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2025.09.15

世界的なシンドロームを巻き起こした『K-POPデーモン・ハンターズ』のメギー・カン監督。写真は、CGV龍山アイパークモールで行われた来韓記者会見で、取材陣の質問に耳を傾けるメギー・カン監督=22日、ソウル、Netflix

世界的なシンドロームを巻き起こした『K-POPデーモン・ハンターズ』のメギー・カン監督。写真は、CGV龍山アイパークモールで行われた来韓記者会見で、取材陣の質問に耳を傾けるメギー・カン監督=先月22日、ソウル、Netflix


[ソウル=ソ・エヨン]

「すべての人は愛されたいし、認められたいと思っています。キャラクターが持つ恐怖や成長のストーリーが観客の心に響いたのだと思います。」

Netflixアニメ映画『K-POPデーモン・ハンターズ』のメギー・カン監督は、先月22日にソウル・龍山(ヨンサン)区のCGV龍山アイパークモールで行われた来韓記者会見で、作品が大ヒットした秘訣について次のように語った。

彼女は、本作が世界的なシンドロームを巻き起こした理由を「誰もが共感できるストーリー」にあると分析。国境を越えて観客の心をつかんだのは、普遍的な感情が込められているからだと述べた。

ソウル生まれのメギー・カン監督は、5歳のときにトロントへ移住した韓国系カナダ人だ。

「ドリームワークス・アニメーションの『シュレック フォーエバー』や『カンフー・パンダ3』などの作品に関わった経験を持ち、長編映画の初監督作品として『K-POPデーモン・ハンターズ』を手がけた。

『K-POPデーモン・ハンターズ』は、K-POPのガールズグループでありながら悪霊退治も行う「HUNTR/X」が、ボーイズグループであり悪霊でもある「サジャボーイズ」と戦い、世界を救いながら自分自身を見つけていく物語だ。企画から公開に至るまで、7年を費やした。

今年6月20日に公開され、Netflixアニメーション史上最大のヒット作となり、Netflix全体の映画ランキングでも、従来の1位であった『レッド・ノーティス』(2021年)を抜いて、視聴ランキング1位となった。

メギー・カン監督は『K-POPデーモン・ハンターズ』の制作にあたり、「韓国の文化と感性をありのままに表現することに最も重きを置いた」と語った。「海外で制作された韓国関連コンテンツには誤った描写が多く、それを正し、韓国という国を正確に伝えたかった」とその思いを明かした。K-POPアイドルをはじめ、韓国の伝統や巫俗信仰(ムーダン)などを細かく考証し描写したのも、このような意図によるものである。

「他人の目を気にしたり、観客の期待に合わせようとした瞬間、真実性は失われてしまいます。そしてそれを誰よりも先に観客が見抜くのです。韓国の文化が世界に広がり、より多くの人に愛されるためには、ありのままの姿を自信を持って見せることが重要であると考えています」と語った。

CGV龍山アイパークモールで開かれた来韓記者会見で、取材陣の質問に答えるメギー・カン監督(中央)=22日、ソウル、Netflix

CGV龍山アイパークモールで開かれた来韓記者会見で、取材陣の質問に答えるメギー・カン監督(中央)=先月22日、ソウル、Netflix


『K-POPデーモン・ハンターズ』は音楽面でも数々の新記録を打ち立てた。主題歌「Golden」は、イギリスのオフィシャル・シングルチャート「トップ100」とアメリカのビルボード・メインシングルチャート「Hot 100」で同時に1位を獲得した。また、「Your Idol」、「Soda Pop」、「How It’s Done」も「Hot 100」でトップ10にランクインした。映画のオリジナル・サウンドトラック(OST)から4曲が同時に「Hot 100」のトップ10にランクインしたのは、ビルボード史上初の快挙である。

メギー・カン監督はOST「Golden」について、「主人公ルミの願いや情熱を込めた代表曲であり、映画の中でも非常に重要な楽曲でした」と語り、制作過程で最も苦労した曲だったと振り返った。さらに、「7~8回のバージョンを重ねた末に、最終的な曲を聴いた瞬間、『これだ』という確信が湧き、思わず涙がこぼれました」と明かした。

メギー・カン監督は続編の構想についても言及し、「多くのファンが待ってくれていることはよく分かっています。まだ正式に決まったわけではありませんが、アイデアはあります。トロットをはじめとした韓国の様々な音楽ジャンルを取り入れて、より幅広い“韓国の音楽”の魅力をお届けしたいと考えています」と語った。

海外メディアが『K-POPデーモン・ハンターズ』を有力なアカデミー賞候補となっていることについて、メギー・カン監督は笑顔を浮かべながら次のように語った。

「もちろん、誰もが賞を獲るためだけに作品を作るわけではありません。しかし、どのような形であれ評価していただけるなら、それは非常に意義深く、何よりも光栄なことだと思います。」

国立中央博物館を訪れ、ユ・ホンジュン国立中央博物館長とともにデジタル没入型映像館で映像を鑑賞するメギー・カン監督(左)=21日、ソウル、シャルル・オデゥアン

国立中央博物館を訪れ、ユ・ホンジュン国立中央博物館長とともにデジタル没入型映像館で映像を鑑賞するメギー・カン監督(左)=先月21日、ソウル、シャルル・オデゥアン


一方、先月21日、メギー・カン監督は『K-POPデーモン・ハンターズ』に登場する韓国伝統文化関連のグッズが大きな注目を集め、来館者が急増している国立中央博物館を訪れた。

メギー・カン監督は、劇中キャラクター「ダフィー(トラ)」のぬいぐるみをユ・ホンジュン国立中央博物館長にプレゼントし、「韓国の伝統文化への関心を一層高めながら、内に秘めた韓国のアイデンティティを現代の創作物に取り入れる試みを今後も続けていきたい」と語った。

『K-POPデーモン・ハンターズ』は今月17日に開幕する第30回釜山(プサン)国際映画祭で、観客が映画の楽曲を一緒に歌うシンガロング上映が予定されている。メギー・カン監督も釜山国際映画祭に訪れ、観客と体験を共有する特別プログラムに参加する見込みだ。

xuaiy@korea.kr