晩秋から初冬にかけて作られた「キムチ」=韓国文化財財団
[カン・ガヒ、キム・ウニョン]
晩秋から初冬にかけての季節に、韓国では「キムチ作り(キムジャン)」が盛んになる。
キムジャンは、長く厳しい冬を耐えなければならない韓国人にとっては、欠かせない越冬の準備だ。この季節になると、家族は皆で集まって、大量の白菜を塩に漬けて、様々な材料を入れ、発酵させる。出来上がったキムチは、壺に保存する。キムジャンが終わったら、作り立てのキムチに、茹でた豚肉と生牡蛎を食べる習慣もある。
地方には、キムジャンを一斉に行う習慣がいまだに残っているが、都心や若い世代を中心に新たな変化が起きている。核家族化や一人暮らしの増加、食生活の変化などでキムチの消費パターンが変化しているからだ。
キムジャンは、まず大量の白菜を塩漬けることから始まる。通常2日にかけて行われた作業が、塩漬けした白菜や薬味(粉唐辛子、おろしニンニクなどを混ぜる)を買うことで、1日で済む。
白菜も大量から少量に変わった。出来上がったキムチは、ゆっくり時間をかけて発酵・熟成させるキムチ冷蔵庫に保存する。
世界キムチ研究所の朴彩麟(パク・チェリン)研究開発本部団長は「キムチを購入する韓国人が増え続けているが、直接作る人や手作りのキムチを貰う人も7割を占める」とし、「材料などで手間が省けるようになり、キムジャン文化も維持されている」と語った。
スーパーやネットでキムチを買える時代なのに、手間や時間をかけてキムチを作り、分け合う。なぜ、このようなキムジャン文化が維持されるだろう。
キムジャンは、単なる「味」と「健康」を求める食文化ではない。「分け合い」と「共同体意識」が込められている韓国ならではの文化だ。2013年ユネスコ無形文化遺産に登録されたキムジャンは、韓国人にとって人生の一部だ。また、韓国人は、キムジャンを通じて「連帯感」「所属感」「アイデンティティ」を感じる。
地域社会の連帯感が喪失している中、「共同」と「分け合い」を象徴するキムジャン。韓国は今頃、キムジャンの季節を迎えている。
kgh89@korea.kr