寒い冬は、免疫力が弱くなり風邪などの病気になりやすい。そんなときに免疫を強くし、健康に良い韓国伝統の冬の飲み物がユジャファチェ(柚子花采)とスジョングァ(水正菓)だ。ユジャファチェとスジョングァは、味と香りが特別で、宮中でよく飲まれていた。
ユジャファチェは、宮中の冬場の風邪予防飲み物の一つだった。ユジャファチェは、千切りにした梨とゆずに蜂蜜を溶かした水または砂糖水を入れて飲むと、食欲をかきたて、消化を助ける。柚子の香りと甘酸っぱいザクロが調和し、口の中をさわやかにする。

ユジャファチェは宮中の風邪予防飲み物だった。千切りにした梨とゆずの上に赤いザクロの粒が宝石のように乗っていて、見た目もとても美しい
柚子は風邪で熱があるときに利くとされている。中国・明の時代の薬学書「本草綱目」には、痰が多い咳に柚子の皮を利用するという処方が載っている。柚子は、ビタミンCが100gあたり150mgも入っており、レモンの3倍を超え、風邪、神経痛、中風などの治療と予防にも効果がある。
柚子の酸味は、肝機能を助け、筋肉を丈夫にする作用があり、全身が痛む風邪にも利く。また、ヘスペレチン(hesperetin)が含まれていて毛細血管を丈夫にし、脳血管障害に起因する脳卒中に効果がある。柚子の酸味を出すクエン酸は、消化液の分泌を助け、疲労回復に役立つ。

スジョングァは、生姜とけい皮の香りがする汁と、まろやかで甘い干し柿が特徴的な冬の飲み物だ
「水に浸したお菓子」という意味を持っているスジョングァは、ショウガとけい皮を入れて沸かしたお湯に蜂蜜を入れて冷まし、干し柿や松の実などを浮かべて冷やして飲む。スジョングァは、痰が多く、咳が出るときや、慢性気管支炎などにもいい。また、飲み過ぎで体内に溜まったアルコール成分を酸化・排泄するのに必要な果糖とビタミン、水分がたっぷりで、二日酔いの解消に役立つ。
スジョングァの主な材料であるけい皮と生姜は、胃の強化効果、殺菌効果、風邪の治療効果がある。特にけい皮は、血行をよくし、胸部と腹部の冷え性を和らげ、消化を促進する。生姜は風邪による冷え、発熱、咳、痰の治療に効果がある。
*** ユジャファチェ
** 材料及び分量
柚子180g(1個)、梨120g(¼個)
蜜水:水400g(2カップ)、蜂蜜1Ts、砂糖4Ts
ザクロの実1Ts、松の実1Ts

柚子の果肉をとって果汁を絞り、皮を千切りにする
** 食材の下準備
1. 柚子は、長さを4等分して果肉を取り出し、果汁を絞った後、甘皮はスライスし、外側の皮を長さ4㎝、幅・厚さ0.2㎝に千切りにする。
2. 梨は皮をむき、長さ4㎝、幅・厚さ0.2㎝ぐらいに千切りにする。
** 作り方
1. 鍋に水と蜂蜜、砂糖を入れて強火で3分ほど煮た後、冷やして蜜水を作る。
2. 上の蜜水にゆず汁を入れてファチェの汁を作る。
3. 器に千切りにした柚子の皮と梨を色を合わせて盛る。
4. ファチェの汁を注ぎ、ザクロの実と松の実を浮かべる。

ボウルに千切りにした柚子と梨を入れてファチェの汁を注ぎ、ザクロの実と松の実を浮かべる。ファチェの汁は冷たくして入れると美味しい
*** スジョングァ

スジョングァの主な材料である生姜、けい皮、干し柿、黄砂糖、松の実
** 材料及び分量
生姜200g、水2kg(10カップ)
けい皮120g、水2kg(10カップ)
黄砂糖150g(1カップ)、砂糖213g(1⅓カップ)
干し柿200g(5個)、くるみ50g(10個)
松の実5g
** 食材の下準備
1. 生姜は下ごしらえし、きれいに洗って厚さ0.3cmぐらいに切る。けい皮は2等分し、きれいに洗う。
2. 干し柿は、へたを取り、ナイフで切って広げる。
3. くるみはお湯でふやかし、甘皮を取り除く。
4. 干し柿の中にくるみを置き、くるくる巻いて干し柿のサム(包み)を作り、幅1cmほどに切る。
5. 松の実はへたをとって綿の布で拭く。
** 作り方
1. 鍋にショウガと水を入れて強火に10分程度かけ、沸騰したら中火に落とし、1時間程度煮てから綿の布で濾す。
2. 鍋にけい皮と水を入れて強火に10分程度かけ、沸騰したら中火に落とし、1時間程度煮て、綿の布で濾す。
3. 鍋にショウガ水とけい皮水を注ぎ、黄砂糖と砂糖を入れて強火に11分程度かけ、沸騰したら中火に落とし、さらに10分ほど煮てから冷まし、干し柿のサムと松の実を浮かべる。

鍋に水とけい皮を入れて1時間ほど煮た後、綿の布で濾す。生姜とけい皮を一緒に煮る方法もあるが、それぞれの香りと味を保つためには別々に煮てから混ぜるのがよい
記事:コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:韓国伝統飲食研究所
資料:美しい韓国料理100選
arete@korea.kr