オピニオン

2022.12.08

Hidden Charms of Korea_sool

칼럼용_박록담소장


朴碌潭(パク・ロクダム)
韓国伝統酒研究所長

韓国の伝統酒は5つの味を持っている。5つの味とは、甘・酸・辛・苦・渋。酒の色は金色で、花や果物の香りなど、かぐわしいのが特徴。韓国伝統酒の発達は、韓国独自の生活文化と深く関係している。

韓国人は昔から家ごとに酒を造って常備していた。家で造った酒という意味から「家醸酒」と呼ばれる。農耕生活に基づいた名節の伝統行事と酒は切っても切れない関係だった。旬のもので酒を造り、祭祀を行う時に用いた。また、食中酒としても飲まれる。客をもてなし、隣の人と「情」を分かち合う「接待酒」の役割も果たした。隣同士の交流を図る中心に「酒」があったのだ。

「名家名酒(名のある家に美味しい酒がある)」という言葉から分かるように、家ごとに様々な用途や目的による数千種類以上の酒が造られてきた。マッコリといった濁酒は、主に庶民層に人気があった。澄んだ酒である清酒は、「薬酒」とも呼ばれ、独特な香りと7つの味を持っている。冠婚葬祭などの重要な行事において飲まれていた。そのため、伝統酒の中でも特別な酒であるといえる。

「佳香酒」は、ツツジの花、菊、菖蒲など、手に入りやすい花びらや果実の皮などが使われ、自然の香りを楽しみたい時に造られた酒だ。季節ごとに、韓国人の風流や気質が反映された独特な佳香酒文化が誕生した。

「薬用薬酒」は、薬効と独特な香りがある生の薬材を加えて発酵させた酒だ。酒を単なるアルコール飲料・嗜好品として受け止めていないということが分かる。蒸留酒は大体「焼酎」と呼ばれる。主な原料や副材料の種類、造り方、副材料を使用するかどうか、酒を造る回数などによって様々な種類に分けられる。

使用目的によって、10日以内に発酵を終わらせる「速成酒類」、老人や病弱者のために甘く作られた「甘酒類」、1回の造りで済む「単醸酒類」、何回も発酵させる「重醸酒類」、季節によって造り方が違う「節気酒類」、焼酎に副材料をいれて飲む「混成酒類」、酒精強化ワイン(ワインを醸造する際に蒸留酒を加えて、アルコール度数を高めたワインのこと)に似ている「混醸酒類」などに分かれる。

韓国伝統酒は、醸造を2回行う「二醸酒」がほとんどだ。一番ベースとなる酒「ミッスル」(韓国語で「ミッ」は「下」「根本、元、基礎」を、「スル」は「酒」を意味する)と「ドッスル」(韓国語で「ドッ」は「加える」を意味する)、または2次ドッスルで構成されている。米を粉にひいて、水を入れて煮込んだお粥や色んな種類の餅、強飯などに加工した後、麹と水を混ぜて一定期間発酵させたミッスルに、もう一度米(強飯)を追加して発酵させる方法がメインだ。同じ米であっても、お粥や餅、強飯など、形によって味や香り、アルコール度数が異なる特性がある。好みによって様々な醸造法が根付いてきた。

韓国伝統酒の味や香りは、西欧のそれとは違う。酒の香りは、まず、酒の原料や酒を造る時期、麹の種類や品質によって決まる。酒を造る人の腕前や環境、熟成の加減によっても異なる。韓国人は、酒の主な原料である米と麹、水の調和や相互作用から自ずと造り出される自然の味と香りを重視する傾向が強い。

韓国伝統酒からはこういう香りがすると言い切ることができないほど、複雑な香りを持つのが特徴だ。米や麦、小麦など、酒の主な原料や発酵促進剤として使われる麹にはない天然の果実の香りと花の香りが、発酵の過程で生成されるためである。一つや二つの香りではなく、いくつかの香りが調和している。

韓国伝統酒は、韓国人の体質に合う米を使うため、他の材料で造った酒に比べ、人体への害が少なく、二日酔いにならない。旬の花や薬材などを加えて特別な酒を造ることもある。健康に有益な効果があり、自然の変化や季節が感じられる「風流」が盛り込まれていることが最も大きな特徴であり、メリットでもある。

Parkrokdam_illu

イラスト=イヤギ・ゴレ(物語・クジラ)


朴碌潭(パク・ロクダム)所長は、1987年から850種以上の伝統酒を復元するなど、韓国伝統酒の研究に尽力している。2006年から「韓国伝統酒研究所」の所長を務めている。