
ボブスレー韓国代表のウォン・ユンジョン(右)とソ・ヨンウが23日(韓国時間)、カナダ・ウィスラーで開催された国際ボブスレースケルトン連盟(IBSF)2015-2016シーズンワールドカップ第5戦で、韓国とアジア初の金メダルを獲得し、インタビューに応じている
2010年夏、大学卒業後、学校の体育教師になる準備をしていたウォン・ユンジョンは、ある日、ボブスレー国家代表選抜ポスターを見かける。
同年夏、陸上の短距離選手として活動してから運動をやめ、大学生として初めて迎えた夏休みを楽しんでいたソ・ヨンウは、友人からボブスレー講習会に誘われる。
それから約5年後の2016年。2人は、ボブスレーワールドカップで、史上初めて金メダルを獲得した韓国人、そしてアジア人になる。
ボブスレー韓国代表のウォン・ユンジョン-ソ・ヨンウが、23日(韓国時間)、カナダ・ウィスラーで開催された国際ボブスレースケルトン連盟(IBSF)2015-2016シーズンワールドカップ第5戦で、1・2回の滑走合計時間1分43秒41で金メダルを手にした。韓国だけでなく、アジア出身の選手として、ボブスレーワールドカップで世界の頂上に上り詰めたのは2人が初めて。
元短距離陸上選手と、体育教師を目指していた若者2人の挑戦は、映画『クールランニング』に似ている。映画で描かれたジャマイカ・ボブスレーチームの1988年カルガリー冬季オリンピック出場の物語のように、2人もまた、施設や設備も十分整っていない劣悪な環境のなかで、生まれて初めて乗るそりの練習をした。2010年11月に韓国代表として初出場した北アメリカカップでは、ボブスレーが転倒し、完走すらできなかった。また、1億を超える高額のそりを買うことができず、ヨーロッパの選手が乗っていたそりをもらって使うしかなかった。

ワールドカップで初めて世界トップの座に就いたボブスレー韓国代表チームが23日、ワールドカップ第5戦で金メダルを獲得し、先日亡くなったコーチのマルコム・ゴマー・ロイドさんの奥さん(中央)と一緒に記念写真を撮っている
特に、今回のメダルは、つい最近、師匠を亡くした2人にとってより貴重なものとなった。ソチ・オリンピックのときから韓国代表チームを指導してきたマルコム・ゴマー・ロイドさんは、韓国のボブスレーの水準を大きく引き上げた。ロイドさんは、ワールドカップを控えた弟子たちにはがんを患っていることを隠し、今月4日に亡くなった。
亡くなった夫に代わってウィスラーの競技場を訪れた奥さんは、自ら特別に制作したメダルを2人に手渡した。メダルには「平昌(ピョンチャン)に向かって、金メダルに向かって前進しなさい」というメッセージが込められていた。

先日亡くなったコーチのマルコム・ゴマー・ロイドさんを偲ぶ写真を貼って試合に臨むボブスレー韓国代表チーム
2人はコーチを偲ぶため、コーチの写真とミドルネームの「ゴマー」から取ったアルファベット「G」をそりとヘルメットに貼って試合に臨み、好成績を達成することで、感謝と哀悼の意を表した。ウォン・ユンジョンは試合後のインタビューで、コーチの奥さんから手渡されたメダルを見せ、「サンキュー、ゴマー」と、感謝の気持ちを伝えた。
ウォン・ユンジョン-ソ・ヨンウは今シーズン、ワールドカップ第1・2・4戦で銅メダルを獲得し、第3戦では6位となっている。24日に行われたワールドカップ第6戦では9位(1分43秒54)に止まったが、今シーズンのランキングポイントでは1位(1153点)をつけている。
コリアネット チャン・ヨジョン記者
写真提供:聯合ニュース
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