オピニオン

2017.01.10

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K-Food(ケイ・フード)、K-Pop(ケイ・ポップ)、K-Drama(ケイ・ドラマ)の次は何だろうか。おそらくK-Beauty(ケイ・ビューティ)だろう。
韓国の化粧品産業が活況を呈している。その証拠として化粧品メーカーの「アモーレパシフィック」の株価が2年で4倍に跳ね上がったことを挙げられる。22億ドルの資産価値をもつこの会社は歴史の古い数多くの企業を差し置いて韓国最大の化粧品企業へと成長した。

海外の投資家らも韓国化粧品産業の成長に注目し、「K-Beauty」に対する投資を考えている。すでにゴールドマン・サックスは昨年だけで6億7,500万ドルを投資し化粧品ブランド「A.H.C」の企業支配権を確保した。また世界最大手のファッション企業体「LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン」も化粧品メーカー「CLIO」の5千万ドルに上る少数株主持分を買収した。

多くの海外化粧品メーカーも韓国化粧品の人気に対応している。フランスの「ロクシタン」とアメリカの「エスティ・ローダー」はすでに有望な韓国の化粧品メーカーの持分を買収しており、ほかにも韓国に投資しようとする企業は増え続けているという。

韓国企業はこの数年間、国内市場での成功を海外でも実現するために努力してきた。関税庁によると、2012年から2016年までの韓国化粧品の輸出増加率は160%を上回るという。韓国政府も最近中南米5カ国との自由貿易協定(FTA)を締結し、化粧品メーカーの中南米参入を本格化させている。

K-Beautyはどうやってこれほど短期間でグローバルな成功を収めることができたのだろうか。その答えは1つではない。

まずK-Popのことを考えてみよう。K-Popは世界の人々を魅了し米国で最も権威のある音楽チャートのビルボードを攻略し、UKシングルチャートでもトップ40入りを果たした。K-Dramaの場合アフリカをはじめ中東・東南アジア・南アメリカのファンを増やしている。音楽とドラマが大ヒットしたことで韓国の歌手や俳優らがグローバルな人気を博し、「韓国人の美」が美しさにおける1つの基準として浮上した。

さらに人気歌手や俳優らが化粧品ブランドのモデルに起用され、若いファンたちが自ずとその化粧品ブランドに興味をもつようになった。たとえば、俳優のキム・スヒョンや歌手のスジが新しい化粧品CMに登場するとそのたびに数百万人に上る世界のファンたちが注目した。

一方、K-Beautyが人気を集めたのはいくつかの化粧品ブランドが大成功を収めてからのことだった。グローバル市場で初めて大ヒットとなった製品はBBクリーム。保湿クリーム・ファンデーション・日焼け止めの機能をもつこの製品は世界の消費者から広く愛された。

実のところ、BBクリームは「韓国だけのもの」ではなかった。BBクリームを初めて開発したのも1960年代、ドイツの皮膚科専門医だったのだ。1980年代に入って韓国の化粧品メーカーがその製造方法を研究した末に商品化されたBBクリームは、ご存知の通り大きな成功を収めた。現在、BBクリームは韓国ビューティ市場全体の約15%を占めている。それから韓国のBBクリームはグローバル市場に広がり、やはり大きく成功した。

2011年にはアメリカ市場にBBクリームが紹介され、大ヒットを記録する。欧米の化粧品メーカーでも独自に開発したBBクリームを発売しているが、その人気を巻き起こしたのが韓国であることには異見がない。

BBクリームの成功以降、韓国企業はかたつむりの粘液で作った化粧品を発売し、2回目の大成功を手にする。アンチエージングに有効なかたつむり粘液はコラーゲンとエラスチンの生成を促進させ、ダメージを受けた肌を再生する効果がある。かたつむり化粧品もこの2年間でアメリカと欧州市場で高い人気を博した。そして多くの人々はその成功の裏に(今回も)「韓国」があったことを知った。

BBクリームとかたつむりクリームの成功で世界の人々が韓国の最新ビューティトレンドと革新に注目するようになった。ネット上でも「韓国人のビューティ・シークレット」をテーマにした書き込みが数えきれないほどだ。次に大ヒットする韓国のビューティトレンドを予測するブロガーたちもいる。

ビューティ製品に対する世界消費者のニーズはますます高まり、韓国企業らはもう一度化粧品産業に大きな転機をもたらすチャンスを狙っている。これら企業は今の世界的な韓国化粧品の人気に後押しされ「アジアの化粧品大国」になることを夢見ている。それが実現するか否かは時間だけが教えてくれるだろう。その希望が叶わないとしても、すでに韓国は好調なスタートを切っている。

イギリス出身のティム・アルパーさんは韓国在住歴しながら作家兼フリーライターとして活動している。
翻訳:コリアネット ソン・ジエ記者、イム・ユジン