「天然の発酵成分が肌に栄養を供給してくれる。(中略)使用すれば、肌が心地よく潤うしっとり感を実感できる」

ある中国人女性がWeiboに投稿した韓国のコスメブランド「ラビオット」のシートマスクの使用後記の一部だ。使用した感想とともに、使用前後の水分測定の結果も掲載し、シートマスクの保湿効果を評価している。




このところ中華圏をはじめ世界各国で韓国のシートマスクが大人気だ。今やシートマスクは、韓国を訪れる外国人観光客にとって必須のショッピング・アイテムの一つとなった。

多くの人が韓国のシートマスクに高い関心を示す要因として、韓国コスメの品質の高さや多様さ、、価格競争力などを挙げることができる。それを支えているのが技術開発。昨年一年間の売上が280億ウォン(前年比200％以上)というシートマスク・メーカー「アンカーズ(ANCORS)」がそれを証明している。

2009年の創立当時、OEM製品を有名ブランドメーカーに納品していた同社は、技術開発によってマスクや基礎化粧品、ヘアなど約400種類にも上る自社商品を生産している。現在、保有する特許件数は10件(出願中3件)で、多くはシートマスクの成分や製造法、多様なパック製品の製造に関するもので、そのうち9件は商品化に成功した。

シートマスクの人気の秘訣について、アンカーズ皮膚科学研究所のキム・ナクソン所長は「デパートに山のように積まれた韓国の高級コスメブランドの商品を見れば、韓国コスメのブランド価値の高さがわかる」と、韓国コスメが世界的に高く評価されていることに言及した。その上で「そうした認識を基に、これまで市場を主導してきた欧州や日本のシートマスクよりも価格競争力と効果の優れた新製品を開発しようと、化粧品の原料やマスクシートの生地などを研究して製品を開発し、世界の国々に供給している」と説明する。

特に、化粧品の原料の研究開発については、「発酵食品など伝統的な発酵文化を土台とした韓国の発酵技術の高さは世界が認めている。(アンカーズは)韓国や日本、米国、欧州などで有効な発酵技術の国際特許を保有している」と強調する。また「発酵技術の他にも、カンゾウや白朮、レンギョウの実といった漢方薬の原料を超音波抽出法によって成分破壊を最小限に抑えながら高濃縮する技術のほか、チェジュ(済州)島の火山岩盤から出る済州溶岩海水やチョジョン(椒井)里炭酸水など韓国ならではの原料で製造されたマスク製品も海外で人気を集めている」と話す。




シートマスクの使用方法は簡単だ。洗顔した後、化粧水で肌を沈静させ、シートマスクをつけて20分ほどしたらはがす。たったそれだけで効果は満点だ。美白、保湿、トラブルの沈静化、栄養、弾力強化、しわの改善と、マスク一枚でこれらすべての効果を得ることができる。皮膚科を受診しなくてもわずかな費用で肌を管理できるとして脚光を浴びている。

製造技術も進化を続けている。大量の炭酸の泡が老廃物を取り除いてくれる物から、カタツムリ粘液成分と金粉成分で保湿と弾力を促進させる物、発熱疳成分のあるアンプルを塗って毛穴を広げて不純物を取り除いたところにマスクシートをはって毛穴を閉じる「サウナ効果」のある物、付属の角質除去用綿棒を使えば肌のクリーニング、再生、保湿、美白、栄養管理が一度にできる物まで、名前を挙げたらきりがない。

デザインがユニークな製品もある。韓国のコスメブランド「ザ・フェイスショップ」が今年初めに発売したキャラクターマスクは、パンダや子犬、トラ、猿といった動物が描かれており、中国人観光客に大人気だ。免税店やミョンドン(明洞)などで好調な売上を見せている。同社の関係者は「機能重視だった従来のマスクシートに、個性的な動物のキャラクターをプリントすることで遊び心を加えた。高品質のヒアルロン酸とマリンコラーゲンの成分で肌をしっとりとした健康な状態にし、鉱物油、硫酸塩、滑石、ポリアクリルアミドなど人体に有害な4つの成分が排除され、デザインにも機能にもこだわった」と説明する。




シートマスクの注文量の急増を受け、メーカー各社は設備拡大を進めている。アンカーズのキム・ナクソン所長は「MERSの影響で韓国のコスメ市場は大きな打撃を受けたが、徐々に回復しつつある。シートマスクはアジア圏で高い成長率を見せており、特に中国のシートマスク市場は2012年の130億人民元から2015年は300億人民元(5兆3千億ウォン)と2倍以上成長するだろう」と期待を込める。「急増する中国の受注に対応するために、アンカーズは上海に中国法人を、瀋陽に海外生産施設を設立した」と話す。

コリアネット　ユン・ソジョン記者
arete@korea.kr