食・旅行

2022.05.17

韓国の著名な美術史学者のユ・ホンジュン氏は、自身の著書の中で「知っている分だけ見える」と述べている。有名な場所も、いつもと同じ日常も、どれだけ知っているか、どんな視点で見るかによって、見える風景は違ってくるからだ。

 

Korea.netは、韓国の地域文化や旅行先を紹介するコンテンツを連載する。ネットなどですでに知られている有名な場所は、人と地域が作り出した物語を中心に、新しい視点で紹介する。韓国各地の隠れた名所を探し、その魅力をKorea.net読者の皆さんにお伝えする。



[南海=キム・ヘリン、イ・ギョンミ]
[映像=キム・ヘリン、ユン・ヒヨン]


南海観光地図のイラスト=キム・ヒョンスク制作

南海観光地図のイラスト=キム・ヒョンスク制作


ソウル近くの首都圏から慶尚南道(キョンサンナムド)・南海(ナメ)まで行く最も便利な方法は、バスである。ソウル南部ターミナルで出発する南海行きバスは一日5回運行される。


ソウル南部ターミナルの券売機(左)、バス予約アプリ(中)=キム・ヘリン撮影

ソウル南部ターミナルの券売機(左)、バス予約アプリ(中)=キム・ヘリン撮影


ソウルから遠く離れるにつれ、窓から見える風景は変わってくる。緑はだんだん深く美しくなり、心もしだいに落ち着いていく。南海は、3つの大橋(南海・露梁・三千浦)で陸地と結ばれている島。特に、南海大橋の赤色は水平線と調和し、非常に美しい。カーテンを開いて、外の風景を楽しんでみよう。


慶尚南道・河東郡と南海郡を結ぶ南海大橋=南海郡庁

慶尚南道・河東郡と南海郡を結ぶ南海大橋=南海郡庁


島に到着したら、まずは交通手段を決めよう。バスターミナル近くでレンタカーを借りたり、公共交通機関を利用したりなど、色んな方法がある。「トゥボギ・バス」(https://www.namhae.go.kr/tour/00012/00934/00688.web)を利用するのはどうだろう。トゥボギとは、車に乗らず、てくてくと歩く人を表す言葉。トゥボギ・バスは、南海を代表する観光地の「ドイツ村」「菩提庵(ポリアム)」「タレンイ村」などを巡回する。出発地から到着地まで、主要観光地をまわるのに2時間程度かかる。1日に限り、何度でも利用することができる「一日利用券」は、5000ウォン(約500円)で、2~3時間おきに運行している。


アブラナの花が満開を迎えた南海=キム・ヘリン撮影

アブラナの花が満開を迎えた南海=キム・ヘリン撮影


もっとプライベートな旅がしたい人には、「タクシー観光ガイド」サービス(https://www.namhae.go.kr/tour/00012/00934/00369.web)がおすすめ。タクシードライバーが観光地のガイドを行い。南海を案内してくれる。半日コースが8万ウォン(約8千円)、1日コースが15万ウォン(約1万5千円)。パソコンやスマートフォンで予約する場合は希望日の2日前までに、電話や直接訪問して予約する場合は1日前までに申し込みが必要だ。行きたい場所や時間帯を自由に設定できるのがメリット。


竹防簾を見ることのできる観覧台=南海郡庁

竹防簾を見ることのできる観覧台=南海郡庁


チジョッ村に着くと、木で作られた建造物が海の上に浮かんでいるのが見える。500年以上前から南海に伝わる漁法「竹防簾(チュッパンニョム)」。竹製の簾のような囲いを海中に設置し、潮の満ち引きを利用して魚を取る。2015年に韓国政府の「国家重要漁業遺産」に指定されている。竹防簾を近くで見ることができる観覧台も設けられている。



防潮魚付林へ行くと、波の音や風が木の葉をゆらす音が聞こえてくる。のんびり散策を楽しむことで、日ごろのストレスが解消される。海辺の階段に座って、港を眺めながら写真を撮るのもいい。


ビョクリョン港=キム・ヘリン撮影

ビョクリョン港=キム・ヘリン撮影


韓国の柱状節理といえば、多くの人は済州島を思い出すかもしれないが、南海にも柱状節理がある。現地の人々にも知られていない、ここへ行きたいなら、ビョクリョン港に向かおう。目的地は良阿里(ヤンアリ)の柱状節理。溶岩が冷却し、固まった際にできる柱状節理は、他の海では感じられない独特な雰囲気を醸し出す。



ゆっくり楽しみたい人には、ヨットに乗ることをおすすめする。ビョクリョン港近くの「南海海洋レポーツ」で借りることができ、料金は1時間で10万ウォン(約1万円)。予約受付の電話番号は、010-8208-6300。


タレンイ村=キム・ヘリン撮影

タレンイ村=キム・ヘリン撮影


タレンイ村は、高いところから眺める下の景色も美しいが、海側から山の方向を眺めても素晴らしい景色が楽しめる。村の中まで車で行くのは難しいため、村を歩いて回るのがいい。



村の所々には、村の歴史や農村体験プログラムを説明する案内文が書かれているので、関心があれば申し込むのもいいだろう。1時間あれば村全体を回ることができる。村に入る時は下り坂だが、帰るときは逆に上り坂になるので、楽な靴を履くことをおすすめする。


南海の食べ物=ユン・ヒヨン撮影

南海の食べ物=ユン・ヒヨン撮影


南海では何を食べればいいんだろうか。海に接しているだけに魚介類はもちろん、ホウレンソウやニンニクなどが有名だ。南海の飲食店を訪れると最も多く見られるメニューがある。南海の郷土料理であるカタクチイワシ刺身の和え物「ミョルチフェ・ムチム」、カタクチイワシを使った包みご飯「ミョルチサムパプ」。他には、ひじきが入ったキンパやビビンバなどもおいしい。南海の名物「柚子」が入った柚子マッコリもおすすめ。爽やかで飲みやすいため、どんな食べ物にもよく合う。



kimhyelin211@korea.kr