
フィリピン・イロイロ州シニバアン地域の用水路工事現場に「セマウル」と書かれた旗が立っている
フィリピン・イロイロ(Iloilo)州シニバアン(Sinibaan)地域には貯水池や揚水施設がないため、雨が降らない限り農業を営むことができなかった。しかし、これからは干ばつに見舞われても心配する必要がなくなった。住民らが勤勉・自助・協同の「セマウル精神」で一丸となり、安定的に農業用水を確保できる揚水機と用水路を設置したからだ。
(セマウル運動:1970年代に韓国で行われた農村振興運動をモデルにした地域開発運動。「セマウル」は「新しい村」の意。)
この地域に用水路が設置されたのは「セマウル・モデル村造成事業」のおかげだ。韓国農村振興庁は2015年からイロイロ州で稲の優良種子生産と普及に向けたモデル村を造成してきた。

フィリピン・イロイロ州シニバアン地域の用水路工事現場の様子
農村振興庁はセマウル運動を海外におけるODA(政府開発援助)事業と連携した海外農業技術開発事業(Korea Program on International Agriculture, KOPIA)の一環として、セマウル・モデル村の造成事業を推進してきた。同事業は、韓国の農業技術と開発経験とともにセマウル運動の勤勉・自助・協同の精神を各国の農家と共有し、農家の所得拡大および自立基盤構築の方策を模索する事業だ。
現在、アジア9カ国(ベトナム、ミャンマーなど)、アフリカ6カ国(ケニア、アルジェリアなど)、中南米19カ国でKOPIAセンターが設置・運営されている。このうち、セマウル・モデル村事業が推進されているのはフィリピン、カンボジア、スリランカ、パラグアイ、ケニアの5カ国。
セマウル・モデル村造成事業は、作物の生産性向上など実質的な成果を収めている。2015年からモデル村の造成が始まったフィリピンやカンボジアがその代表例だ。稲の優良種子の生産・普及に向けて造成された3つのモデル村と200余りの農家では、稲の生産量がヘクタール(ha)当たり3.8tから4.5tに増加した。タマネギの優良種子の増殖・普及の目標を掲げ造成されたスリランカのモデル村3カ所では、タマネギの生産量がヘクタール(ha)当たり14tから25tへと増加した。

ケニアの住民や学生たちが農村振興庁の農業技術教育に参加している。農村振興庁は今年からケニア・キアンブ地域の3つの村をセマウル・モデル村に造成する予定だ
ケニアでは今年からキアンブ(Kiambu)地域の3つの村がセマウル・モデル村として造成される。農村振興庁は、ケニア農家の主要所得源創出に向けニワトリとジャガイモの優れた品種の普及に乗り出す。このためにケニアの農林水産部、農業研究庁と連携し、村別にジャガイモの優良種子増殖団地2~3カ所を造成、自主生産・普及システムを構築する計画だ。
コリアネット チャン・ヨジョン記者
写真:農村振興庁
翻訳:イ・ジンヒョン
icchang@korea.kr