ビビン麺は食欲がなかったり料理が面倒になったとき、またはこれといった食材がないときも涼しく楽しめるため夏場の旬の料理として人気が高い。
ビビン麺の別称としては「骨董麺(コルトンミョン)」があるが、これには「骨を正す」という意味が込められている。
韓国の年中の歳時風俗(季節の風習)を記録した書籍『東国歲時記』(1849)には「そば麺に大根キムチや白菜キムチを入れて豚肉を和えたものを『冷麺』と呼び、チャプチェや梨・栗・牛肉・豚肉を入れたものは骨董麺という」と書かれており、ビビン麺は冷麺と同様、朝鮮時代に流行した料理と推定される。
ビビン麺は庶民はもちろん宮廷でも親しまれた。朝鮮第22代王の正祖(チョンジョ、1752~1800)の母親、恵慶宮洪氏(ヘギョングン・ホンし、1735~1815)の還暦祝いの宴をまとめた『園幸乙卯整理儀軌』には「醤油のタレをかけて食べる骨董麺」という表現が登場する。
ビビン麺は夏料理と考えがちだが、実は小豆粥とともに冬至が旬の季節料理。実際、先人たちは寒い冬に冷麺やビビン麺を作って食べた。寒い日にビビン麺を食べた理由としては夏場に熱をもって熱を制するために最もカロリーの高い犬肉のスープを食べるのと同じく、冬至辺りには寒をもって寒を癒す意図があるものと考えられる。

ビビン麺は甘酸っぱいコチュジャンソースと牛肉・豚肉・きのこ・梨・野菜などの具の味が調和して食欲をそそる。先人たちは夏はもちろん冬にもビビン麺を好んで食べた
**材料と分量
麺(素麺) 440g、 茹で水 2kg(10kg)、差し水 200g(1カップ)、ごま油 13g(大さじ1)
キュウリ 200g(1本)、塩 2g(小さじ1/2)
牛肉(外もも肉) 130g、 干しシイタケ20g(4枚)
ソース①: 醤油 18g(大さじ1)、砂糖 4g(小さじ1)、長ネギ 4.5g(みじん切り、小さじ1)、にんにく 2.8g(みじん切り、小さじ1/2)、ごま塩 1g(小さじ1/2)、コショウ 0.1g、ごま油 4g(小さじ1)
卵 60g(1個)、サラダ油 13g(大さじ1)
ソース② : コチュジャン 85.5g(大さじ4の1/2)、ごま塩 12g(大さじ2)、ごま油 13g(大さじ1)
**材料の下準備
1. キュウリは板摺してきれいに洗い、縦2等分してから長さ5cm厚さ0.2cmで斜め切りにする。そこに塩を入れ5分ほど漬けてから水気を切る。
2. 牛肉は血を拭き取り長さ5cm、幅・厚さ0.2cmの千切りにしてソース①の2/3を入れて下味をつける。
3. シイタケは水に1時間ほど浸しもどしてからから石づきを取って水を切り、牛肉と同じサイズの千切りにしてから残りのソース①の1/3で下味をつける。
4. 卵は黄身と白身の薄焼きを作って長さ5cm、幅・厚さ0.2cmに千切りする。
5. ソース②を作る。

キュウリは斜め切りし、牛肉は血を拭き取ってから千切りして下味をつける。シイタケは水でもどしてから牛肉と同じサイズの千切りにし下味をつける
**作り方
1. 鍋に水を入れ強火に9分ほどかけて沸騰したら麺を入れる。1分ほど茹でて沸騰したら水を100g(½カップ)差し、また1分後に沸騰したら残りの水100g(½カップ)もいれて30秒ほど茹でる。茹でた麺は水で揉み洗い、ざるにあげて水気を切ってからごま油で和える。
2. 予熱したフライパンに油をひいて、キュウリを入れて強火で10秒ほど炒める。
3. 予熱したフライパンに油をひいて、牛肉とシイタケを入れて強火でそれぞれ1分ほど炒める。
4. 麺に牛肉とシイタケ・キュウリ・ソース②を入れて和えてから器に盛り付け、錦糸卵をのせる。

茹でた麺に牛肉やシイタケなどの具とソースをかけてよく和えてから黄身と白身の錦糸卵をのせる
コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:韓国伝統飲食研究所
資料:美しい韓国料理100選
翻訳:イム・ユジン
arete@korea.kr