科学技術

2025.09.18

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基礎科学研究院が、自閉症患者の恐怖記憶や不安反応の改善につながる手がかりを発見=アイクリックアート(上記の写真は著作権法に基づき無断転載及び再配布を禁じます)

基礎科学研究院が、自閉症患者の恐怖記憶や不安反応の改善につながる手がかりを発見=アイクリックアート(上記の写真は著作権法に基づき無断転載及び再配布を禁じます)


[イ・ダソム]

自閉症患者に見られる恐怖記憶の消去障害や、長期的な不安反応の原因解明に向けた糸口が見つかった。基礎科学研究院(IBS)は18日、マウス実験を通じてこのメカニズムの一端を明らかにしたと発表した。

IBSシナプス脳疾患研究団のキム・ウンジュン団長率いるチームは、自閉スペクトラム症(ASD)患者から見つかった遺伝子変異を用いた実験で、基底扁桃体の活動低下が恐怖記憶の消去障害と長期的な恐怖反応の主な原因であることを明らかにした。

研究チームは、ASDをはじめとする知的障害や発達遅延など、さまざまな脳・精神疾患と関連するとされるGRIN2B遺伝子の変異に注目して実験を行った。

その結果、GRIN2B遺伝子変異を持つマウスは、脅威的な状況を経験しても恐怖記憶を容易に消去できず、時間が経過してもPTSDに似た症状を示すことが分かった。

追加研究により、変異遺伝子を持つマウスの基底扁桃体がトラウマ後に十分に活性化されず、該当部位の興奮性神経細胞が長期間抑制されることが確認された。

研究チームは化学遺伝学的手法を用いて基底扁桃体の興奮性神経細胞を活性化させた。すると、抑制されていた神経伝達と興奮性が正常化し、恐怖記憶の消去機能が回復、長期的な恐怖反応も緩和された。

キム・ウンジュン団長は、「自閉症患者のPTSD類似症状の原因が基底扁桃体の興奮性神経細胞の長期抑制にあることを初めて明らかにした。基底扁桃体の活性化が今後の治療戦略開発の重要な手がかりになるだろう」と述べた。

dlektha0319@korea.kr