博物館は、国の歴史や文化が生き残っており、過去・現在・未来が共存する場所だ。また、国の文化水準を確認できる場所でもある。KOREA.netは、全国各地にある国立博物館の中から6カ所を選定し、絶対に見逃してはいけない代表所蔵品を紹介する記事を連載する。 今回は、光州と全羅南道地域のすべての文化と歴史がひと目でわかる国立光州(クァンジュ)博物館を取り上げる。
[光州=シャルル・オドゥアン]
1. 統一新羅時代の優雅な風格がある「光陽 中興山城雙獅子石燈」
「光陽 中興山城雙獅子石燈」の主な特徴は、台座部の柱石の部分が円形や八角形ではなく、双獅子だという点だ。1962年12月20日に国宝として指定された=イ・ジュニョン
国立光州(クァンジュ)博物館の2階では、南北国時代以降の光州(クァンジュ)と全羅南(チョルラナム)道の主な歴史がわかる。その中でもひときわ目立つ作品がある。2頭のライオンが塔を背負っているような姿が、とても不思議だった。石を削って作った灯である「光陽 中興山城雙獅子石燈」だ。
この石灯の高さは、およそ250センチ。胸を突き合わせた2頭の獅子が、闇を照らす火を支えていることから「双獅子石灯籠」とも呼ばれる。2頭の獅子は口、たてがみ、しっぽ、足などの形が異なることから、オスとメスだとも言われる。
国立光州博物館の金喜靜(キム・ヒジョン)学芸研究員は、「仏教で、獅子は仏陀の仏法と真理を守護する神秘的な動物だ。仏教の彫刻像には、獅子がたびたび彫刻されている」と説明した。バランスの取れた石灯を眺めているうちに、心が落ち着いてきた。
名前からもわかるように、本来、光陽中興山城雙獅子灯籠があった場所は、全羅南道・光陽市・中興(チュンフン)山城・玉龍(オンニョン)面・雲坪(ウンピョン)里・中興山城だった。日帝強占期である1931年に、大邱(テグ)に移されそうになったことがある。しかし、光陽郡・警察署の要請により、朝鮮総督府が国有として登録しソウルに移した。そして翌年、景福宮(キョンボックン)の中に置かれた。光復を迎えた後、国立中央博物館により引き継がれたが、1990年8月から本来あった場所と最も近い国立光州博物館に展示されている。
国立光州博物館のノ・ヒョンシン学芸研究員は、「韓国には、獅子を表した石灯が4点ある。中でも、この石灯は保存度が最も良い」とし「形が非常に美しい石灯であるため、国宝として指定されている」と説明した。
2.韓国の青銅器時代を代表する遺物、「和順 大谷里 青銅器」
1972年に国宝として指定された計13点の和順大谷里青銅器は、国立光州博物館で展示されている= イ・ジュニョン
博物館の2階にある歴史文化室では、旧石器時代から三国時代まで光州・全南地域で暮らしていた人々の様子がうかがえる。中には、興味深い歴史を持つ遺物がある。
1971年、全羅南(チョルラナム)道・和順(ファスン)郡・大谷(テゴク)里のある農家で、排水路の工事中に、計11点の青銅器が発見された。韓国式銅剣3点、小紋鏡2点、枝玉4点(八柱嶺2点、双頭嶺2点)、青銅斧1点、靑銅鉈1点。37年後に国立光州博物館が再び発掘を行い、韓国式銅剣2点を追加で発見した。
青銅器が発見された墓は、積石木廓墳だ。地面を深く掘り、丸太板を埋めた後、その上に3~4段の石を積み、墳丘を覆う。
死者と共に埋葬される青銅器は、非常に細かく作られており、洗練された形状だった。墓の主は分からないが、当時、非常に強力な権力を持っていたと思われる。
国立光州博物館の崔瀞娥(チェ・ジョンア)学芸研究員は、「和順大谷里青銅器は一つひとつの価値も重要だ。しかし、より重要なのは13点の青銅器が一つの墓から一度に発掘されたということだ」と評価する。
和順大谷里青銅八珠鈴は、ヒトデのような変わった形をしている。平たい板から8方向に放射状に広がる突起があり、先の方には丸い鈴が一つずつついている=イ・ジュニョン
和順大谷里で発見された青銅器の中で、対にたっている八珠鈴がとりわけ目を引く。中央に小さな輪がついていることから、どこかに下げて使用していたと推測される。
盧亨信(ノ・ヒョンシン)研究員は「似たような青銅の遺物が、ほかの場所からも発掘されたことがあるが、出土地が明確なのは和順大谷里が初めてだ」とし、このコレクションが重要な理由を説明した。
# 国立光州博物館、アジアの陶磁文化に着目する
1975年、全羅南道・新安(シンアン)郡の甑(ズン)島で、ある漁師が網で青磁の花瓶をすくい上げた。652年前の1323年に、海に沈没した中国の貿易船の中にあったものと確認された。その後、水中作業を経て、2万4000点余りがさらに発掘された。そのほとんどは現在、国立光州博物館が所蔵している。
1階にあるアジア陶磁文化室では、アジア陶磁文化の流れを見ることができる。新安の海底で発掘された文化財や、数千年間作られてきた韓国の土器と陶磁器が見られる。
国立光州博物館は1975年に新安で発掘された約2万4000点の文化財のうち、約1万9000点を所蔵している。博物館1階のアジア陶磁文化室では、韓国陶磁をはじめとするアジア陶磁や新安の海底から発掘された約1150点の文化財が展示されている=国立光州博物館
所蔵品が豊富な国立光州博物館は「陶磁文化館」を建設する事業を進めている。 国立光州博物館が掲げるビジョンは、「アジアの陶磁文化交流における拠点博物館」というポジションを確かなものにすることだ。
「陶磁文化館」には光州・全羅南道地域をはじめとする韓国陶磁器を中心に展示する計画だ。アジア陶磁器の多様な歴史や文化に関するすべてを盛り込む。地上2階7137平方メートルの規模に3つ展示室を作る。韓国陶磁文化室、新安海底文化財室、新技術融合コンテンツ映像室だ。来年10月のオープンを目標に工事が進められている。
caudouin@korea.kr