ひと

2023.12.11



[ユン・ソジョン、ユン・スンジン]
[写真=キム・スンジュ]
[映像=キム・スンジュ、イ・ジュンヨン]

「国賓訪問を契機に韓国とオランダは新しいステップに進み、両国関係を拡大・深化させ、パートナー関係を導いていく未来動力を得られるだろう」

ペーター・ヴァン・ザ・フリート(Peter vander Vliet)駐韓オランダ大使は11日から4日間行われる尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のオランダ国賓訪問について、「1961年に国交を樹立して以来、初めての韓国首脳の国賓訪問」とし「両国にとって歴史的な瞬間になるだろう」と期待感をのぞかせた。

フリート大使は、韓国の文化にも多くの関心を示した。大使は、妻と一緒にネットフリックスで韓国のドラマをよく見るとし「愛の不時着」、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」などを好きな作品として挙げた。

フリート大使は、ヘンドリック・ハメル(Hendrik Hamel、1630-1692)と故郷が同じであり、自身が韓国に赴任していることを特別に思っていると話した。ハメルはオランダ東インド会社所属の船員として朝鮮をヨーロッパに初めて紹介した紀行文「ハメル漂流記」の著者であり、両国間の歴史的つながりとなる人物だ。彼は1653年、日本の長崎に向かう途中、済州島に漂流し、13年間朝鮮に住んだ。その後、故国に帰り自らの経験をもとに本を書いた。

インタビューが行われたソウル・城北区(ソンブクク)にある駐韓オランダ大使官邸は、クリスマスツリーが飾られ、クリスマスの雰囲気にあふれていた。特に自転車、チューリップ、オレンジ色のリボンなどオランダを表す飾りと家具、花瓶などオランダのデザイナーの作品が目を引いた。

以下は今月7日、フリート大使とのインタビュー全文。


駐韓オランダ大使官邸で、尹錫悦大統領の国賓訪問の意味と両国の協力について説明するペーター・ヴァン・ダーフリート駐韓オランダ大使=7日、ソウル・城北区(ソンブクク)

駐韓オランダ大使官邸で、尹錫悦大統領の国賓訪問の意味と両国の協力について説明するペーター・ヴァン・ダーフリート駐韓オランダ大使=7日、ソウル・城北区(ソンブクク)


- 尹錫悦大統領が11日から4日間、オランダを国賓訪問する。国賓訪問の意味を説明してほしい。

いずれも今回の訪問に対する期待が大きい。1961年の国交正常化以来、韓国首脳の初の国賓訪問であるため、両国にとって歴史的な瞬間になるだろう。オランダと韓国は自由、民主主義、法治という普遍的価値を追求する類似の立場にある国であり、先端技術を保有する先進国であり中堅国家である。我々は貿易と革新に重点を置いて協力してきており、半導体分野で特別かつ補完的な役割を果たしている。 また、スマート農業、再生可能エネルギーなどの分野でも協力を行ってきた。

両国関係は伝統的に交易に重点を置いてきたが、最近は地政学的な部分の重要性が高まっている。尹大統領の国賓訪問を機に、韓国とオランダは新たなステップに進み、関係を拡大・深化させ、パートナー関係を築いていく未来動力を得ることになるだろう。

- オランダ政府が韓国と協力を強化したいと思う分野は何か。

半導体分野が両国の協力に最も大きなシェアを占めている。半導体生産装備を専門にするオランダの企業が三星(サムスン)、SKなど韓国の先進半導体製造企業と緊密に協力しており、この協力をさらに深めていこうとしている。

その他にも持続可能エネルギー、農業など幅広い分野で協力し、相互補完できる潜在力が大きい。両国は開放性の大きい経済国家として経済安保分野で共通的な価値を共有するため、グローバルサプライチェーンのバリューチェーンを強化させることができる。

- 韓国人にとってオランダは「フース・ヒディンク監督の国」「フィンセント・ファン・ゴッホとうさぎのキャラクターであるミッフィーの故郷」として親近感を持っている。オランダでは韓国に対してどのようなイメージを持っているか。

オランダ人が韓国に対して抱くイメージは、非常にダイナミックな国、クリエイティブでイノベーティブな強国だ。自動車、スマートフォンなど韓国製品について本当に素晴らしいと思っている。最近は、Kカルチャーがどのようにして、世界的に高い地位を得たのか、その秘訣に注目している。K-POP・K-ムービー・ドラマなどのソフトパワーに支えられ、韓国は世界で最も「ヒップでトレンディーな国」になった。韓国人のイノベーティブかつグローバルなマインドが成功のカギだろう。

- オランダの国民は、韓国文化のどのような面に興味を持っているか。

BTS、BLACKPINKなどのK-POPは、オランダでも大人気だ。ドラマや「パラサイト 半地下の家族」などの映画も人気が高い。私と妻が好きなドラマである「愛の不時着」や「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」も韓国の作品だ。

最近では「82年生まれ、キム・ジヨン」や韓江(ハン・ガン)作家の作品など韓国の文学も人気が高まっている。これらの作品はいずれも完成度が高く、韓国の社会像を映し出す鏡の役割を果たしている。登場人物は、説得力のあるモノローグで経済的・歴史的な背景を伝えてくれる。韓国人は、言葉で表現することが本当に上手だと思う。

- 韓国人に紹介したいオランダ文化は何か。


オランダはデザイン分野でかなり進んでおり、未来志向的な韓国人の好みにもよく合っているようだ。オランダのデザイナーの作品は単に見た目だけでなく、実生活の中での問題解決を追求している。毎年10月、オランダのアイントホーフェン(Eindhoven)で開かれる「ダッチ・デザイン・ウィーク(Dutch Design Week)」というイベントでは、このようなイノベーティブな精神にあふれた作品に出会うことができる。

オランダ人はダンスとDJの分野でも頭角を現している。世界的に有名なDJの中には、オランダ出身が数多くいる。また、自転車もオランダの文化に欠かせないものだ。オランダは「世界一の自転車大国」と呼ばれるほど自転車が多い。さらに、「オランダ人は、歩くよりも先に自転車の乗り方を覚える」という冗談があるほどだ。オランダでは、人口より自転車の数がはるかに多い。

- 今年は韓国戦争休戦70周年を迎える年だ。韓国戦争の参戦国として、オランダは休戦70周年をどのように記念しているか。

オランダが韓国戦争参戦は、両国が交わしたもう一つの意味深い歴史だ。5000人以上の兵士が参戦し、120人が戦死した。韓国の国家報勲部長官が7月、オランダの参戦勇士と家族を韓国に招待し、休戦70周年の行事を開催した。非常に意味深い行事であり、報勲部に感謝の意を表したい。昨年は、オランダの参戦勇士2人が釜山(プサン)にある国連記念公園に埋葬された。機会があれば、近いうちに国連記念公園に行ってみるつもりだ。

- 今年8月に赴任したが、韓国赴任期間に果たしたいと思う役割や計画は。

オランダと韓国の良い関係と友情を維持し、発展させるために努力したい。また、韓国の歴史や文化など、韓国についても学び、いろいろな場所を訪れたい。特に、ソウル-釜山まで633キロに達する有名な自転車道路を自転車で走ってみたい。

今回の韓国赴任がさらに特別な理由は、私の出身地がヘンドリック・ハメルと同じだからでもある。私の故郷にはハメル博物館と銅像がある。済州道にもハメル記念碑があると聞いたが、ぜひ直接行って見たい。

- コリアネットの読者に伝えたいメッセージは。

オランダと韓国は地理的に遠く離れているが、同じ利益と価値を追求し、緊密な関係を保っている。我々は東アジアだけでなく、より広い太平洋地域の繁栄と安定を共に目指すことができる合理的なパートナーである。これがまさに私たちを一つにしてくれる力だ。

駐韓オランダ大使官邸で行ったインタビューで、「ハメルと同じ故郷の出身なので、韓国赴任がさらに特別に感じる」とし、「韓国の歴史や文化についてもっと学びたい」と述べたペーター・ヴァン・ダーフリート駐韓オランダ大使=7日、ソウル・城北区(ソンブクク)

駐韓オランダ大使官邸で行ったインタビューで、「ハメルと同じ故郷の出身なので、韓国赴任がさらに特別に感じる」とし、「韓国の歴史や文化についてもっと学びたい」と述べたペーター・ヴァン・ダーフリート駐韓オランダ大使=7日、ソウル・城北区(ソンブクク)


arete@korea.kr