[論山市=イ・ギョンミ、イ・ジェウン]
[映像=チェ・テシュン、カン・スンヒ]
去年12月1日、仁川(インチョン)国際空港から、シンガポール行きチャーター機が出発した。このチャーター機の搭乗客は韓国産イチゴ。このチャーター機を皮切りに、今年4月までに計1072トンの韓国産イチゴが80回の飛行でシンガポールに運ばれる予定である。イチゴは、とても傷みやすいため、主に飛行機で輸出される。
高い糖度や品質に、競争力のある価格まで備えた韓国産イチゴは、チャーター機で運ぶほど、世界を魅了している。
5日、韓国農水産食品流通公社の農食品輸出情報(KATI)の資料によると、韓国産イチゴの輸出量は毎年増えている。2020年の輸出額は5379万ドルで、2015年(3303万ドル)に比べ、5年で2倍近く増加した。
韓国産イチゴの主要輸出先は、1位が香港で、全体輸出量の3割以上を占めており、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシアが続く。イチゴの栽培が厳しい東南アジアで人気を博している。特に、ベトナムでは、韓国産イチゴが現地イチゴ市場で占める割合は71.58%に達し、首位となっている。他にも、米国・ニュージーランド・カナダなど、20以上の国や地域に輸出されている。
韓国産イチゴ輸出額推移=キム・ヒョンスク制作
韓国だけでなく、海外でも人気の韓国産イチゴ。その人気の秘密を探るため、1月25日、韓国最大のイチゴ生産量を誇る忠清南道(チュンチョンナムド)・論山(ノンサン)市を訪れた。論山では、韓国産イチゴのおよそ2割が栽培されている。
イチゴを栽培しているビニールハウスに入ると、まず、その真っ赤な色に目を奪われた。ハウスの中は、イチゴの甘い香気い包まれていた。地面から高さ1メートルほどのところに栽培されたイチゴを、農家の人が収穫している。その隣では、ミツバチたちが花の蜜や花粉を集めていた。
1月25日に訪れた忠清南道・論山市のイチゴ農園で採ったイチゴ=イ・ジェウン撮影
目の前で採ったイチゴを一口食べると、甘い果汁がじゅわっと口の中いっぱいに広がる。この味なら、老若男女、国籍問わず愛されるに違いない。
イチゴを栽培するチョン・フェミン氏は、韓国産イチゴが人気を博している理由について「何よりも味」とし、「韓国は四季がはっきりしているため、他の国で生産されるイチゴより糖度が高い」と説明した。また、「大きくておいしい韓国ならではの品種が多いということも韓国イチゴの長所」と付け加えた。
2005年まで、韓国で栽培されている約9割以上ものイチゴが日本から来たものだった。これを克服し、韓国独自のイチゴを開発するため、農村振興庁や各自治体の農業技術院が乗り出した。その結果、雪香(ソルヒャン)を皮切りに韓国品種が増え、輸出向けの「梅香(メヒャン)」、長持ちする「サンタ」など、様々な品種が開発された。その他にも、サイズの大きい「アリヒャン」、桃の香がする「キンスベリ」、糖度・風味が優れた「クムシル」など、韓国国立種子院に保護品種として登録されている韓国産イチゴは49種。
2005年、わずか9.2%に過ぎなかった韓国イチゴの国産化率は、2020年には96%まで上昇し、もはや海外からロイヤリティを受け取っている品種の数も増えた。また、梅香、サンタなどが中国・ベトナム・ミャンマー・オーストラリア・ニュージーランドなどで栽培され、ロイヤルティを受け取っている。去年7月には、「クムシル」が初めて米国に輸出された。
輸出向けのイチゴをパッケージする様子=イ・ギョンミ撮影
農家で収穫したイチゴは、その地域の農産物産地流通センターに運ばれる。その後、二酸化炭素と二酸化塩素ガスで処理される。鮮度を維持し、カビの繁殖を抑制するため、輸出の際に欠かせない作業だ。
処理済みのイチゴは、MA包装を使用してパッケージし、仁川国際空港に運ばれる。MA包装には、イチゴの呼吸を一定程度抑制し、品質低下を防ぐ技術が施されていることから、品質を保持したままイチゴの輸出が行える。
「味」そのもので世界から認められている韓国産イチゴ。高品質のイチゴを収穫するための農家の努力、様々な品種や技術の開発、輸出に向けた政府の支援に後押しされ、韓国は「イチゴ大国」として躍進している。
km137426@korea.kr