他国のゾンビとは違うKゾンビの動きに世界が注目
映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ドーン・オブ・ザ・デッド」「ワールド・ウォーZ」、アメリカのテレビドラマ「ウォーキング・デッド」など、ゾンビものは、西洋では昔から愛されているジャンルの一つ。それに比べて、韓国では馴染みがないと思われていたが、今や状況が変わった。Kゾンビが海外のファンを取り込めた理由について専門家は、西洋のゾンビとは異なる動きやキャラクターが持つ力、さらに俳優の演技力まで加わった結果と分析する。
韓国でゾンビ専門家として知られる鄭明燮(チョン・ミョンソプ)さんは、Kゾンビの動きに注目する。「韓国のゾンビは、スピードが速く、アクロバティックな動きをする」とし、「韓国独特のパリパリ文化から生まれたスピード感が、見る側に緊張感を与える」と説明する。「パリパリ」は、韓国語で「早く、早く」、または「急げ、急げ」という意味で、物事を急かす文化を指す。
鄭さんは、「外国のゾンビが、ただ動いているだけなら、Kゾンビは、ゾンビの動作や姿勢を研究し、さらに発展させたもの」とし、「ゾンビ分野において、韓国は遅れていたため、参考になるデータが多く、そのデータを積極的に活用した」と評価した。
アニメーション「ソウル駅」から、映画「新感染ファイナル・エクスプレス」「新感染半島 ファイナル・ステージ」まで、ゾンビをテーマにした作品を制作したヨン・サンホ監督は、Kゾンビの特徴について「単なる怪物のような生命体ではなく、さっきまで隣同士・仲間のような同じ人間だった存在」と話した。ただ処理すべき存在として認識される、他の国のゾンビと違って、わけありゾンビということ。
「新感染 ファイナル・エクスプレス」「キングダム」「新感染半島 ファイナル・ステージ」のゾンビの振り付けを担当した田穎(チョン・ヨン)さんは、「コンピュータグラフィックス(CG)なしに、奇怪な動きをし、ダイナミックにぶつかり合いながら走るゾンビ俳優」を、Kゾンビの特徴として挙げた。その上で、「外国人がKゾンビにハマったのは、韓国ゾンビものが持つ世界観や韓国ならではの伝統的なものが融合したため」と説明した。
多数の映画でゾンビを演じた韓聖洙さん=韓聖洙さんのインスタグラム(左)、チェ・テスン撮影(右)
Kゾンビが完成する過程
攻撃対象が現れると、猛烈に走るゾンビ群団。ゾンビたちは、やみくもに走っているわけではない。何のルールもなく、ただ体をひねっているわけでもない。ゾンビの基本ルールを守り、それぞれの作品に合わせて、ユニークなゾンビを演出するため、監督や振付師が作ったコンセプトに合わせて演技する。
田さんは、「新感染 ファイナル・エクスプレス」は狂犬病を、「キングダム」は夢遊病をモチーフにして、振り付けを完成した。これを基にして、「新感染 ファイナル・エクスプレス」では頭を振り立てるゾンビ、「キングダム」では、手を使わずに頭と胸が先に出るゾンビになるよう、俳優らに要請した。「新感染半島 ファイナル・ステージ」では、四つ足で走る、さらに攻撃性の高いゾンビだった。一見、全部同じようなゾンビに見えるが、このような細かな違いが隠されている。
俳優らは、ゾンビになるため、3~4カ月間、訓練を受ける。歩き方や表情、人を攻撃する際の様子、ゾンビになる瞬間の動きなど、様々な振り付けや演技を学ぶ。また、2時間以上かかる特殊メイクもKゾンビに欠かせない。