韓国チーズ産業の礎を築いた故チ・ジョンファン神父=任実郡
[キム・ファヤ、イ・ギョンミ]
韓国のチーズと言えば、「任実(イムシル)チーズ」。
韓半島の南西部に位置する全羅北道(チョルラブクド)の任実(イムシル)郡を代表する特産品であり、韓国チーズの歴史と言えるのがこの任実チーズだ。
韓国で生産されるチーズの中で、最高級品として認められる任実チーズを開発したのは、宣教のためにベルギーから韓国に来たチ・ジョンファン(本名ディディエ・セステヴァンス)神父だ。
1964年に任実聖堂の主任神父として赴任したチ神父は、農業に向かない環境の中、生活苦に悩む住民のために、自分が飼っていたヤギの乳を売り始めた。しかし、乳の売れ行きは悪く、その廃棄で悩んだチ神父は、ヤギの乳を使ってチーズ作りに挑戦することにした。
試行錯誤を繰り返し、1966年から小規模ながらチーズの生産を始めたチ神父は、1967年に韓国初のチーズ工場を建てた。任実チーズは、輸入チーズと比べて勝るとも劣らない品質と新鮮さで口コミが広がり、1969年には本格的な生産と販売が始まった。
半世紀にわたって任実郡に年間270億ウォン(約26億5100万円)規模の売り上げや1千億ウォン(98億2200万円)以上の経済効果をもたらし、任実郡を韓国チーズ産業の中心地にすることで地域経済の活性化に取り組んだチ神父は13日、死去した。
韓国政府は、1959年に韓国に来てからずっと、厳しい立場に置かれた人々を助け、韓国チーズ産業の基盤を築いたチ神父の功績を認め、勲章を授与した。
故チ・ジョンファン神父の葬儀に参例する農林畜産食品部の李介昊長官=15日、全羅北道・全州、農林畜産食品部
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