名誉記者団

2022.11.16

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チェッコリの内部=7月18日、東京、本村沙也撮影


[東京=本村沙也(日本)]
[写真=本村沙也]


「チェッコリ」は、出版社「クオン」が運営している本屋さんです。日本語訳された韓国の書籍はもちろん、韓国語学習のための本、韓国語の小説や詩、エッセイ、絵本、コミック、料理本、人文書、美術関連書など約4000冊を取り揃え販売しています。

「チェッコリ(책거리)」とは、昔、子供が書堂(ソダン 서당:日本でいう寺子屋にあたる)で一冊の本を習い終えた時に行われていた儀礼で、先生と生徒が一緒にお祝いの場を開く行事のことをいいます。「チェッコリ」には、生徒の学業成就を督励し、先生の教えに感謝する意味が込められています。


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机の上に飾られている本=7月18日、東京、本村沙也撮影


多くの韓国好きが訪れている本屋さん「チェッコリ」。
今年でオープン7年目を迎えたということで、その魅力を知るべくお店を訪ねました。

「チェッコリ」は、 東京・神保町駅から徒歩1分の場所にあります。ビルの階段を上がり扉を開けると、ちょっとした廊下に店員さんおすすめの本や新着本が紹介されているコーナーがあり、奥に進むと木造りの本棚が並ぶ店内が広がります。


出版社「クオン」経営者である金承福代表=本人提供


チェッコリというお店について、出版社「クオン」経営者である金承福(キム・スンボク)代表にお話を伺いました。


ーー「チェッコリ」設立のきっかけは何ですか?
本屋さんを作るという目的が最初からあったわけではなく、ただ韓国が好きな人が集まって話せる場所を作りたいと考えていました。自分は本が好きだし、韓国の本は日本にまだ広く伝わっていないため、本で繋がる場所を作ろうと思いました。


ーー7年間でなにか変化はありましたか?
オープン当初は、韓国語学習者の来店が多かったですが、ここ2,3年は、K-POPから関心を持ち韓国語を学ぶ方やイラストエッセイ等の翻訳本を求めて訪れる若い世代(高校生から大学生、20代前半くらい)の来店も増えました。

また、オープン当初に韓国語を勉強し始めたお客さんが、今では翻訳家を目指すまでになりました。そんな人が増えてきたあたりで、翻訳スクールを開講したり、翻訳家のエッセイの本を増やしたりしています。韓国が好きな仲間として、お店も一緒に成長していっていると思います。


ーー韓国の本で繋がる場所として、どのようなことをされていますか?
チェッコリでは毎年、文旅(文学で旅する韓国旅)と称して、お客さんと一緒に韓国の作家に会いに行ったり、小説の背景となった場所を訪れるなどのイベントを行っていました。

韓国の作家や翻訳家を招いたオンラインイベントを年間80〜100本のペースで開催しています。そのようなイベントに参加された方たちと交流し、より関係が深まっていきます。また、お客さんは今、何に関心があるのかということが、イベントへの反応などで感じられるので、今後の企画に活かすことも出来ます。


ーーどのような本が売られていますか?
文学の本が一番人気がありますが、最近はフェミニズムや人権を扱う本が売れています。
韓国で今流行っている本なども仕入れています。韓国の理解を深めるための本がたくさんあります。絵本も多く、韓国語を学び始めた方が最初に翻訳する本として、買っていかれることが多いです。


ーー韓国文学の魅力は何だと思われますか?
韓国文学の大きな特徴は、韓国の社会問題をテーマにしているものが多いということです。
貧困問題や、男女差別、障がい者の問題など、日本の人たちが韓国のことをもっと深く知れるような問題を扱った小説です。そういった小説は、社会のことを知れることもそうですが、読んでいてすかっとしたり、あるいはその切実さに涙してしまったり、感情を大きく揺さぶられます。そういうところが魅力の一つだと思います。


ーー「チェッコリ」の今後の目標は何ですか?
韓国のものに触れてみたいと思う人が気軽に訪れられる場所として、人と人が本を通じて文化的交流ができるような場所として、存在し続けることです。


チェッコリの内部=7月18日、東京、本村沙也撮影


今回チェッコリを訪れてみて、韓国語を学びたての筆者でも、面白そうと感じる本がたくさんあり、棚に並んでいるハングルばかりの本を開くことにも楽しさを感じました。
温かく落ち着いた雰囲気の店内で、つい長居してしまいました。


韓国雑貨コーナー

韓国雑貨コーナー=7月18日、東京、本村沙也撮影


開催されているイベントも一度参加したことがあるのですが、翻訳者の方が翻訳の難しかった箇所や、韓国と日本の文化的表現の違いなどを話されていて、とても興味深かったです。
なによりそこに参加している人が全員韓国が好きで興味がある、という共通点があるということに嬉しさを感じました。


韓国にちょっと興味が出た時に、ふらっと訪れることができるチェッコリは、今後も様々な進化を続けながら「人々が本で文化的に繋がる場所」として変わらずにあり続けてくれると思います。


*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

eykim86@korea.kr