ひと

2022.05.03


[キム・ハヨン、イ・ギョンミ]
[映像=キム・シュンジュ]

動画配信サービスApple TV+で配信中のドラマシリーズ「パチンコ」。ベストセラーとなった作家ミン・ジン・リーの同名小説を原作としており、1910~1980年代までの韓国激動の歴史を背景に、在日コリアン4代を描いた。

Korea.netは先月15日、同ドラマのシリーズのクリエーター兼ショーランナーでもあるスー・ヒュー氏にオンライン・インタビューを行い、ドラマの話を聞いた。

ヒュー氏は、このドラマを制作した背景について「韓国人だけでなく我々の家族、皆さんの家族を超え、全世界の家族の物語を描いていると思う」とし、「(家族の物語というものは)非常に大事で美しいので、物語に息を吹き込みたかった」と説明した。

韓国の釜山(プサン)で生まれ、1歳の時に米国へ移住したヒュー氏は「私が(ドラマの中の)ソロモンと同じ立場なので、『パチンコ』は私が制作しなければならないと思った」と話した。

また、「米国で少年時代を過ごしながらも、自身はアメリカ人でなことを感じ、韓国でも韓国人ではないことを感じた」とし、「多くの移民者と同じく、いつも半分に分かれていると感じた」と話した。続いて「この感情は、自分を強くしてくれたが、時には共同体に入りたいと思わせた」と話した。

その上で、「何代もの世代を経てきた韓国系アメリカ人が、自分自身の経験を表現する方法を身につけてきている」とし、「パチンコの制作を通して、これまでで一番韓国人になれた気がして誇りに思う」と話した。

ヒュー氏は、ドラマを制作する上で、「親世代の苦労を理解し、もっと上の世代の痛みを考えた」とし、「(おかげさまで)家族と仲良くなったと感じる」と語った。特に「原作に忠実に作り、(見る側に)作品中のすべての世代が、互いに繋がっていると感じられるように、心血を注いだ」と強調した。

視聴者には、歴史の本を読むかのような古さを感じさせず、できる限りリアルに感じてもらえるよう尽力したという。「韓服やテーブルの上の食べ物など(ドラマに出てくる)すべてのものが実際に触れられるかのように感じさせたい」と思ったそうだ。

ヒュー氏は、「何よりも、韓国人に『尊厳』を感じてもらうことが重要だった」と語気を強めた。

そのために、様々な挑戦があったという。台本には、韓国語・日本語・英語の3つの言語があり、各言語も標準語、方言を区別して使わなければならなかった。

ドラマの制作において、翻訳に1年以上かかったという。ヒュー氏は「英語ができる俳優も、全くできない俳優もいた。撮影現場に、俳優より通訳士の人数が多い時もあった」と笑った。

韓服やキムチなど、韓国の伝統文化を時代に合わせて表現することにも細心の注意を払った。

韓服の場合、同ドラマの衣装監督と共に、実際に当時着用した韓服を再現するために、衣装考証を行うなど、細かい部分まで気を配った。

米紙ニューヨークタイムズ(NYT)は9日(現地時間)、「One Garment’s Journey Through History (訳:衣服の歴史を貫く旅)」と題した記事を掲載し、「韓服の進化は、韓国歴史をうかがい知ることができるレンズのようなものだ。『パチンコ』がその事実を示してくれる」と報じた。

この記事に触れ、韓服の製作過程について聞くと「生地が古ぼけて見えるよう、いろんなことをした」と答えた。続いて、「(ドラマの)ソンジャとヤンジンが暮らしていた時代の人々は、わずか数着の韓服しか持っていなかったため、繰り返し選択して着ていた」とし、「衣装チームは(視聴者に)当時の服の雰囲気を感じてもらうために、実際に天日干しした」と説明した。

K-POPをはじめ、韓国ドラマや映画など、韓国コンテンツが世界的人気を博していることについてヒュー氏は「とても誇らしいことだと思う」と話した。

その上で「韓国文化は数千年にかけて維持されてきた。『イカゲーム』は、米国だけを狙ったドラマではない。世界全体が韓国文化のすばらしさに驚いている。(世界が韓国文化を愛する)このような現象がさらに広がってほしい」と語った。

hayeounk8@korea.kr