科学技術

2024.11.21

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韓国初の量子コンピューターが20日から運用される。写真は、延世大学国際キャンパスに設置されたIBMの商用量子コンピューター「クォンタム・システム・ワン」=仁川市・延寿区、聯合ニュース

韓国初の量子コンピューターが20日から運用される。写真は、延世大学国際キャンパスに設置されたIBMの商用量子コンピューター「クォンタム・システム・ワン」=仁川市・延寿区、聯合ニュース


[ユン・ソジョン]

世界で最も計算が速いスーパーコンピューターより数万倍以上速い量子コンピューターが、韓国で初めて導入された。

延世(ヨンセ)大学は20日、仁川(インチョン)・松島(ソンド)にある延世大学国際キャンパスで量子コンピューター「IBMクォンタム・システム・ワン」を公開し、運用を開始した。

IBMクォンタム・システム・ワンは、127キュビットのIBMクォンタム・イーグル・プロセッサーで駆動される。研究に活用できる商用量子コンピューターと評価されている。このシステムで韓国は米国、カナダ、ドイツ、日本に続きIBMクォンタム・システム・ワンが設置された世界で5番目の国となった。韓国にはこれまで、20キュビット水準の実験用量子コンピューターしかなかった。

IBMクォンタム・イーグル・プロセッサーは、従来のコンピューティングを使った方式では不可能だった計算を正確に行うことができる。朝鮮日報などの主要メディアの報道によると、この日に公開された「IBMクォンタム・コンピューター・ワン」は、米国以外の国に設置されたシステムとしては最高水準だ。韓国の量子コンピューター時代が本格的に開かれると期待される。また、量子コンピューターの導入により、新薬の候補物質を探す時間が大幅に短縮され、バイオ分野における研究にシナジー効果が出ると期待される。

延世大学のユン・ドンソプ総長は、「延世大学は韓国では初めてIBMクォンタム・システム・ワンを設置した。量子コンピューティングや先端バイオ分野における世界レベルの研究や教育のための基盤が整った」とし、「世界的な量子研究機関や企業が、量子コンピューティング技術を研究して活用できる機会を提供していきたい」と明らかにした。

IBMクォンタムのジェイ・カムベタ副社長は「『IBMクォンタム・コンピューター・ワン』を韓国に導入することで、より多くの韓国の研究機関や団体、企業、人材が量子アルゴリズムの限界を超えて、科学的ビジネスを模索できることを願う」と述べた。また、「IBMクォンタム・コンピューター・ワンが韓国で、量子に関連する人材の育成と量子生態系の拡張における重要な基盤となることを期待する」と付け加えた。

一方、延世大学の松島国際キャンパスは、バイオ分野における国家先端戦略産業特化団地の中心地だ。世界初の量子バイオ融合先端産業クラスターの構築を目標に、仁川広域市と協力を行っている。2025年3月、延世大学創立140周年およびユネスコ「国際量子科学技術の年」を迎え、「量子コンピューティングコンプレックス」の開所式を開催する予定だ。