韓国の研究チームが寒さに適用できるイネの栽培技術を開発した。
極地研究所とヨンセ(延世)大学の研究チームは、南極で栽培された植物から寒さに適応できる遺伝子を分離させることに世界で初めて成功した。海洋水産省は6月1日、研究チームがこの遺伝子をイネに適応させたところ、冷害への抵抗性が5倍も高まったことを明らかにした。
2011年から極寒の気候にも適応できる南極の固有生物を研究してきた研究チームは、イネ科に属するナンキョクコメススキから低温適応遺伝子「DaCBF7」を分離させた。
南極は真夏でも氷が溶けず、極夜や白夜、強い紫外線などの影響で植物の生育には適していない。ここで花を咲かせる植物は、ナンキョクコメススキとナンキョクミドリナデシコの2種類だけで、このところの地球温暖化の影響でそれらの個体数は増加傾向にある。
南極世宗科学基地の周辺に生息するナンキョクコメススキ
ナンキョクコメススキの主要生息地である南極のバトン半島は、夏の平均気温が0~4℃で、秒速10メートル前後の風が吹くため体感温度はもっと低い。ナンキョクコメススキの最適な成長温度は13℃だが、0℃でも30%の光合成能力を維持できるほど適応力が高く、細胞の損傷を防ぐ結氷防止タンパク質の遺伝子を持っている。
ナンキョクコメススキの遺伝子「DaCBF7」を導入したイネで実験した結果、摂氏28度では外形と成長速度に一般のイネと大きな違いは見られなかった。しかし、低温では生存能力が顕著に向上した。深刻な冷害を誘発する可能性の高い摂氏4度で8日間培養したところ、一般のイネは11%しか生き残らなかったのに対し、遺伝子を変形させたイネは平均54%、最高で79%の生存率を見せた。遺伝子「DaCBF7」がイネの抵抗性を著しく高める可能性があることが証明されたのだ。
低温適応実験で、遺伝子を変形させたイネ(右)の生存率は一般のイネ(左)に比べ平均5倍高かった
極地研究所のイ・ヒョンソクさんは、「植物の冷害被害を防げる遺伝資源(DaCBF7)を発見した。該当遺伝子を一般のイネに導入して実験した結果、冷害に5倍強くなることが確認された」と話す。
この研究結果は、植物学分野の専門学術誌『Plant Science』のホームページに掲載されている。( (
http://www.sciencedirect.com/science/journal/01689452)
コリアネット イム・ジェオン記者
写真提供:極地研究所
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