大規模な灌漑工事などにより10分の1の大きさに縮小し、塩化アンモニウムの影響で巨大な塩砂漠と化したアラル海。韓国山林庁の国立山林科学院は近隣住民の被害を防ぐため防風林を造成して周辺土壌の生態系を復元する方法を提示した
山林庁の国立山林科学院が中央アジア諸国の地域協力戦略として「アラル海の飛砂防止および生態系復元事業」を選定した。
ウズベキスタンとカザフスタンの国境に位置するアラル海は過去に世界で4番目に大きな湖だったが、1960年代に農業生産量の増大を図ろうと近くの水資源にダムを設置して以来、その大きさは10分の1にまで縮小した。アラル海の主な水資源であるシルダリヤ川とアムダリヤ川の河口部で綿花と穀物の生産量を増やす目的で大規模な灌漑工事が始まり、大量の取水が行われたことで広範囲にわたる陸地化が進んだ。巨大な塩砂漠と化したアラル海で発生した1億5,000トン以上の塩化アンモニウムが1,000km以上移動し、近隣住民の健康と農業に大きな被害をもたらしている。
中央アジア5カ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)は1992年、水資源利用と保護のための管理協定を締結し、共同の水資源委員会とアラル海を蘇らせるための国際基金を設立するなど、アラル海流域の環境問題の解決と社会経済的な発展に向けて努力してきた。しかし、水資源上流国と下流国の間で利害が対立したことで容易に解決策を見出せない状況。
国立山林科学院の研究チームは「地域別・国別の国際山林協力戦略開発」の研究において、アラル海を復元する代わりにアラル海周辺土壌の生態系を復元する方法を示した。これは現地の衣服を改良して飛砂する塩化アンモニウムから人体を守り、防風林を造成することで近隣住民の被害を根本的に解決しようというもの。
国立山林科学院の国際山林研究科の関係者は「干上がったアラル海に緑地をつくり、新たな暮らしの基盤が完成すれば、塩化アンモニウムによる住民の苦情を解決できるだけでなく、ここを離れていった住民たちも再び戻ってくるはずだ」と期待を寄せた。
コリアネット キム・ヨンシン記者
写真:山林庁
翻訳:イ・スミン
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