映画『ミナリ』のポスター=東宝シネマズホームページ
映画『パラサイト 半地下の家族』につづき、世界で話題となっている韓国映画をご存知ですか?それが『ミナリ』です。
アカデミー賞では6部門にノミネートされ、主人公の妻の母を演じたユン・ヨジョンが助演女優賞を受賞しました。韓国人俳優としては初の快挙で、歴史に残る偉業を成し遂げました。
私も先日鑑賞しましたが、アメリカの田舎の生活というものはあまり他の映画でも見たことがなかったですし、特にアジアの人が異国の地に移住して経験する出来事を描いた作品だったので感情移入ができたと思います。雑草のように強く育つ植物だという「ミナリ(日本語でセリ)」。異国の地で強く生きていく人々を意味します。成功を夢見る主人公と現実的な妻、落ち着いている姉と病弱な弟、そして韓国で独り身だったため急遽家族と共に米国に住むこととなった妻の母、それぞれの想いと葛藤がドラマチックに描いている物語です。
映画の感想としては終始不思議な世界観で、独特な映画だと思いました。主人公はアメリカンドリームのようなことを夢見て色々と挑戦をしますが、如何せん暮らしぶりがよくないため妻は素直にその夢を応援することができず、そういう部分の葛藤はよく理解できました。ですが、持病を抱える息子を心配しすぎるあまり囲い込みすぎていたので、突然韓国からアメリカに渡り一緒に住むことになったおばあさんが息子を普通に扱ってくれたことがよかったなと思いました。おばあさんらしくないと、最初は近づけなかった息子がどんどん距離を縮めていく姿に心を動かされました。
オスカー俳優となったユン・ヨジョンはさすがの演技で、汚い言葉を放ったり英語と韓国語を混ぜて話したりするひょうきんな演技も、突然脳梗塞になってしまったあとの演技も素晴らしく、唯一無二なおばあさん像を作り出していたと思います。映像を見ているだけでも田舎の景色などがとても美しかったので一見の価値はあると思います。
「ミナリ」は、韓国ではポピュラーな食材で、サムギョプサルと一緒に焼いて食べたり、おかずにも和え物など様々な形で登場します。日本ではセリを日常的に耳にする機会も食べる頻度も少なく、春の七草として七草粥にして食べるのが一般的なのと比較すると、「ミナリ」は韓国を象徴する野菜と言っても過言ではないかと思います。
映画「ミナリ」を見てからミナリが食べたくて、「ミナリチヂミ」を作ってみました。
【ミナリチヂミの作り方】
材料(2人分):ミナリ1束、チヂミ粉(なければ米粉や小麦粉)、卵2玉、水、油
1.ミナリを3~4cmほどの長さに切る。
大野瑠華撮影
2.チヂミ粉適量と水適量(目分量で作りました)を混ぜる。米粉や小麦粉を使用する場合はダシダなどで味を付けてください。
大野瑠華撮影
3.混ざったらミナリを絡める。
大野瑠華撮影
4.多めの油をフライパンにひき、よく温まるまで待ちそこに先ほど作った生地とセリを投入する。
大野瑠華撮影
5.縁のところがきつね色になってきたら裏返し、また少し焼く。
大野瑠華撮影
6.両側がいい色になり火が通ったら完成です!
大野瑠華撮影
盛り付けたミナリチヂミとマッコリ=大野瑠華撮影
材料も少なく、簡単に作れますのでみなさんもミナリを見つけたらぜひ作ってみてください!ミナリの緑色がとてもキレイで、ほんのり甘くておいしいです。私は米粉とダシダで作ってみたのですが、生地がもちもちになりそれもまたよかったです。
韓国では雨に日にはチヂミにマッコリという言い回しがあります。ちょうど雨の日だったのでこのチヂミにマッコリも一緒に楽しみました。新型コロナウイルスの感染が長引き、韓国への渡航はもちろん、外食も難しくなっていると思いますので、この機会に映画「ミナリ」を見て、ミナリを使った料理をおうちで作ってみるのもいいかもしれません。
*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
eykim86@korea.kr