国家記録院が復元した19世紀のパキスタンイスラム聖典「コーラン」の筆写本の復元前(上)と後(下)=国家記録院
[城南=ユ・ヨンギョン]
韓国の記録物復元技術が新しい韓流として注目されている。15世紀の朝鮮時代の太宗(テジョ)実録から19世紀のパキスタンのイスラム聖典「コーラン」まで。国家記録院は、数百年という歳月の重みで色あせた記録物を復元・複製することに成功した。韓国の記録物復元技術技に世界が注目している。
先月7日の午前、京畿(キョンギ)道・城南(ソンナム)市にある国家記録院城南分院復元室。白いガウンを着た研究員3~4人がユネスコ世界記録遺産である東学農民革命記録物の復元作業を行っていた。
カビが生えてはがれた紙を慎重に一枚ずつめくって紙の大きさと厚さ、酸性度(pH)を測定し、小筆で特殊な溶液を塗るなどの作業の真っ最中だった。滅失・毀損した記録を復元するためのすべての過程が手作業で行われていた。
東学農民革命記録物の復元作業をする国家記録院城南分院の研究員の様子=先月7日、京畿道・城南、ユ・ヨンギョン
国家記録院はこれまで国内外150機関・9万8238枚分の重要な記録物を復元・複製するよう要請を受けてきた。公正な選定過程を経て、そのうち71機関・8650枚分の記録物の復元を支援した。3·1独立宣言書、朝鮮語大辞典、安重根(アン・ジュングン)団地の血書はがきなどが代表的だ。
昨年はパキスタン政府が所蔵する19世紀のイスラム聖典、「コーラン」の筆写本を約9カ月間の作業を経て復元した。
国家記録院が復元した19世紀のパキスタンのイスラム聖典、「コーラン」の筆写本の復元前(上)と後(下)=国家記録院
210ページ分の聖典を1枚ずつ解体しながら、はがれ落ちた部分の繊維を分析する。似たような厚さと密度の韓紙をハンノキの実から抽出した溶液で染めて、欠損部の作業を行う。毀損された表紙も原本の属性に近い牛革を薄く加工した後、似たような色に染めて復元した。
国家記録院のナ・ミソン学芸研究員は「ひどく破損していたが、最大限に復元し記録物の安定性を確保した」とし、「乾式・湿式クリーニングで記録物の表面や内部の汚染物質を除去することで可読性を向上させた」と説明した。
パキスタン政府は国家記録院に、感謝の牌を授与した。パキスタン政府は、2023年に国家記録院がパキスタンの11の政府機関担当者を対象に、現地で記録物復元技術の研修を実施したこと、今回は貴重な記録物を復元してくれたことに感謝すると伝えた。
ビニールテープで除去の実習をするモロッコ国家記録院の職員たち=2023年11月、京畿道・城南、国家記録院
国家記録院の実力は、海外でも有名だ。ノウハウを学ぼうとするニーズが増えている。「K-復元技術」に対する信頼は、英国の大英博物館からの協力を求められるほどだ。2008年から昨年11月まで28カ国・537人の専門家が、国家記録院で記録物の復元・管理に関する研修を受けた。英国、オーストラリア、中国などの18カ国が業務協約を結んだ。
イ・ヨンチョル国家記録院長は「国家記録院は優秀な復元技術を保有する。国内外で記録物の復元支援および技術伝授の要請が持続的に増加している」とし、「今後も記録物保有における専門機関として、責任と使命感を持って大切な記録遺産が安全に保存されるように最善を尽くす」と話した。
dusrud21@korea.kr