博物館は、国の歴史や文化が生き残っており、過去・現在・未来が共存する場所だ。また、国の文化水準を確認できる場所でもある。KOREA.netは、全国各地にある国立博物館の中から6カ所を選定し、絶対に見逃してはいけない代表所蔵品を紹介する記事を連載する。
第1弾と第2弾は、韓国を代表する博物館であり、最も長い歴史を誇る国立中央博物館を取り上げている。
1962年に国宝に指定された「青磁透彫七宝文香炉」=イ・ジュニョン撮影
[ソウル=イ・ギョンミ]
3. 青の美しさ、「青磁透彫七宝文香炉」
高さ15.3センチ、直径11.5センチの小さな香炉。高麗時代の優秀な工芸文化を確認できる代表作とされる=国立中央博物館
博物館3階にある青磁室内に「高麗翡色」と名付けられた空間がある。薄暗い展示室のあちらこちらで青い光がきらめき、中央にはひときわ目立つ作品が飾られている。高麗時代に制作された「青磁透彫七宝文香炉」だ。
香りが漂い出る蓋、お香を焚く本体、そしてこれらを支える部分、大きく3つの部分に分かれている。蓋には、七宝柄が透かし彫りされている。また、本体は、花びらが一枚ずつ表現されたハスの形をしている。
最も特徴的な部分は、香炉を背負っている3羽のウサギ。耳をつんと立てたまま、しゃがみ込んでいるウサギの様子が繊細に表現されている。黒の鉄の顔料を利用してウサギの瞳を表現したことから躍動感が感じられる。
香炉には、陰刻や陽刻、透かし彫り、象嵌など、様々な工芸技法が使われている。ソ・ユリ美術部・学芸研究士は、「高麗青磁の職人が駆使できる全ての工芸技法が動員された、技術の結晶」とし、「高麗青磁ならではの美しい翡色、つまり、明るくて澄んだ青色の釉薬から美しさがうかがえる」と説明する。
韓国の詩人で小説家であるパク・ジョンファは、自分の詩「靑磁賦」で高麗青磁のことを、「にわか雨が通り過ぎた秋の空」と歌った。また、美術史学者のコ・ユソブは「青磁は高麗人の青い花」と表現した。国立中央博物館を訪れるなら、韓国の澄んだ空の青色に似ている青磁を鑑賞する機会をぜひ見逃さないでほしい。
4. 人々を魅了するシンプルな美しさ「タルハンアリ(白磁大壷)」
高さと直径は約40センチ。故エリザベス女王は生前、タルハンアリを「世の中で最も美しい壺」と評価した=イ・ジュニョン撮影
3階の粉青沙器・白磁室には、「白磁タルハンアリ」の鑑賞に集中できる小さな場所がある。タルハンアリの後ろには降り積もる雪の動画が流れている。そして、タルハンアリの前には2つの椅子が置かれている。来館者はそこに座ってタルハンアリを眺めながら、ゆったりと落ち着いた時間を過ごす。
17~18世紀前半に制作されたと推定されるこのタルハンアリは、丸い満月に似ている。旧日本による植民地時代には「円壺」と呼ばれたが、美術史学者のコ・ユソブと画家のキム・ファンギによって「タルハンアリ」という新しい名前で呼ばれるようになった。韓国語で「タル」は月を、「ハンアリ」はツボを意味する。
このように大きなツボの場合、一度で作り上げるのがたいへん難しいため、半円形の上半分と下半分をべつべつに制作し、接合して仕上げる。そのため、接合部分の痕が残り、完全な円形になりにくい。だが、これがまた実際の月のように自然な美しさとして感じられる。華やかな模様はないが、柔らかい白色と美しい曲線は、見る人の心を落ち着かせる。
イム・ジナ美術部・学芸研究士は、「タルハンアリは、300年前に作られたが、モダンな感覚の作品」とし、「明るくて温かい感じの白色に、人為的ではない自然な形をしている。実際にツボとして使われたのではなく、ひとつのオブジェと言える」と説明する。
出口には、実際にタルハンアリを触ることができるコーナーがある。本物ではないが、タルハンアリのなめらかな触り心地を体験できる。
ソウル市・龍山区に位置する国立中央博物館の全景=イ・ギョンミ
# 国立中央博物館を楽しむ方法(下)
- 博物館は、あなたの予想以上に広い。ソファやベンチ、カフェなど、様々な休憩場所が設けられているので、休みを取りながらゆっくり観覧しよう。
- 国立中央博物館は、写真映えするフォトジェニックな場所でもある。青空と白い雲、そして遠くに見えるソウルタワーを背景に写真を撮れば、初心者でも素敵な一枚を撮ることができるだろう。
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