インタビュー後、写真撮影に応じる釜山外国語大学のイ・ドンフンさん=9日、釜山、イ・ジヘ
[イ・ジへ]
「参加費40万ウォンが払えないので、今シーズンは出場できない」と告げられた瞬間、釜山外国語大学に通う22歳のイ・ドンフンさんは、胸は強く締めつけられる思いがした。イさんは、はアフリカ・マラウイの3部リーグに所属するサッカーチーム「チズムル・ユナイテッドFC」のオーナーである。普通、サッカーチームのオーナーといえば、豊富な資金や専門的な知識を備えた人物を思い浮かべるだろう。しかし、イさんはそのどちらにも当てはまらない。ただ、目の前の現実から目を背けず、行動を起こした。その結果、彼は人口わずか約4000人、マラウイ湖に浮かぶ小さな島へと導かれたのだった。
すべては、2023年夏の旅から始まった。「アフリカ各国を巡りながら、あまり知られていないサッカーチームを探していました。動画を撮るのが目的でした」
そこで耳にしたのが「チズムル」という名だった。マラウイ本土から80キロ以上離れた小さな島に拠点を置く、ほとんど無名のチームである。人口4000人ほどの島にサッカーチームが存在するとはにわかに信じがたく、イさんは実際に確かめようと船に乗って島を訪れた。
島で彼が目にしたのは、砂や石だらけのグラウンドだった。パイプ製のゴールにはネットもなく、ユニフォームすらない。練習試合では、片方のチームの選手たちが上半身裸でプレーしていた。中にはプラスチック製の靴でボールを蹴る選手もおり、強い日差しにさらされると、靴がふにゃふにゃになってしまうほどだった。
撮影は終わったが、その光景は心に深く刻まれた。「カメラを止めても、頭の中の映像は消えませんでした」
イ・ドンフンオーナーが用意したユニフォームを着て記念撮影に臨む、マラウイの「チズムル・ユナイテッド」の選手たち=2025年8月22日、イ・ドンフン
韓国に戻ったイさんのもとに届いた知らせは、あまりにも絶望的なものだった。「今シーズンはリーグに出場できない」というのだ。その理由は、参加費の40万ウォンが払えないからというものだった。イさんは自腹で資金を送ったが、悩みはそこから始まった。「一度助けるのは簡単。でも、その次はどうすればいいのか」
彼は、この問題を「貧困」ではなく「仕組みの問題」と捉えた。「遠征に行くには船を使う必要がありますが、燃料費が非常に高いのです」マラウイは海に面していない内陸国のため、燃料はすべて輸入に頼らざるを得ず、隣国の港を利用するための費用もかかる。さらに、通関手続きが複雑なことから、コストは一層膨らむ。こうした構造的な問題が、交通費や物価の上昇を招き、その負担が選手たちに重くのしかかっている。
ほとんどの選手は漁師だ。「魚はたくさん獲れますが、島では売る場所がありません。売るには船で80キロ離れた本土まで行く必要があり、交通費もかかります」少し間を置き、イさんは続けた。「いくら働いても、思うように稼げない仕組みになっているのです」
一度きりの支援では何も変わらない。そう考えたイさんは、責任を持つ立場として、自らクラブのオーナーになることを決断した。
「チズムル・ユナイテッド」が「ウンベルワ・ウォリアーズ」と対戦する様子=2025年11月13日、マラウイ・チズムル島、チズムル・ユナイテッド公式フェイスブック
イさんは企業にメールを送り、チームの現状を説明して、支援を求めた。「正直、あまり期待はしていませんでした」しかし、大学生オーナーの熱意が状況を一変させた。現在では9社が支援に応じ、選手たちはユニフォームを着て、サッカースパイクを履き、練習できる環境が整っている。
チズムル・ユナイテッドのYouTubeチャンネル『창박골(チャンバッコル)』(
https://www.youtube.com/@changbakgol)の登録者数は13万人を超え、財政もある程度安定している。それでもイさんは慎重だ。「今だけでなく、10年後、20年後もチームを存続させるにはどうすればいいか、常に考えています」と語る。
イさんは、サッカーが島を変える力になると信じている。「チズムル・ユナイテッドが1部リーグ(スーパーリーグ)に昇格すれば、島の様子も変わるでしょう。他のチームが遠征に来たり、サッカーファンが試合を見に来れば、自然と経済も回るはずです」
そして、チームの選手たちがマラウイ・スーパーリーグを経て、韓国やヨーロッパといった大きな舞台で活躍する姿を見ることが、彼の目標だ。「もちろん、不確定な要素はまだ多くあります。でも、自分にできることを尽くして、このリーグを育てていきたい」と語る。
ちゃんとしたサッカースパイクもなくボールを蹴っていた選手たち。その姿を見過ごさなかった一人の若者の挑戦は、今も続いている。
jihlee08@korea.kr