[仙台=木村吉貴(日本)]
2022年は宮城県・仙台市と韓国の光州広域市が姉妹都市締結を結んでから20周年の節目の年に当たります。そこで今回は、20年以上仙台市と韓国の光州広域市の交流に関わってきた仙台市の文化観光局交流企画課多文化共生・国際交流支援員の中村知史さんにお話をお伺いしました。
光州市と仙台市が姉妹都市締結を結んだきっかけは1992年の光州市広域市からの姉妹都市提携希望を契機として始まりました。その後、2000年代に入ってから仙台市でも国際交流を推進する動きがあり、「友好促進協定」を締結して以来、文化・スポーツ、障害者同士の交流などでの両市の市民レベルでの交流が盛んとなり、更に2002FIFAワールドカップの成功に向けた両市民の気運の高まりなどの背景を踏まえ、2002年に姉妹都市締結に至りました。
仙台国際ハーフマラソン大会と交流レセプション=中村知史さん提供
20年間の交流を振り返って
最も代表的な交流事業は、毎年5月に仙台で開催される「仙台国際ハーフマラソン大会」で、海外招待選手団として光州広域市の選手団が来仙し、マラソン大会に出場していることです。ただ大会に出場するだけではなく、大会後に行われる「交流レセプション」の場を通じ、仙台市内の国際交流団体や一般市民と食事をしながら交流できる場が設けられています。
姉妹都市10周年記念の際は、光州市立国劇団が来仙し、韓国伝統芸能の公演を行いました。色鮮やかな民族衣装に身を包んだ踊り手による優美な舞いや、民謡、迫力ある打楽器の演奏などを披露し、約400人もの来場者を魅了させました。
他にも10周年の際は、仙台市側から副市長を団長にした訪問団が3泊4日の訪問日程で光州広域市に訪れてました。仙台市の訪問団は光州市で姉妹都市提携10周年を記念して行われた「日韓経済交流シンポジウム」や、2002年から毎年開催されている「国際ライトビジョンエキスポ」の開幕式などに参加しました。特に、「国際ライトビジョンエキスポ」では、仙台市副市長がテープカットを行いました。また、70~80年代を懐かしむことをテーマとした「7080忠壮まつり」の開幕式にも参加し、仙台市の伝統演舞を披露することでメインストリートに集まった多くの光州市民のみなさんに仙台の伝統文化を紹介するなど、交流を深めました。
20周年となる今年はコロナ禍の影響もあり、実際の交流は2020年以降実施が難しく、それでも出来る範囲の交流事業として仙台市民図書館で「光州広域姉妹都市提携20周年記念展示会」を開催され、光州広域市の観光パンフレット、図書館の韓国関連の書籍、パネル、光州広域市ゆかりの品などが展示され、図書館に訪れる学生や仙台市民向けに光州広域市の魅力をお伝えしました。
オンライン・キムチ作り交流=中村知史さん提供
その他にも、近年では「民間」による交流も盛んに行われています。コロナ前までは仙台市と光州市の相互訪問による少年サッカー交流、そして仙台市にある明成高校がこれまで何度か光州市から「光州世界キムチ祭り」に招待されていたこともあり、光州自然科学高校の調理科の生徒さんとオンライン・キムチ作り体験交流をしています。
中村さんが体験した光州広域市でのエピソードとは?
職業柄、光州広域市の市庁の方達とも交流がある中村さんは今まで公務やプライベートで6回ほど光州に訪れたことがあるようです。そこで中村さんは「自分にしか出来ない体験」をしてみたいと思いました。
光州広域市は東方神起のメンバーである「ユノさん」の出身地です。中村さんは韓流スターのゆかりの地を巡ろうとユノさんの母校を訪れました。当時のユノさんの担任の先生たちに会って学校を見学したようなのですが、そこで先生から一言あったようです。
「ユノさんの母校ということで沢山の日本人観光客がここを訪れます。中にはユノさんの机に座りたいという方もいるのですが、実はもう何年も前のことなので、彼がどこの席だったか実はもう覚えていません。ですからどうしてもという方には確かここだったようなというような形でうる覚えで案内しています。」
ユノさんの机に座りたかった中村さんですが、結局座れなかったようです。
仙台市文化観光局交流企画課多文化共生・国際交流支援員の中村知史さん=木村吉貴撮影
光州市と仙台市のこれからのビジョン
仙台市は国際交流から多文化共生に政策の重点を切り替えたことにより、自治体レベルでの交流は以前より少なくなり、予算もあまりつかなくなりました。このような背景から中村さんは「民間」が主となって国際交流を行う時代が到来したと考えています。
その為、中村さんは駐仙台大韓民国総領事館の協力の基、光州広域市との交流をメインにした民間交流団体である日韓友好交流連合会を立ち上げました。9月24日には仙台市民向けに光州広域市勉強会と光州市民とのオンライン交流会を開催する予定で、さらに10月には仙台市内でK-POPダンス大会やトークショーなどの大規模な日韓交流祭りを企画しているようです。そこには仙台市民にとって韓国が身近な存在であってほしいとの願いが込められています。今後仙台から発信される韓国情報に目が離せません。
*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
km137426@korea.kr