韓国の著名な美術史学者のユ・ホンジュン氏は、自分の著書の中で「知っている分だけ見える」と述べている。有名な場所も、いつもと同じ日常も、どれだけ知っているか、どんな視点で見るかによって、見える風景は違ってくるからだ。
KOREA.netは、韓国の地域文化や旅行先を紹介するコンテンツを連載する。ネットなどですでに知られている有名な場所は、人と地域が作り出した物語を中心に、新しい視点で紹介する。韓国各地の隠れた名所を探し、その魅力をKOREA.net読者の皆さんにお伝えする。
[襄陽=アフメトジャノヴァ・アイスル]
[映像=イ・ジュンヨン]
韓国・江原道(カンウォンド)の東部にある襄陽郡(ヤンヤングン)。サーフィンといえば、襄陽郡だ。大小さまざまな波を求めて世界各地のサーファーが訪れる。
豊かな自然の中でマリンスポーツを楽しむことができる。おしゃれなカフェ・レストランも若者を中心に大人気。ソウルからの距離も155キロで釜山市(325キロ)や済州島(455キロ)より近い。日帰りができることも魅力の一つ。6月のある日、ロシア出身の筆者は襄陽郡に足を運び、町の魅力を体験した。
ソピビチ=パフ・アナイス
サーフィンの人気が高まり、専門ショップやサーフィン・スクール、カフェ、レストランが並ぶ通りも造成されている。特に「ソピビチ」はSNS映えスポットとして話題となった。2015年までは軍事地域に含まれていたが、韓国の雰囲気に異国情緒が混じり合い、独特の雰囲気が漂っている。
ピザを食べながらゆったりと過ごす人も多く見られる。ソウルから友だちと遊びに来たチェ・ソヨン氏は、ここでサーフィンを初めて習った。来月の訪問も予定しているという。
10年前、襄陽は住民の平均年齢が50歳という静かな町だった。しかし今は、サーフィンを楽しむ人で活気に溢れている。2009年、初のサーフィン・スクールが設立された。ブルーコーストの代表、チョン・ヒョプソン氏は、襄陽郡近海について「水深が浅くて波が高い。サーフィンするのに最適な場所だ」とコメントした。「釜山市と済州島は夏、襄陽郡は秋から翌年の春までがベストシーズンだ」とも説明した。
サーフボードは大きさによって6種類ある。初心者であれば、安定感に優れた厚みのある「ロングボード」を進める。「海面に接する面積が大きいため、波に乗りやすい」と説明した。
当時、住民らはサーファーの服装を見て「露出が多い」と警察に通報した。だが、お互いに理解を深めるために対話を繰り返し、規則を作った。そのおかげで、現在の関係は良好である。
ソピビチ=パフ・アナイス
サーフィンへの関心が高まるにつれ、関連業種も人気を得ている。専門ショップが2012年の5カ所から今年102カ所に増えた。人口2万7000人の小都市であるが昨年、新型コロナの拡散にも関わらず約250万人の観光客が襄陽郡を訪問した。
サーフィンを習う人々=イ・ジュンヨン
ソピビチ=パフ・アナイス
韓国といえば、K-POPや韓国ドラマ、韓国料理が広く知られている。だが、知られざる韓国、若いエネルギー溢れる韓国を感じたい人には、襄陽郡をおすすめする。
aisylu@korea.kr