[仙台=木村吉貴(日本)]
吉本一教授=吉本一提供
日本では「韓国」が既に身近な存在になった現代。
私は2年前に韓国語能力試験(TOPIK)を受けましたが、試験会場がたくさんの人で溢れていたのがとても印象に残っています。
今回はそんな「韓国語」について学生時代、私の韓国語の先生だった東海大学語学教育センター国際言語教育部門で韓国語を担当している吉本一教授にお話をお伺いしました。
• 吉本先生の経歴と「韓国」に興味を持ったきっかけは?
韓国旅行に行った際、飛行機の中で韓国語を勉強したのがきっかけだったようだ。元々読書が好きだった吉本先生は、勉強すればするほど「面白い」と感じるようになり、日本に帰国後、アルバイトで留学資金を貯め、韓国の高麗(コリョ)大学の語学堂へ留学。
その後、後に結婚をすることになる奥様との出会いがきっかけで韓国の釜山(プサン)大学校の一般大学院国語国文学科修士課程に入学、その後博士学位取得まで勉強にのめりこんだそう。
釜山大学校に在学していた頃は学生をやりながら近くにある昌信(チャンシン)大学校の日本語学科の専任講師も務めていたので「忙しい毎日だった」と当時を振り返る。
帰国後は「英語教育部門」「国際教育部門」「留学生支援教育部門」の3つの部門で構成されている東海大学語学教育センター国際言語教育部門で韓国語の教授に着任。
• 日本における韓国語履修者の歴史
日本で韓国語が第二外国語として認知され始めたきっかけは1988年のソウルオリンピックの時代まで遡る。
オリンピックがきっかけで日本国内でも大学の授業で韓国語を履修できる機会が徐々に増え始めたのだったが、それでも当時は「外国語」大学でのみの話しであり、現在と比べると履修者も少ないマイナーな言語であった。それが2002年の日韓ワールドカップ、そして日本で爆発的にブームになったいわゆる 「ヨン様ブーム」の背景もあり、韓国語学習者は現在も年々増え続けている。
2018年、東海大学で韓国語を学んでいる学生たち=木村吉貴撮影
近年では「NHK語学講座テキスト」の販売部数を見てみると、韓国語は英語に次いで2番目の販売部数を持つ。東海大学の第二外国語履修者を分析すると10年前は履修者が一番多い言語が英語、続いて中国語、韓国語となっていたそうなのだが、近年の履修者は中国語を抜き、2022年の東海大学での韓国語履修者を見ると6301名と必修科目である英語にも劣らない履修者となっている。
今後も日本全国の韓国語学習者は増える一方だと吉本先生は考える。
• 「きっかけ」の変化
2000年代は「ヨン様ブーム」に影響を受けた家庭内での影響が起因となる。調査によると「母と一緒に韓国ドラマを見ていたら面白かったから自分もはまった」というのが傾向として多く見られた。
それから2010年代に入ると、若者のK-POPがきっかけとなる場合が多くなり、2000年代とは若干の変化が見られたようだ。近年は東海大学内で行ったアンケート調査によると、「韓国のグルメに興味がある」ことがきっかけで韓国語の学習者が増えたという背景がある。
• 韓国語の面白さ
何語であっても、言語の学習や研究は非常に面白いと思う。その中でも日本語と韓国語は、言語の構造が似ているので、日本人であれば誰しもが取り組みやすい言語であるのが魅力的。
やがて上級になればなるほど「似ているが微妙に違う」言語の「ズレ」が発生する。それを克服していくのが非常に面白い。
例を挙げると日本語では「これは何ですか?」を韓国語で表現すると「이게 뭐예요 ※これが何ですか?」や日本語では「あの。。。」とよく表現されるが、韓国語では「그… ※その。。。」で表現される微妙な違いや同じ漢字語で表現される「愛人」、「割愛」、「八方美人」などの言葉のニュアンスや意味の違いを追求するのが韓国語を学ぶ人たちの最大の魅力ではないかと吉本先生は語る。
街中の面白看板=吉本一提供
• 韓国語が上達するためのポイント
「語学習得に近道はなし」と語る吉本先生だが、その中でも「楽しさ」、「適正」、「自分に合うコンテンツ」を見つけるのがポイントだという。「楽しさ」とは何時間続けても飽きずに続けられるかのこと、「適正」に関しては、自分は読み、書き、話しの何が得意なのかを分析し、勉強を続けていく上で何のコンテンツに興味を持てるかが上達のためのポイントだ。
吉本先生が学生だった時代は「流行していた歌をウォークマンで聞く」「レンタルビデオを見る」「新聞を読む」「看板を見ながら発音練習をする」などの地道な努力を続けていた。現代はデジタル化が進み、勉強しやすい環境になったので、学校での授業の他にYouTube や外国語学習アプリを活用し、コツコツと努力を続けることが韓国語習得への道になると吉本先生は語る。
*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
km137426@korea.kr