韓国の行政モデルが国境を越え、世界の注目を集めている。行政安全部は先月、93カ国の外交使節団に向けて韓国の公共行政における革新的な取り組みを紹介し、「行政韓流」の可能性を示した。コリアネットでは、災害管理や スマート農業、山林復元、行政都市の建設など、韓国政府が推進する五つの革新事例を、全5回にわたって取り上げる。
豪雨の影響で、東部幹線道路の車両通行が全面規制されている=2025年8月13日、ソウル、聯合ニュース
[ソウル=テレシア・マーガレット]
韓国政府は人工知能(AI)を活用し、洪水をはじめとする水害対応体制の高度化と、災害管理のデジタル化を加速させている。
気象変動に伴い、予測困難な豪雨が常態化する中、政府は道路冠水想定箇所をリアルタイムで通知するなど、AIを活用した安全対策ネットワークの整備に力を入れている。
韓国の夏季には、東アジアから流入する湿潤な空気により、長期にわたる梅雨が訪れる。例年6月から7月末まで続き、地域によっては強い雨が降り続くこともある。台風が重なると、河川の氾濫や都市の浸水リスクがさらに高まる。
科学技術情報通信部と気候エネルギー環境部は、浸水リスクに備え、デジタルプラットフォームを活用した「AI洪水予報システム」を整備した。
このシステムは、降雨量や水位データを10分周期で自動分析する。危険が検知されると、物理モデルによる検証を経て、特別警報を発令するかどうかを判断する。最終的な判断は、AIが導き出した精密なデータに基づき、予報官が下す。 AIを高度な専門的判断の補助として活用している。
現場での対応力も大幅に強化された。科学技術情報通信部はナビゲーション企業と連携し、運転者が特報区域やダム放流区間に進入した際、すぐに音声や通知で警告を受け取れる仕組みを構築した。従来のテレビ放送や緊急速報メールによる受動的な情報伝達とは異なり、市民が日常的に利用するメディアを通じて、リアルタイムに災害情報を共有できる体制が整った。
EU、中国、日本など93カ国の外交団が漢江洪水統制所を訪れ、AIを活用した洪水予測・予報システムのデモンストレーションを視察した=2025年12月4日、ソウル、テレシア・マーガレット
政府は2024年7月から、ネイバーマップやカカオマップを含む主要6つのナビゲーションアプリで「洪水危険リアルタイム通知サービス」を開始した。これは、短時間の集中豪雨により、地下道や低層道路での浸水被害が相次いだことを受けた緊急の対応だ。昨年には、情報提供の対象を河川氾濫の直前段階にあたる「洪水情報深刻段階」まで拡大し、現在は全国933地点に詳細な監視網を張り巡らせ、稼働させている。
科学技術情報通信部は、現在の土砂災害情報に加え、来年からは地盤沈下や常習的浸水地域といった他の災害要素にも対象を広げる計画だ。
同部は、「コロナ禍における官民協働型の情報公開システムが、 現在の災害対応の基盤となった」と述べ、今後も国民の安全を最優先に掲げ、デジタル災害対応システムのさらなる高度化を推進する考えだ。
margareth@korea.kr