経済

2015.01.23

シンプルさが魅力の古い時代の木綿の服のように、長きにわたって韓国人の暮らしとともに歩んできたものがある。お母さんたちに「洗濯石鹸」と言えば何かと聞けば、固有名詞のように答えが返ってくる「ムグンファ(無窮花)石鹸」だ。

洗濯機が普及する前から韓国の人々に愛用されていた無窮花は、1947年の創業以来67年間、韓国の石鹸と洗剤の歴史を綴ってきた。この間に無窮花の洗濯石鹸は各家庭の生活必需品となり、衣類だけでなく韓国の人々の心まできれいにしてくれる身近な存在となった。

67년 역사의 종합 생활용품업체 무궁화는 다양한 종류의 빨래비누를 생산하고 있다.

67年の歴史を持つ総合生活用品メーカー 「無窮花」は、様々な種類の洗濯石鹸を生産している



無窮花の歴史は長く、その始まりはまだ石鹸があまり普及していなかった1940年までさかのぼる。平安北道イジュ(義州)郡出身の創業者の故ユ・ハンソプ元会長は、人々が薄汚い格好をしているのを見て、知り合いから石鹸製造技術を学び、周囲の人々に石鹸を配ったという。物資が不足していた時代だったので、石鹸の原料である油を手に入れるのは容易ではなく、肉屋などを回らなければならなかった。まともな設備もなく、かまどにドラム缶をのせて火をつけ、そこで熱した油に苛性ソーダを入れて石鹸を作った。

ユ会長は、無窮花(ムクゲ)の模様を入れた洗濯石鹸を作って無償で配ったり売ったりしていたが、1947年に「無窮花油脂」を設立し、ソウル市ソデムン(西大門)区ソソムン(小西門)にある工場で「無窮花石鹸」の製造・販売を開始した。しかし、間もなく朝鮮戦争が勃発し、石鹸の製造は中断を余儀なくされた。ユ会長は、戦争が終わると再びドラム缶で石鹸を作り、自転車に載せて売り歩いた。

そして、1961年に合資会社「無窮花油脂工業社」を設立し、精製グリセリンの生産を開始した。1966年には、無窮花の固形洗濯石鹸が認証規格のKSマークを取得した。

無窮花は革新的な製品を開発し、市場を先導してきた。まだ固形石鹸しかなかった1980年に粉石鹸「セロワ」の生産・販売を開始した。洗濯石鹸で名声を上げた無窮花は、1983年にトンドゥチョン(東豆川)市に工場を竣工し、総合生活用品メーカーとして本格的に成長する。1986年に酵素洗剤「ブライト」を開発するとともに、酸素系漂白剤「トップクリーン」を発売した。

무궁화가 생산하고 있는 다양한 종류의 기능성 세탁비누

無窮花が生産する様々な種類の機能性洗濯石鹸



無窮花は環境にやさしい製品の開発にも取り組んできた。家庭で発生する汚染を分析し、環境汚染物質を削減しようと、石鹸の適切な用途と使用法を提案してきた。数年間にわたる研究の末、天然成分を利用し、洗浄力に優れ、肌と環境への影響を最小限に抑えた液体洗剤「オークリーン」の開発・販売を2009年から開始した。

マーケティング部のハ・ヒョンホ部長は、オークリーンを開発した理由について、「かつては、値段が安く、泡立ちがよく、汚れが取れればよい製品だと思われたが、最近は食品と同様に生活用品も『健康』と『ウェルビーイング』が重要視されている。消費者は、人体に害はないか、肌に安全なのか、成分表示を確認してから購入する」と説明する。

경기도 동두천 무궁화 공장의 빨래비누 생산라인

京畿道東豆川市にある無窮花の工場の洗濯石鹸の生産ライン



洗濯石鹸から始まった無窮花は現在、洗顔石鹸や粉末洗剤、液体洗剤、繊維柔軟剤、歯磨き粉、歯ブラシ、化粧品など様々な製品を生産している。無窮花の製品は、韓国だけでなく、中国やロシア、オーストラリア、アフリカ、東南アジアなど海外でも販売されている。

記事:コリアネット イム・ジェオン記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
jun2@korea.kr