博物館は、国の歴史や文化が生き残っており、過去・現在・未来が共存する場所だ。また、国の文化水準を確認できる場所でもある。KOREA.netは、全国各地にある国立博物館の中から6カ所を選定し、絶対に見逃してはいけない代表所蔵品を紹介する記事を連載する。
第1弾と第2弾は、韓国を代表する博物館であり、最も長い歴史を誇る国立中央博物館だ。
星と宇宙を意味する天井、シナモンとヒノキの香りがする黄土壁がある「思惟空間」。大きさは440平方メートルで、壁と床がわずかに傾いている。
[ソウル=イ・ギョンミ]
[写真=イ・ジュニョン]
1. 半跏思惟像に会えるユニークな展示室「思惟空間」
入口付近にある「考えをめぐらし、物思いにふける時間」と書かれた文を読み、暗い入り口から中に入る。少し歩いて行くと、不思議な音楽と共に、宇宙の拡張や物質の循環を表現した白黒の動画が流れている。さらにその先をゆっくり進むと、トンネルのように暗かった通路の終わり。2体の半跏思惟像が目に入る。
ここはソウルにある国立中央博物館の2階に位置する「思惟空間」。韓国の国宝に指定されている2体の半跏思惟像が並んで展示されている。
左ひざの上に右の足を乗せて足を組み(半跏)、右手の指先は軽く右頬にふれて思索しているように見える。神秘的な微笑みは、見る人の心に安らぎをもたらしてくれる。
左側の半跏思惟像は、高さ81.5cmで、6世紀後半に制作されたとみられる。まっすぐ通った鼻筋、ぱっちりした目、華やかな装身具、はっきりと見える服のしわなどが特徴。金銅で作られており、その厚さが2~4mm程度であることから、当時の鋳造技術レベルの高さがうかがえる。右の半跏思惟像は7世紀前半に作られたもので、シンプルなデザインが特徴。
ここには、他の展示室とは異なり、ないものが二つある。展示品の説明とショーケースだ。
「思惟空間」の右側にある半跏思惟像
展示室の内部には説明がなく、来館者は作品に完全に集中し、自分なりの解釈をすることができる。入口と出口の壁面にあるQRコードを読み取ると、詳しい情報が得られる。
ショーケースの中に入っていないため、来館者は何の制限もなく、半跏思惟像の正面はもちろん横顔や後姿など、360度からじっくりと鑑賞できる。その分、見る人それぞれが抱く感情も異なる。
同博物館のヤン・スミ美術部・学芸研究士は「特定の所蔵品を展示するために、空間までデザインした例は多くない」とし、「『思惟空間』は、視覚・嗅覚・聴覚といった感覚が集約されている場所だ」と説明した。
その上で、「超現実的な場所にいるかのように感じられるここで半跏思惟像を鑑賞することで、自分について考える時間を持ってほしい」と伝えた。
2. 博物館の1階にそびえる「敬天寺 十層石塔」
高さ13.5メートルの「敬天寺 十層石塔」は、1962年に国宝に指定された。塔の下の部分と1~3階までは、モンゴルやチベット仏教から影響を受けた形、4~10階までは韓国の伝統的な形をしている。
常設展示室の1階の一番奥には、博物館を貫いてそびえ立っている塔が一つある。近くで見てみると、華やかな彫刻に一度感心し、見上げるほどの高さに二度感心する。高麗時代の末期に建てられた「敬天寺 十層石塔」だ。
韓国には、花崗岩が広く分布しているために、昔の石造物の多くは花崗岩で造られている。しかし、敬天寺塔は大理石で造られ、非常に高い価値を持つ。また、シンプルなデザインの伝統的な石塔とは違い、石塔のすべての面に仏教に関する物語が彫刻されていることからも特別な意味を持つ。
塔をよく見てみると、最下段の部分には獅子や龍、ハスなどをはじめ、小説「西遊記」の場面、そして羅漢(仏教の最高のさとりに達した聖者)が刻まれている。
敬天寺 十層石塔は1348年、京畿道・開豊郡の光徳面にある扶蘇山に位置していた敬天寺に建てられた。写真は塔の3階に刻まれている法会の場面
石塔の1~4階には、仏の教えを説き聞かせる場面や、塔の建立の背景を説明する文などが刻まれている。5~10階には、様々な仏坐像が刻まれているが、塔の上に上がるほど仏教の位階によって高い位置にある尊像が表現されている。
華やかな彫刻がされ、堂々たる威容を誇る石塔だが、その裏側には「略奪文化財」という痛みを抱えている。1907年、日本に不法に持ち出されたが、多くの人々の努力により、1918年に韓国に返還された。その後、1960年に、ソウルの景福宮に復元されたが、大理石は酸性雨などに弱いため、保存処理などを経て2005年、現在の場所に復元・展示されている。
半跏思惟像のミニチュア=国立博物館文化財団
# 国立中央博物館を楽しむ方法(上)
- 半跏思惟像が自分の家にあったら、と思う人はいないだろうか。そんな人には、「半跏思惟像ミニチュア」をオススメする。BTSのRMが購入して作業室においた写真がSNSで話題になったこともある。ミニチュアは、博物館内のミュージアムショップで購入でき、他にも博物館の展示品に関連した様々なグッズがたくさんある。
- 外国人のためのガイドツアーが毎日行われる。博物館所属の専門解説員やボランティアが約1時間にわたって、所蔵品などに関する説明を外国語(英語、日本語、中国語)で行ってくれる。外国人の来館者なら誰もが無料で参加できる。ただし、ホームページで事前にスケジュールの確認が必要。
km137426@korea.kr