世界の人々が注目する韓国の伝統酒がある。先日開かれた「サンフランシスコ国際酒類品評会(San Francisco World Spirits Competition)」で、伝統酒「タミアンズ」が大賞のダブルゴールドメダルを受賞したほか、ユートピアの「ロイヤル安東焼酎」、ザ・ハンの「梅実原酒」と「原梅プレミアム」「名人安東焼酎」が銀メダル、太平酒家の「真心紅参酒」が銅メダルを受賞するなど、6つの韓国の伝統酒が受賞した。
今回賞を獲得した伝統酒の特徴は、穀物や天然の韓方薬といった環境素材を使って、古くから受け継がれてきた伝統的な方法で製造されていることだ。「タミアンズ」は米やクコの実など漢方薬として製造されたもので、「ロイヤル安東焼酎」と「名人安東焼酎」は米を原料にしている。「梅実原酒」は適量の梅と蜂蜜をミックスさせたもので、「真心紅参酒」は高麗人参と紅参エキスで製造されている。これらの酒の製造過程と風味について紹介しよう。
タミアンズ
「タミアンズ(TAMIANGS)」は、全羅南道潭陽郡のチュソンゴウル(Chusung Goul)が、約120年にわたって代々受け継がれている秘法で醸造された「耳明酒(旧暦小正月の朝に飲む耳の良くなる酒)」だ。韓国で栽培された米とクコの実、五味子など13種類の漢方薬を入れて100日以上発酵させ、10年以上熟成させて蒸留するという手間のかかる方法で製造される。生産過程が複雑なため、年間で約1千瓶しか生産されない。竹のろ過と長い熟成で、やや重い口当たりとさっぱりした後味が良いとされている。「タミアンズ」は、「潭陽」のフランス語の発音で、アルコール度数は約40%だ。
約120年にわたって代々受け継がれている秘法で醸造された「タミアンズ」
ロイヤル安東焼酎と名人安東焼酎 米100%の純穀酒で製造した「ユートピア(Utopia)」の「ロイヤル安東焼酎(Royal Andong Soju)」は、吸収が早く、早く酔って早く覚めるため二日酔いしない。15年間の長期熟成で独特の香りを漂わせる。
「名人安東焼酎(Myeongin Andong Soju)」は、潘南朴氏の家に500年代々受け継がれている方法で醸造された家醸酒で、伝統酒の職人が自ら製造した純穀の蒸留式の焼酎だ。「名人安東焼酎」は、火を直接当てない湯煎式の蒸留酒で、さっぱりしたまろやかさが特徴だ。他の安東焼酎とは違い、マッコリではない清酒の状態で製造したものを蒸留する。安東地方高地帯の地下270メートルの岩盤から汲んだ天然の岩盤水に米麹の酸っぱい香りを100日以上にわたって熟成させ、まろやかにした。
米100%で製造された純穀酒「ロイヤル安東焼酎」。早く酔っても早く覚めるので二日酔いしない
焼酎は、その名の通り「焼いた酒」だ。韓国では、高麗後期のモンゴル軍が日本征伐で安東に駐留したとき、兵士たちが酒を飲もうと醸した焼酎が民間に広がって大衆化し、蒸留酒の文化が生まれたとされている。焼酎は高麗時代、位の高い人々の間で流行し、民間療法として腹痛や虫刺されなどの治療薬用として利用された。700年伝統の安東焼酎は、きれいな水で醸造し、長い期間にわたって熟成させ、ほのかな香りと口当たりが絶品で、後味が良いのが特徴だ。
「名人安東焼酎」は、潘南朴氏の家で500年にわたって代々受け継がれている方法で醸造された家釀酒だ
梅実原酒と原梅プレミアム ザ・ハン(The Han)の「梅実原酒(Maesilwonju)」と「原梅プレミアム(Wonmae Premium)」は、韓氏の家で先代から受け継がれてきた酒造法を利用し、黄梅で漬けた梅実酒の原液に済州島産の天然蜂蜜を加えたものだ。アルコール度数10%、15%、20%の3種類が販売されている。
「原梅プレミアム」は、7月頃に収穫されるよく熟した黄梅だけで漬けた梅実酒を零下30度で長期間にわたって新鮮なまま保存したもので、豊かな香りと深い風味が特徴だ。完全に熟していない青梅に比べて黄梅は収率が低いが、香りが豊かで食材として利用されている。アルコール度数を20%に高めれば、原酒の風味を味わうことができる。「梅実原酒」と「梅実プレミアム」は、氷を入れてオンザロックで飲むのが一般的だ。
黄梅で漬けた韓国唯一の酒「梅実原原酒」(上)と「原梅プレミアム」(下)
梅実は古くから健康に良いとされ、その効能はよく知られている。梅実の酸っぱい成分であるクエン酸は、体内のタンパク質、脂肪、糖分のエネルギーへの転換を助け、疲労回復に効果がある。また、梅実に含まれているリオニレシノール(lyoniresinol)というポリフェノール(polyphenol)には活性酸素を抑制する抗酸化作用がある。また、梅実はカルシウムや鉄分、マグネシウムなどミネラルが豊富で、梅実の独特の香りには心身をリラックスさせる効果がある。
真心紅参酒 太平酒家(Taepyung Distillers)の「真心紅参酒(Jinsim Hongsamju)」は、水と米、紅参粉などで製造されている。アルコール濃度19%で、ほのかな香りを漂わせ、二日酔いせず、喉越しが良く、紅参と高麗人参の深い風味が感じられる。6年根の紅参と高麗人参の濃縮液が10.3%を占めている。製造過程は、蒸留したマッコリに焼酎を入れ、紅参と高麗人参の原液を加える。「真心紅参酒」はベトナムや米国、台湾、香港などで販売されている。
「真心紅参酒」は6年根の紅参と高麗人参の濃縮液が10.3%を占めている
コリアネット イム・ジェオン記者
jun2@korea.kr