応急手術用の血液を送るためのドローンが、煙幕弾を投下する様子=先月22日、西海5島、テギョン電子
[ユン・ソジョン]
一滴の血が命を救った。
強風と霧の中、血液と保冷剤を積んだドローンを手術室まで飛ばす。敵の監視を避けるために煙幕弾も落とした。一滴の血が生死を分ける戦場。ドローンは時間内に無事、血液を配送した。
国軍大田(テジョン)病院は、先月22日、「ドローン血液検体義務物資配送訓練」を行った。国防日報は、国土交通部が主管する「2025ドローン実証都市構築事業」の一環として行った訓練であると、先月26日に報じた。
軍当局は、この日の訓練で、ドローンの可能性を確認した。今後、ドローンが、義務作戦遂行における核心戦力として位置づけられることが期待される。
今回の訓練は、野外機動訓練(FTX、Field Training Exercise)の形で行われた。ドローンを活用して血液配送の野外機動訓練を行ったのは、今回が初めて。韓米連合軍司令部が主管した「前半期連合合同義務支援訓練(ドラゴンリフト、Dragon Lift)」と連係して行われた。
訓練は、戦時状況で負傷者の応急手術中に、血液が足りなくなった状況を想定して行われた。ドローンに模擬血液500ミリリットル、検体変質防止のためのアイスパックなどを積んで飛ばした。
訓練に投入されたドローンは、垂直離着陸(VTOL)ドローンとマルチコプター。垂直離着陸ドローンは、バッテリータイプの電気垂直離着陸機だ。最大約3キログラム、150キロメートルまで運べる。マルチコプターは、最大約5キログラム、35キロメートルまで運べる。
大田病院の前方展開外科チーム(FST、Forward Surgical Team)が、海軍第2艦隊軍港に訓練状況を造成した。前方展開外科チームは、有事の際に、前方に投入される外科手術部隊だ。
大田病院は、療用ドローンが戦力化されれば、有・無人航空搬送システムが構築され、前方展開外科チームの任務遂行能力も大幅に向上すると見通した。イ・グクジョン大田病院長は「有・無人航空戦力を有機的に結合し、国土を守護する最前線部隊の中枢的基盤になるよう尽力する」と述べた。
世界各国は輸送、撮影、医療、救助、捜索、偵察など、ドローンの活用先を拡大するために研究開発に励んでいる。ドローンやウェアラブルロボットなどを利用したソウル警察庁の「スマートパトロール」、山火事予防のために智異(チリ)山で実施されたドローンの監視活動などが代表的だ。海軍は先月、ドローンとマルチコプターを利用した無人体系作戦の運用可能性における検証訓練を行なった。
医療分野も例外ではない。ドローンを活用すれば、災害応急状況時にすぐに出動することができる。医療サービスが十分に行き届いていない地域などでも、迅速に対応できる。実際に、国土交通部は3月、大田市、保寧(ポリョン)市、栄州(ヨンジュ)市などと協力し、ドローンで地域国軍病院と血液院をつなぐ緊急血液配送サービスを始めた。
もはやドローンは、捜索と偵察のレベルを越えて、生命を生かす手段となっている。
海軍が、偵察・監視用垂直離着陸ドローンを利用して無人体系作戦の運用可能性における検証訓練を行う様子=5月12日、蔚山、大韓民国海軍
4日、ドローンを開発しているテギョン電子のチェ・ユンソク理事と書面インタビューを行った。
1. 訓練に投入された装備について紹介してほしい。
垂直離着陸ドローンは、両翼から発生する揚力を活用して、長時間飛行できる。3キログラムの荷物を積んで150キロメートルで、120分間を飛行できる。荷物がなければ180キロメートルで150分間飛べる。エンジンではなくバッテリーを動力源とするため、騒音も小さい。
2. 訓練への参加を準備しながら、最も気を使った部分は何か。
性能だ。大田病院が提示した基準が、非常に高かった。現場のようなシナリオで、実証テストを何回も行い、技術の信頼性と実効性を確保した。その結果、韓国で初めてドローンを利用した血液と医療物資の最長距離配送に成功できた。
3. ドローンの役割と技術力、ビジョン、展望について聞きたい。 ドローンは農業、物流、災難対応、国防、スマートシティなど、多様な分野で活用できる。ドローンは、監視・偵察、通信・中継、電子戦などにおける無人体系を補完する。国防安保の核心資産として急浮上しているのだ。韓国型無人電力体系の主軸となる技術基盤を用意し、世界防衛産業ドローン市場で競争力を確保することを目標としている。 |
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