時代が変わるにつれて、秋夕の風景も変わりつつある=アイクリックアート
[ソ・エヨン、キム・ウニョン]
秋夕(チュソク)は、旧暦の8月15日に祖先祭祀や墓参りを始めとする行事が行われる、韓国の大きな祭日の一つだ。親戚や家族が集まり、「松餅(ソンピョン)」やナツメ・栗・柿などの旬の果物を祖先の祭壇に供えて祀る。これを茶礼(チャレ)と呼ぶ。また、様々な民族行事も行われる。しかし、時代が変わるにつれて、秋夕の風景も変わりつつある。2019年の秋夕の風景について探ってみた。
その変化としてまず挙げられるのが、茶礼の形式。
祭壇に供える料理は手間と時間がずいぶんかかるため、その準備に大変な苦労を強いられる。そのため、最近では、簡単に食べられる調理済みの食品が販売されている。汁物からおかず、ヂヂミ盛り合わせまで、その種類も多様化される。
出来上がった料理を届けてくれる「秋夕料理配達」サービスもある。届いた料理を温めて、祭壇に供えるだけで済む。また、全ての料理をいちから作るより、費用の面でも節約できる。
秋夕の期間には、都会に住む人たちの多くが、一斉に故郷へ帰省する。そのせいか、汽車も高速バスも席がなく、チケットを買えなかったという話もよく耳にする。帰省する人たちで高速道路も混雑する。この現象は2019年も続くだろう。
しかし最近では、故郷へ帰省する代わりに、旅行へ行く人びとも増えている。ホテルや海外で家族と時間を過ごす。長期休暇が取れない会社員はこの期間を利用する。
秋夕の贈り物も最近では変わりつつあるようだ。
今までは旬の果物であるリンゴや梨などが人気があった。だが今年は、果物の収穫時期より秋夕が早く訪れたため、アップルマンゴーやシャインマスカットなどの輸入果物が人気だ。また、最近では一人暮らしの増加に伴い、肉類や海産物なども、個別包装や少人数用の贈り物セットが多く出回っている。
特に、日本の経済報復措置に対抗し、韓国で日本産製品を不買する動きが広がっている。そのため、日本商品はその姿を消している。また、現金の代わりに携帯電話によるスマートホン送金・決済サービスを利用したり、モバイル商品券を贈ったりする。
今年の秋夕、家族と一緒に秋夕料理を作って食べる風習は今も多く見られるが、今後その風景はさらに多様化することだろう。しかし、秋夕を迎える風景は変わっても、「心」と「情」を伝え合う風習は変わらないだろう。
xuaiy@korea.kr