名誉記者団

2023.10.09

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「ハングルの日」を表現したイラスト=iclickart(上記の写真は著作権法によって保護されています。無断転載、転用、複製などの二次利用を固く禁じます。)

「ハングルの日」を表現したイラスト=iclickart(上記の写真は著作権法によって保護されています。無断転載、転用、複製などの二次利用を固く禁じます。)


【文=宇都礼子】

この記事を読んでる方は韓国に関心がある方ばかりでしょうから、韓国語の読み書きはお手のもの!という方も多いでしょう。

また、韓国語が読めなくても、最近日本国内のスーパーやコンビニ・テレビ番組に至るまで、ありとあらゆる場所でハングルを目にすることが増えたなぁと感じる方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。

さて、そんなみなさんに質問があります。

「生まれて初めてあなたがハングルを見た瞬間のことを思い出してみてください。その時どんな感想を持ちましたか?」

今回はみなさんが今思い出しているその気持ちとともに、是非ゆっくり鑑賞していただきたいオススメの展示をご紹介します。

東京都・新宿の四谷にある韓国文化院で開催されている「ハングル実験プロジェクト 近代ハングル研究所」という展示会です。

「ハングル実験プロジェクト 近代ハングル研究所」展示=宇都礼子撮影

「ハングル実験プロジェクト 近代ハングル研究所」展示=宇都礼子撮影


この展示会は「ハングル」が全体を通してのテーマとなっており、タイトルにある「ハングル実験プロジェクト」とは、デザインの観点からハングルを再解釈し、その価値にスポットライトをあてるという企画だそうです。

ソウルには、国立ハングル博物館という博物館があります。この博物館は、ハングルの歴史や仕組みなどを紹介しながらハングルの文字的・文化的価値を広く知らせるためにつくられたもので、歴史的な書物などおよそ1万点の関連実物資料の所蔵を誇っています。

国立ハングル博物館の全景=国立ハングル博物館

国立ハングル博物館の全景=国立ハングル博物館


今回の展示ではその国立ハングル博物館の所蔵品をもとに、デザイナーや作家たちがインスピレーションを得て新たな解釈を加えて創作した作品が多数展示されているんだとか。

アートに詳しくない私なりにこの展示会の趣旨を解釈すると…「こんなハングルの見方や魅せ方はどうですか?」というメッセージと受け取りました。

それでは早速展示室の中に入ってみましょう!

ハングルと人々との繋がりを比喩的に表したオブジェ、イ・ファヨン作家の「한HAN글文」(左)、韓国文化と西洋文化を融合したファッション作品、イ・チョンチョン作家の「馴染みのなさ、新しさ、そしてつながり」=宇都礼子撮影

ハングルと人々との繋がりを比喩的に表したオブジェ、イ・ファヨン作家の「한HAN글文」(左)、韓国文化と西洋文化を融合したファッション作品、イ・チョンチョン作家の「馴染みのなさ、新しさ、そしてつながり」=宇都礼子撮影


入口から早速個性的な作品がお出迎え。

様々な作品が所狭しと並べられていますが、その中でも私が気に入った作品を紹介したいと思います。

 5つの「ㄱ」/ 5つの母音(ユ・ジョンミン、2022)

5つの「ㄱ」/ 5つの母音(ユ・ジョンミン、2022)=宇都礼子撮影


韓国語を勉強したことがある人ならなんとなく読めそうで読めない?不思議なくねくねとした曲線が特徴のオブジェ。

まさしくこれは、外国人にとって馴染みのない文字であるハングルを眺める西洋人の視点を表現したものだそうです。

そしてなんとこの作品は長椅子と本棚として製作された作品でもあります。

長椅子はそれぞれ異なる形の5つの「ㄱ」を横に並べたもの。本棚は「ㅏㅑㅓㅕㅗ」の母音がデザインにあしらわれています。こんな本棚が飾られている空間があったらなんともおしゃれですね。

この作品のインスピレーション元となったのは、1880年にドイツ人・オッペルトが書いた『禁断の国・朝鮮』という書物に収録されたハングル反切表だそうです。

1880年にドイツ人オッペルトが書いた本「禁断の国・朝鮮」に収録されたハングル表=宇都礼子撮影

1880年にドイツ人オッペルトが書いた本「禁断の国・朝鮮」に収録されたハングル表=宇都礼子撮影


当時の西洋人からは、ハングルはこのように見えていたのか!と思うととても興味深いですよね。

展示会の入り口ではこのような作品のバッググラウンドを詳しく知ることのできる冊子も配布されています。

80ページあまりにわたって、それぞれの作品について紹介されている大変読み応えのあるものですので、是非この冊子を片手に会場内を廻ってみてください。

展示室の入り口でもらえる冊子。冊子の中には展示されている作品の説明のほか、ハングルの成り立ちについても詳しく説明されている=宇都礼子撮影

展示室の入り口でもらえる冊子。冊子の中には展示されている作品の説明のほか、ハングルの成り立ちについても詳しく説明されている=宇都礼子撮影


今回の展示を通じて、ハングルのそのデザイン性の高さと表現の幅に驚くとともに、思い出すことがありました。

私が生まれて初めてハングルという文字に出会ったのは小学校6年生の時。家族で行ったソウル旅行で街の看板を見たのがその出会いでした。

街を行き交う人々の姿はなんとなく日本人と似ているのに、書いてある文字はまるで呪文のようで解読不能。

『丸と棒で描かれていて、棒人間みたいな文字で面白いなぁ~』と感じたことを覚えています。

今ではその棒人間に見えていた形もしっかりと文字として認識できているなんて、それもまた不思議な感覚です。

韓国から始まり今や世界中に広がっている世宗大王の偉大な発明に思いを馳せながら、今回の展示をゆっくり楽しむことができました。

「ハングル実験プロジェクト 近代ハングル研究所」の開催は2023年10月17(火)まで。今回写真でご紹介した作品以外にも、興味深い作品がたくさん展示されています。

是非皆さんも初めてハングルを目にした時の、あの新鮮な気持ちを思い出しながら、その不思議な魅力に触れてみませんか?

*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が制作しました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

km137426@korea.kr