文化

2024.02.19

博物館は、国の歴史や文化が生き残っており、過去・現在・未来が共存する場所だ。また、国の文化水準を確認できる場所でもある。KOREA.netは、全国各地にある国立博物館の中から6カ所を選定し、絶対に見逃してはいけない代表所蔵品を紹介する記事を連載する。 今回は、新羅時代の文化遺産がひと目でわかる国立慶州(キョンジュ)博物館を取り上げる。

[慶州=イ・ギョンミ]
[写真=イ・ジュニョン]

1.王様の権威と神聖さを見せつける「金冠」

新羅時代の「金冠」。当時は、像族や最高の貴族のみ、黄金の飾り物を所有することができたという。

新羅時代の「金冠」。当時は、王族や高位貴族のみ、黄金の飾りを所有することができたという。


博物館内の新羅歴史館の第2展示室には、特に人が集まっているところがある。遠くからでも「わ~すごい!」という人々の感嘆の声が聞こえる。そこには、まぶしいほど美しい、新羅時代の金冠が展示されている。

木の枝とシカの角の形をしている装飾。そこに丸い飾り物や胎児の形をしている翡翠色の曲玉が金糸で刺し通され、ぎっしりとつけられている。また、金冠の左右には長い飾りが下がっている。それに、金製のベルトまで。さすがに「黄金の国」と呼ばれた新羅のものだ。

キム・デファン学芸研究士は、金冠の一番の見どころとして、金冠の「デザイン」を挙げた。木の枝の形をしていることについて「古代社会で木は、天と地をつなぐ神聖な存在だった」とし、「当時の王様は、自分の権力も神聖なものであることを誇示するために、木の枝の形を取り入れた」と説明する。金冠をかぶって動くと、飾り物が揺れて音がするが、これも支配者としての威厳を保つためのものだという。

全世界で出土された金冠は合わせて10個余り。そのうち6個が新羅時代のものだ。6個の中でも国立慶州博物館に展示されているこの金冠が最も華麗で発達した形をしている。

金冠をはじめ、イヤリング、ネックレス、ベルト、靴まで、すべて黄金で作られたものを身にまとい、自分の権威を誇示する当時の王族を想像してみるのはどうだろう。


2.心落ち着かせる音、「聖徳大王神鐘」

1962年に国宝に指定された「聖徳大王神鐘」について、ドイツのある有名な学者は「この鐘ひとつで博物館を建てられるほどだ」と評価した。

1962年に国宝に指定された「聖徳大王神鐘」について、ドイツのある有名な学者は「この鐘ひとつで博物館を建てられるほどだ」と評価した。


博物館の正門を過ぎて内側に入ると、野外に展示されている大きな鐘が見える。新羅最高の技術者らが作った、高さ366センチ、重さ18.9トンの「聖徳大王神鐘」だ。

新羅第35代王である景徳王が、亡くなった父王・聖徳大王を讃えるために鋳造し始め、景徳王の息子である恵恭王によって完了した。

鐘の最上部にある、鐘を吊り下げるために作られた環状になっている部分は、龍が如意宝珠をくわえている形をしている。鐘身には蓮華の模様が、その下にはこの鐘の最も美しい部分と言える「飛天像」が描かれている。

聖徳大王神鐘に描かれている「飛天像」

聖徳大王神鐘に描かれている「飛天像」


「飛天」は、仏教でいう「空を飛ぶ女の仙人」で、ひざまずいたまま何かを切に祈り、天に昇るような姿をしている。イ・ヒョンテ学芸研究士は、「鐘の音を通じて天と地を繋ぐ。それを飛天像で表現した」と説明する。

鐘に描かれている模様は、正確に左右対称になっているのが特徴。イ研究士は「現存する鐘の中で最も大きい。また、鐘の模様は、今でも十分に通じるデザイン性だ」とし、「統一新羅時代の科学技術が集約されたもの」という。

録音されたものではあるが、毎時20分間隔で鐘の音を聞くことができる。かすかに長く鳴り渡る鐘の音を聞きながら飛天像を見ていると、心が落ち着く。


3.病人を治す「薬師如来」


統一新羅時代800年前後に制作されたものとされ、国宝に指定されている薬師如来

統一新羅時代800年前後に制作されたものとされ、国宝に指定されている薬師如来


仏教で薬師如来は、すべての病気を治し、寿命を延ばすなど、人々の生活に利益を与えるという。博物館内の新羅美術館の仏教彫刻3室にある「薬師如来」が多くの人々から愛されているのもそれゆえだ。

高さ180センチの「薬師如来」は、造形美を持っているものの、両手がない。腕を上げている姿や残っている昔の写真などの資料を通じて薬箱と見られるものを左手に持っている様子から「薬師如来」だと推定する。

シン・ミョンヒ学芸研究士は、薬師如来の後ろ側を観覧することをおすすめする。後ろ側を見てみると、頭と背中に大きな穴があるが、これは仏像を作った後、その中に入っていた土を取り除く際に使われた。高度な技術がなければ、こんなに大きな仏像を作ることはできないため、その過程が仏像の後ろ側からうかがえるという。

最後にシン研究士は、「博物館を訪れたら、ぜひとも薬師如来を見て、自分や家族の健康を祈ってほしい」と伝えた。


# 国立慶州博物館をもっと楽しむ方法

- 金冠が出土された天馬塚へ行ってみよう。天馬塚は内部を見て回ることができる。出土された際の様子が再現されている。博物館から天馬塚までは、歩いて20分ほどかかるため、タクシーで行くことをおすすめする。出発してすぐ「もう着きましたよ」というタクシー運転手の冗談まじりの話を慶尚道(キョンサンド)の方言で聞くことができる。

- 夜に博物館を訪れるのもいいだろう。ライトアップされた聖徳大王神鐘の飛天像は、いまにも飛び出てきそうに見える。夜間開館は、毎月最後の水曜日、3~12月の毎週土曜日の午後9時まで。

km137426@korea.kr

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