文化

2016.09.30

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作家のイ・オナム氏がグーグル「チルトブラシ」で絵を描いている。彼はVR技術を適用した3D作品『混血する地球』を「釜山ビエンナーレ2016」で初めて公開した





現在、そして未来芸術との出会いが「釜山ビエンナーレ2016」で続いている。

「混血する地球、多重知性の公論場(Hybridizing Earth, Discussing Multitude)」のテーマを掲げ今月3日に開幕した釜山ビエンナーレではフランス、中国、日本など23カ国の作家121名の作品と観覧客との出会いがある。

観覧客から最も大きな関心を集めている作品の1つは作家イ・オナム氏の『混血する地球』。3千坪にもおよぶ工場で作家はVR(仮想現実)ヘッドセットを着用し、自身の作品『混血する地球』を背景にグーグル「チルトブラシ」で絵を描く。「チルトブラシ」とはヘッドセットとコントローラーで仮想空間に3次元の立体画を描くことができるアプリケーション。作家の作業には観覧客も参加して一緒に絵を描くことができる。また、観覧客は自分が参加した作品をプリントして持ち帰えることができる。

イ氏は「私とグーグル、観覧客が力を合わせてはじめて完成できる作品。今回の展示が観覧客に新しい経験を提供し、メディアアートは難しいという先入観を取り払うことに一助できればと思う」と話した。

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フランスの作家オーラン『北京オペラの仮面No. 10』





50年間自分の体をモチーフにした作品を公開してきたオーラン(ORLAN、仏)の作品も展示された。彼の『北京オペラの仮面No. 10』はAR(拡張現実)アプリ「オーグメント」をインストールしてスキャンすると、作品の中で中国の仮面を被って登場し、「北京オペラ」公演を披露する作家の姿を見ることができる。

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中国作家、周文斗の『注意欠陥・多動性障害』は、直径2メートルを超える円形のインスタレーション作品で、球のてっぺんからは絶え間なく墨汁が噴き出す





中国作家、周文斗の作品『注意欠陥・多動性障害』には「近づくと墨汁が飛びますのでご注意ください」という警告文が掲示されている。これは直径2メートル以上の円形インスタレーション作品で、球のてっぺんからは絶え間なく墨汁が噴き出し、表面に設置された20個以上のワイパーがインクを拭きとることで作品を創り出す。

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観客が観覧する中、イタリアの作家イベリッサ・ガルディア・フェラグッティが白壁にムチを打ちながら作品作業を進めている





今年の釜山ビエンナーレでは韓国・日本・中国における90年代以前の前衛(アバンギャルド)が同時に紹介されており、それぞれを見比べることができる。また、韓国のキム・チャンドン、中国の郭曉彦、日本のJ-teamなど各国の専門キュレーターが参加した実験的な美術作品も観覧客を出迎える。

ビエンナーレは11月30日まで続く。詳しくは公式ホームページにて。
http://www.busanbiennale.org/

コリアネット イ・ハナ記者
写真:釜山ビエンナーレ
翻訳:イ・スミン
hlee10@korea.kr