城山日出峰の下り道から見える海岸線には真っ黒な石が転がっている。済州島では見慣れた海岸の風景だ
済州島は今も昔も人気のハネムーン先だ。
様々なドラマや映画のロケが行われてきた済州島は、世界中で巻き起こった韓流ブームの影響で、外国人観光客が最も行きたがる韓国の観光地の一つになった。その理由として多くの観光客が真っ先に挙げるのが、済州島の美しい海岸だ。
済州市涯月邑の涯月海岸は、黒い海岸と青い海のコントラストがエメラルドグリーンの海をより美しく見せている
総延長258キロに上る海岸線に沿って進んでいくと、それぞれの魅力を漂わせる海岸が目に入ってくる。一般的な海水浴場から奇岩怪石で飾られた海岸まで、ユニークで個性的な海岸の風景は済州島でしか見られない絶景だ。
済州島の海岸でしか見られない特徴は「黒」だ。済州島の海岸は、「海水浴場といえば白い砂浜」という公式が当てはまらない。白い砂浜から珊瑚海水浴場まで、バラエティに富んだ済州島の海岸だが、黒い石と砂の海岸も珍しくない。黒い石と砂は、火山活動によって済州島が生成したときに残った火山岩や溶岩片などだ。
済州島の中文観光団地の海岸にある柱状節理帯
済州島の特徴と美しさを同時に観賞するのに欠かせないのが柱状節理帯だ。済州島南部の中文観光団地にある柱状節理帯は、階段のように積まれた六角形の柱が屏風のように立っており、自然の神秘さを感じることができる。この柱は、海に流れた玄武岩質溶岩が海水で急速に冷却されることで起こった収縮作用によって形成された。済州島の柱状節理帯は、柱1本の高さが30~40センチ、全体の幅が1キロに上る。波が荒いときは、柱に乗って20数メートルまで水しぶきが上がる。
水月峰の海岸絶壁の火山碎屑層。火山地層と堆積層に入り込んだ黒い石の断層を見ることができる
コサン浦口にある水月峰の海岸絶壁は、海岸の美しさだけでなく、済州島の歴史も示している。海岸線に沿って形成された散策路に沿って歩いていくと、海岸絶壁の断層が堆積層と火山地層が克明に区分されており、火山活動が活発だった済州島の歴史を物語っている。
挾才海岸は、透明な海と白い砂、黒い岩石、そして青緑の海草が調和し、済州島ならではの海岸の雰囲気を漂わせている
挾才海岸は、白と黒、青緑、そして青が調和し、済州島ならではの海岸の雰囲気を漂わせている。 黒い岩に根を下ろした青緑の海草の間に赤いカニが見え隠れする。白く輝く広大な砂浜の一方では、長旅の途中で餌を求めてやって来たカモメがしばし羽を休めている。海岸を訪れた人々はそうした風景を眺めながら、風に乗って漂ってくる海の香りを満喫する。
挾才海岸では無数のカモメが群れをなしている風景を見ることができる
月汀里海岸では白い砂浜に出会える。北東部の海岸道路に沿って進んでいくと見えてくる月汀里海岸は、半月の形をした海岸線と白くてきれいな砂、そしてこじんまりとしたカフェでこれらの風景を眺めながら温かいコーヒーを飲んで憩いの時間を過ごす人々の姿が印象的だ。海岸の随所で澄んだ海と青い空、白い雲と白い砂が織り成す素敵な風景と思い出をカメラに収める人々の楽しそうな姿が多く見られる。
月汀里海岸で済州島の海岸を満喫する人々
済州島内陸に散在する小さな火山は海岸でも見られる。大小の島と暗礁だ。近隣の小さな島の一部は、自分で船を漕いで見回ったり、島に入って散策したりできる。コサン海岸のコサン浦口から10分ほどの距離にある遮帰島は、まるで巨大なクジラが海に浮かんでいるような形をしている。遮帰島を見られるコサン海岸は、美しい日の入りを観賞できる済州島の日の入りスポットの一つだ。
コサン海岸から望む遮帰島。巨大なクジラが海に浮かんでいるようだ
月汀里海岸では、遠くで巨大な風力発電機が回っているのが見える
風力発電機は、済州島の海岸のもう一つの見どころだ。海岸道路に沿って進んでいくと、月汀里海岸をはじめ数カ所で巨大な風力発電機が見られる。海風を受けてゆっくりと回る風力発電機は、済州島に65基設置されており、エコアイランド「済州島」の象徴でもある。
記事:コリアネット ユン・ソジョン記者
写真:コリアネット チョン・ハン記者
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