[ソウル=キム・ヨジン、イ・ギョンミ]
[映像=国立中央図書館]
「東医宝鑑」は、朝鮮時代最高の医学書であり、韓国の国宝に指定されている。また、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産にも登録されており、一般の人が実際の書を直接読むことは、容易ではない。もし読む機会があったとしても、その内容は、すべて漢字で書かれているため、一般の人には理解が難しいだろう。
だが、そんな貴重な資料を、ページをめくりながら読める場所がある。また、漢字で書かれた原文を、分かりやすく翻訳もしてくれるため、一般の人でも読むことができるのだ。そんな夢のような場所とは、一体どこなのであろうか。答えは、ソウルの国立中央図書館にある「実感書斎」である。
ソウルにある国立中央図書館の地下3階には「実感書斎」という場所がある。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった先端技術と図書館のコンテンツを融合し、それを楽しめる体験空間である。まさに、未来の図書館を体験することができる。
実感書斎は、収蔵庫3次元映像・図書館検索の未来・インタラクティブ地図・デジタルブック・VR図書館の5つのコーナーからなっている。
デジタルブック=キム・シュンジュ撮影
最も人気のあるところは、デジタルブックコーナー。「東医宝鑑」「武芸図譜通志」(朝鮮時代に編纂された兵書)といった昔の書籍を、先端技術を駆使して体験できるようにした。
大きなデジタルブックとして新しく作られた「東医宝鑑」のページを開くと、龍の背中に乗っているウサギが左のページの下から飛び出てきた。「肝臓」について説明するため、韓国の昔話「うさぎ伝」を生かしたアニメーション効果であった。
*「うさぎ伝」:病気になった竜王を治すための唯一の薬はうさぎの生き肝だといわれ、忠臣の亀がうさぎのいけどり役を買い、陸地に行くという朝鮮時代の昔話。
「武芸図譜通志」に出てくる武芸の動きを、読者が分かりやすいよう、アニメーションで表現した。
両コンテンツとも「プロジェクションマッピング」という技術を駆使して演出された。プロジェクションマッピングとは、プロジェクターを使用して空間や物体に映像を投影し、重ね合わせた映像にさまざまな視覚効果を与える技術である。
収蔵庫3次元映像=国立中央図書館
実感書斎に入って真っ先に目に入ってくるのは、サイズ300インチのスクリーン。書籍を長期間、最良の状態で保存しておく「収蔵庫」の未来の様子を3次元で再現した映像が流れる。
インタラクティブ地図=キム・シュンジュ撮影
「インタラクティブ地図」コーナーでは、昔のソウルの地図「首善全図」や、王様に捧げる馬を育てる牧場の様子を描いた「進献馬正色図」など、高解像度の画像に復元された昔の絵画を見ることができる。スクリーンをタッチすると、地図の拡大・縮小ができる。また、過去と現在の写真も見られる。
検索の未来=キム・シュンジュ撮影
国立中央図書館の徐惠蘭(ソ・ヘラン)館長は、「実感書斎を通じて、図書館が保存している貴重な資料を楽しく体験できるようにする」とし、「韓国の知識文化資源を様々な方法で紹介する新しいブランドになることを期待する」と述べた。
「実感書斎」を訪問するには、予約が必要。国立中央図書館のホームページ(
www.nl.go.kr)から可能。
lvzhen@korea.kr