフリックスのテレビ番組部門で、グローバル4位にランクインし、バングラデシュ、インドネシア、ヨルダンなど13カ国でトップに立った。ウェブトゥーン原作のシーン(左)とネットフリックス広報ポスター=ハ・イルグォン、ネットフリックス


- 「夢」を素材にした作品が多いがどうしてか。

しばらくの間、「夢」は私が描く漫画のメインテーマでもあり、私の人生でも最も重要な価値観だった。「夢」という単語を耳にするだけで、ドキドキしたりわくわしていたので、素晴らしいものだと思っていた。しかし、年を取り、時間が経ち、時代が変化することによって、夢に対する価値観が若干変わったようだ。一番ショックだったのは、夢を見ながらその夢を叶えようとする人が、現実にはそれほど多くないということだった。みんなが人生を捧げて叶えたい夢があり、その夢を叶えるためにすべてを犠牲にして生きているわけではないということだ。そして夢を見ずに幸せに生きる人生も、夢のために努力する人生と同じように価値があり、大切だということを悟った。

- 作品のコメント欄をよく確認する方ですか? 記憶に残るコメントはありますか?

以前は、ほぼすべてのコメントを確認していたが、最近は、軽く目を通すくらいだ。記憶に残るコメントが特にあるわけではないが、好きなタイプのコメントはある。漫画を読んだ感想を長く書いてくださるのもとてもありがたいが、ただ「笑笑」のように本能的で率直に書かれたコメントが好きだ。それだけ漫画が面白かったということだから。

ハ・イルグォン作家が2006年に連載した「サムボン理髪店」のワンシーン=ハ・イルグォン

ハ・イルグォン作家が2006年に連載した「サムボン理髪店」のワンシーン=ハ・イルグォン


- ウェブトゥーンがKコンテンツとして浮上したが、ウェブトゥーンの著作権に対する関心はそれほど高くないのが実情だ。ウェブトゥーン作家として著作権保護において、最も重要な部分は何だと思うか。

最も重要なのは読者の認識だと思う。不法サイトを利用せずに、作家のことを思いながら正式なルートでウェブトゥーンを楽しむ方々が増えることが重要だと思う。

- デビュー18年目のウェブトゥーン作家として、K-ウェブトゥーンの魅力は何だと思うか。

インターネットとモバイルの発展に伴って、漫画の形が流動的に変化し、成功的に定着したというのが一番大きな魅力であり強みだと思う。過去には登壇と正式連載の壁がかなり高かったが、ウェブトゥーンがそのハードルを低くし、はるかに多様で斬新で形破りな作品を連載できるようになった。それが、ウェブトゥーン成功のカギになったと思う。

- ウェブトゥーンにまだなじみのない外国人に、最も紹介したい作品は。

「アンナラスマナラ」をおすすめしたい。もちろんネットフリックスで映像化されたので、アクセスも容易だが、個人的にウェブトゥーンのスクロール演出に力を入れた作品なので、ウェブトゥーンの魅力をもう少し感じることができると思う。


dusrud21@korea.kr