文化

2016.02.23

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英紙ガーディアンに載せられた小説家韓江のインタビュー。1月に『少年が来る(英題:Human Acts)』がイギリスで出版されたことで、韓江に英メディアの注目が集まっている。



「これまで隠れていた韓国最高の作家」

英紙ガーディアンは、最近行われた作家韓江(ハン・ガン)とのインタビューで彼女をこう紹介した。数多くの著書をもつ著名な精神療法士のスージー・オーバック、人権弁護士のフィリップ・サンズなどの有名人読者の名前も付け加えられた。

インタビューは、1月に韓江の『少年が来る(英題:Human Acts)』がイギリスで出版されたことを受けて行われたもの。作家韓江についての紹介から小説のを書いた動機や過程、イギリス現地での反応など細かい内容まで扱っている。

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1月、ロンドンで行われた作家韓江と人権弁護士フィリップ・サンズの対談



昨年『菜食主義者(英題:The Vegetarian)』に次ぎ、2作目の出版となるイギリスでは韓江への注目度が高まっている。イギリスで『菜食主義者』を出版するポートベロー(Portobello)の編集者が予想した通りだった。ポートベローの編集者ベラ・レイシーは昨年末のガーディアンの記事で「我が社の本のうち低評価されている本」に『菜食主義者』を挙げ、今年1月に『少年が来る』が出版されれば韓江の知名度がさらに高まると確信していた。また以前から、既に注目を浴びている若い作家『イカルス・ガール』の著者ヘレン・オイェイェミやエイミール・マクブライドなどが推薦図書として『菜食主義者』を紹介していた。

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イギリスで出版された『少年が来る』(左)と2月にアメリカで出版された『菜食主義者』(右)



一方、アメリカでは今年の2月に初めて韓江の小説『菜食主義者』が出版され、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど主要メディアから書評が出された。

全体的に「強烈」、「衝撃的」などの小説自体に対する評価とアメリカでは初めての出版となる作家韓江についての紹介が主な内容だが、一部では韓国文学に対する関心も垣間見られた。とくにニューヨーク・タイムズは、『菜食主義者』は既に国際的なカルト小説として定着しているとし、ポピュラー音楽など韓国の大衆文化の波及力を踏まえると、これまで韓国文学に対する欧米の評価が低過ぎたのではとの専門家らの意見を報じた。また、ダーキー・アーカイブ・プレス(Dalkey Archive Press)の韓国文学シリーズ("Library of Korean Literature")、アマゾン・クロッシングで出版されたペ・スアの『チョルス(英題:Nowhere to Be Found)』も併せて紹介した。

現在、英訳された韓江の作品は『菜食主義者』と『少年が来る』の2作。

韓国で2004年に出版された『菜食主義者』は、肉食を拒否する主人公ヨンヘが木と化す超現実的な物語を通じて人間の暴力的な本性に踏み込んだ内容だ。2014年の『少年が来る』は、光州民主化運動(光州事件)が鎮圧された後にデモに参加した友達の遺体を捜すある少年の物語だ。人間の暴力と尊厳が共存する光州民主化運動を通じて、作家は再び暴力というテーマに疑問を投げかける。

最近行われた米公営ラジオNPRでのインタビューで韓江は「人間の暴力性とこれを人間が拒否し得るのかについて長い間考えてきた。私のこのような疑問を読者も一緒に考えてくれると嬉しい」と話した。

コリアネット チャン・ヨジョン記者
写真:ロンドン・コリアンリンクス(londonkoreanlinks.net)
icchang@korea.kr