【文・写真=安 明美】
皆さん、アンニョンハセヨ。
今回は、大阪の中崎町にある大阪韓国文化院で9月と10月に開催されたワークショップに参加した体験をご紹介。
『ハングル・デザイン・ワークショップ』。 講師は、笑顔が爽やかな安起瑩 (アン・キヨン) 近畿大学 文芸学部 芸術学科 教授。
右: 安起瑩 近畿大学 文芸学部 芸術学科 教授 左: アシスタントの西野 里音さん
10月の秋晴れに開催されたワークショップには20名限定のなか、なんと150名の応募があったそうだ。
ハングルデザインの人気の高さがうかがえる。
まず最初に、安起瑩教授からハングルデザインの現状について紹介していただいた。
今や国家も認めるハングルデザイン。そのハングルが世界からも注目されている。
イタリアの高級ブランドがハングルでブランドのロゴをデザインし、フランスを代表するブランドもハングルジャケットを作るまでに、韓国言語も世界のデザインのトレンドになっている話を聞き驚きだ。
ハングルは人によって好みは分かれるが、字形と象徴性がひとつのデザインとして捉えれば それをみる人々に韓国文化の新たな魅力をあたえるかもしれない。
実際の韓国の街中の看板では、ハングルの字体でお洒落さや昔の雰囲気を表現したり 70年代・80年代のレトロ感満載も残る看板も多く目にする。
ハングルの意味がわからなくても街を歩く中で、韓国ドラマの現実世界が実現し、ドラマの主人公になったように楽しめる。
ハングルの字体でお洒落さや昔の雰囲気を表現した看板
時代背景が物語る中、数十年前に比べるとハングルはデザイン文化のひとつとして韓国を訪れる人々に 新しい楽しみ方や親しみ方の大きな役割を果たしている。
安起瑩教授は韓国出身で、私は韓国にルーツをもつ。
安起瑩教授から時折、ハングルがここまで日本をふくめ、世界中の方々に受け入れられている現状に驚いているとお話をされていたのを聞き、自身もそう思った。
昔は近くて遠い国だった韓国も、韓国ブームをきかっけに近くて近い国となっている。
ハングルが自分の生い立ちに関係がありつつも、日本で生まれ育ったこともあり馴染みが少なかった。
そのブームのおかげで初めて韓国言語に意識を向け、改めて学ぼうと思ったのも事実だ。
そのことをふと思い出しながら、ハングルデザインの話が終わっていった。
次は、ハングルをデザインとして用いたエコバッグ作りに挑戦していく。
ハングル×SDGs/ハングルデザインエコバック作り体験
エコバッグ作りは、無地のトートバッグ大小サイズにそれぞれ好きなハングルをデザインしていく試みだ。
教室
まずは、デザインするハングルを決め、試し書きとして用紙に心の中で思い描く言葉を下書きしていく。
私は、好きな韓国語を書こうと決めていた。
「마음(マウム:心)」、「하늘(ハヌル:空)」という言葉を。
小さいトートバッグ
大きいトートバッグには「마음」、小さいトートバッグには「하늘」を書くと定めたが、大きいサイズのバッグには 「마음」だけだとデザインがシンプルすぎるので、その言葉の前にもうひとつ好きな韓国語をプラスした。
「행복한(ヘンボックハン: 幸せな)」をつけ加え、「행복한 마음(ヘンボックハン マウム:幸せな心)」に最終決定。
大きいトートバッグ
そのままハングルを書くのもいいし、今回のワークショップはハングルデザインを学ぶ場でもあったので ハングルをアレンジして描きたいと思い、安起瑩教授やアシスタントの西野 里音(りおん)さんに相談して アドバイスを沢山いただきながら布に描くデザインの構想ができた。
あとは、このハングルデザインを何色で表現しようかと悩みながら、12色の布ペンの中から好みの色を選び 用紙に試したところで、布に一気に描いていく。
행복한 마음(ヘンボックハン マウム)。意味は幸せな心。
このワークショップでの体験は、それぞれが思い描くハングルという言葉を トートバッグのデザインとして表現できる時間だった。
最後には、ひとりひとりのデザインを安起瑩教授が紹介してくださり、トートバッグというキャンパスに描いた デザインの理由や意味などを対話にふまえ、それぞれが心を満たすハングルパワーの源を知ることができた。
韓国の詩、言葉、好きなアーティストのロゴ、愛する家族の名前や、好きな人たちの名前、好む食べものなど デザインも多岐にわたり韓国ラバーの情熱もおおいに伝わり楽しかった。
特に個人的に印象に残ったデザインは「돈(ドン:お金)」・ 「복(ボク:福)」・「사랑(サラン:愛)」を シンプルにハングルデザインをしたバッグがあった。
安起瑩教授の解説もユニークで「돈(ドン:お金)」・「복(ボク:福)」・「사랑(サラン:愛)」の順位は、奥深く 若い時は「사랑(サラン:愛)」・ 「복(ボク:福)」・「돈(ドン:お金)」で「사랑(サラン:愛)」が上位にくるが 年齢を重ねるごとに「돈(ドン:お金)」が優先順位の1番に上がってくるのは現実的だと、笑いを誘っていた。
なぜか頷いて納得している自分もいた。
ハングルデザインのバッグ
ハングルがデザインになって多種多様に受け入れられる現在。
ハングルによって人々の心に響く言葉がある。 それを今回のワークショップで得られたことに韓国をルーツにもつ私にとって すごく嬉しい機会となった。
皆さんは、お好きな韓国語はありますか。
もし、その韓国語をハングルデザインに選んだとき、言葉の意味を問いただすことで 今よりもハングルの奥深さをもっと学べるチャンスかもしれません。
*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。
hjkoh@korea.kr