ムジュ(茂朱)郡はキョンサン(慶尚)南道と慶尚北道、チョンラ(全羅)北道、チュンチョン(清忠)南道と清忠北道の5つの道、6つの市・郡が交わる場所に位置している。国土の南北軸であるテジョン(大田)-チンジュ(晋州)高速道路が茂朱を通っており、ソウルや釜山など全国どこでも3時間以内に行ける内陸交通の要衝だ。
面積は631.9平方キロメートルで、ソウル市の総面積より約27平方キロメートル広いのに対し、人口はソウル市の一洞にも及ばない2万6,000人だ。人口が密集した都会とは全く違う快適な田園農村地域である。
ここは三韓時代(古代三国が形成される前にいくつもの小国家が存在していた時代)、南北に伸びたソベク(小白)山脈を境に、東は弁韓と辰韓、西は馬韓に属していた。朝鮮時代初期の15世紀、新羅のムプン(茂豊)と百済のチュゲ(朱溪)が合併され、2つの村の頭文字をとって「茂朱」という地名になり、今日に至っている。
韓国で4番目に高い茂朱郡の徳裕山。最高峰の香積峰は標高1,614メートルだ
茂朱は、晩冬の風景がとても美しい町だ。韓国で4番目に高い徳裕山の香積峰をはじめ南徳裕山、ムリョン(舞龍)山、チョクサン(赤裳)山、テドク(大徳)山など、標高1,000メートルを超える10余りの高山に囲まれており、標高400~500メートル以上の内陸高原地帯を形成している。このような地理的条件により、同じ郡でも気温差が5度以上ある地域もある。
産業人口の50%以上が農業に従事しているが、山地が多く耕地が狭いため、稲作より畑作を中心に農業が営まれている。高山に囲まれた高原の寒冷気候のため、大根や白菜など高冷地野菜が多く栽培され、ニンニクや高麗人参、クルミ、松の実、キノコなどが特産物だ。特に、山地から採取した新鮮な山菜で作った料理は、この地域ならではのグルメだ。
山で採取したいろいろな山菜とテンジャン(味噌)チゲの組み合わせ
約40年間にわたって山菜定食レストラン「ピョルミガーデン」を経営してきたチェ・ヨンピョさんは、「近くの山から採ってきた山菜と薬草を、化学調味料を一切使わずに山菜本来の風味を生かして調理している」と説明する。自ら山に行って採取してくるので季節によっていろいろな山菜を味わうことができる。
歴史/観光茂朱郡は、1997年に韓国で初めて冬季ユニバーシアード大会を開催し、世界の人々の注目を集めた。その後、会場となった場所に茂朱徳裕山リゾートが建設され、茂朱は再び国際的な観光地として脚光を浴びるようになった。スムーズに移動できる春、夏、秋には色とりどりの野生の花が咲くカントリークラブでゴルフを、冬はスリル溢れるスロープでスキーを楽しむことができる。観光ゴンドラを利用すれば、季節によって違う徳裕山の魅力を存分に味わうことができる。ゴンドラは、頂上のすぐ手前の標高1,520メートルのソルチョン(雪川)峰まで運行し、そこから20分歩けば徳裕山の頂上であるヒャンジャク(香積)(ヒャンジョク)峰にたどり着く。リゾート内には宿泊施設はもとより疲れを癒せる露天風呂も設けられている。高山が苦手な人は、近くの徳裕山自然休養林で憩いのひと時を過ごすとよい。
晩冬を迎えた茂朱徳裕山リゾートのスキー場(上)とカントリークラブ(下)
ほかにも、茂朱とレジャースポーツの深い関わりを感じさせる場所がある。2004年にオープンしたテコンドー院は世界中のテコンドー愛好家8千万人が注目するテコンドーのメッカで、今年で8回目を数える国際サイクリング大会「ツール・ド・コリア(Tour de Korea)」では、ハナム(河南)市とチュンジュ(忠州)市を経由して全国を横断する世界のサイクル選手たちの憩いの場となっている。
雪川面のバイクテルは、自然の中でサイクルを楽しもうという観光客に人気の宿泊施設だ
バイクテルでレンタルした自転車で近くの谷や山岳地域を探訪することができる
また、レジャースポーツに対する関心の高まりから自転車で訪れる人が急増していることを受け、ソルチョン(雪川)面に「バイクテル」が設置された。文化体育観光省と韓国観光公社が選定する優秀宿泊施設に選ばれた宿泊施設で、1階はゲストルーム、2階は客室で構成されており、自転車レンタルサービスも提供している。仲間同士または家族連れで利用したい。茂朱郡庁文化観光課のパク・ギルチュン係長は、「クチョン(九千)洞の渓谷沿いの道に沿って形成された絶景を楽しめる自転車コースがこのところ大人気だ。特に、春の花が咲く4月と5月の景色は絶景」と強調する。
茂朱郡へのアクセス方法京釜高速道路~水原~平沢~大田~大田統営高速道路ソウルからKTXまたは高速バスを利用する場合は、全州駅で降り、そこからアクセスすることができます。
記事:コリアネット イ・スンア記者
写真:コリアネット チョン・ジン記者
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