フランス人の受講生20人余りが韓国語の授業を受けている=9月5日(現地時間)、フランス・パリ
[シャルル・オドゥアン、チョン・ジュリ]
[写真=フランス拠点世宗学堂]
「学期ごとに受講生数が増えています。去年の下半期には209人の受講生がフランス拠点の世宗(セジョン)学堂で韓国語の授業を受けましたが、今年の上半期には292人、下半期には400人を超えました」
フランス・パリの現地の人のために韓国語授業を運営し、欧州内27カ国57カ所の世宗学堂の運営を支援しているフランス拠点世宗学堂のシン・ヨンジ事務所長が伝えた言葉だ。 2022年に開院したフランス拠点世宗学堂は、昨年下半期から3学期にわたり韓国語の授業を運営している。
フランスは欧州の中でも、韓国語に対する学習意欲が高いことで代表的な国だ。韓国語能力試験センターと駐フランス韓国教育院によると、韓国語能力試験(TOPIK)のフランス人受験者数は、2018年292人から2022年780人へと2.5倍以上に増加した。昨年は欧州16カ国のうち、ドイツ(626人)と英国(506人)を抜き1位を占めた。TOPIKを実施する国家全体のうち、韓国語教育の需要が高いアジア圏を除けば、米国に次いで最も多い。
シン所長はハングルの日を迎えて、コリアネットとの書面インタビューで「韓流のファンでいることにとどまらず、韓国を知っていく過程で、自然に韓国語を学ぼうとする受講生が多い」と話した。次はシン所長との一問一答。
- フランス拠点世宗学堂で行う授業のプログラムについて聞きたい。
世宗学堂財団で開発した教材と教員指針書、学習本、モバイルアプリなどを活用してハングルを身につけるハングル入門クラスから韓国語初級課程4段階、中級課程3段階に細かく分けた教育課程を提供している。受講生を対象に実施したアンケート調査では、韓国語を学習する動機として「韓国語の習得」、「韓国文化に対する関心」、「韓国旅行」という答えが多かった。この点を考慮し、旅行に使える韓国語、韓国語会話の発音クラスのような特別クラスも開設される。この他にも書道、韓服(ハンボク)、韓国料理など多様な韓国文化体験プログラムを提供する。
- 韓国語の授業を提供する多様な機関の中でも、世宗学堂だけの差別点は。
フランス政府が公認するフランス語の教育ブランドに、アリアンスフランセーズがある。それと同じように世宗学堂は、大韓民国政府が公認する韓国語の教育ブランドだ。世宗学堂の特徴としては、優秀な教授陣と教材が挙げられる。世宗学堂の教員は皆、韓国語教員の資格証を所持する者か、韓国語教員の養成課程を履修した者だ。世宗学堂で活用する世宗学堂専用教材「世宗韓国語」は、国立国語院が開発した教材で、全世界の韓国語の教育分野において最も広く活用されている教材だ。政府開発教材がそろっていれば、信頼度は十分だと思う。また、韓国語の授業だけでなく、多様な韓国文化体験を提供するため、言語と文化を通じて韓国を深く理解する機会を提供している。
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- フランス拠点世宗学堂の受講生たちの特徴は。
受講生の年齢層が10代から70代まで幅広い点を挙げたい。就職や留学のような特定の目的のために韓国語を学ぶより、韓国の文化や韓国語そのものに対する関心から韓国語を学ぶ受講生の割合が高い。世宗学堂で韓国語の授業を受講する申請者を対象にしたアンケート調査の結果、韓国の文化をより深く理解しようとする学習に対するモチベーションが20%以上で最も高かった。実際、字幕なしで韓国ドラマを楽しみ、K-POPをまねして歌うなど、韓国の文化をより楽しむために韓国語を学ぶ受講生が多い。
- フランスの受講生たちが韓国語を学ぶとき、最も興味を持っている部分は。逆に最も難しい部分は。
初級課程のある受講生は、韓国語が外国語の中で最も美しく聞こえ、柔らかくてあたたかい言語に感じるという。また、ほかの言語にはない韓国語ならではの表現が一番興味深いそうだ。一方、聞いて理解することより、話すこと、言葉で表現することが難しいという。会話においては、十分な練習が必要なので、受講生同士で勉強会を開いたり、韓国人留学生と言語交換をする受講生もいる。
- 記憶に残る受講生がいるか。
国際関係学専攻の授業で、韓国の歴史に触れたことをきっかけに関心を持ち、着実に韓国語を勉強している学生がいる。今後、外交官になって駐韓フランス大使館に勤めるのが目標だという。また、71歳の最高齢の受講生もいる。学期末に習熟度評価を行うが、若い学生たちが厳しいと感じる項目で高得点を得た優秀な受講生だ。
- 欧州で韓国語と韓国の文化に対する認知度はどのように変化しているか。
現在、ヨーロッパではK-POPをはじめとして「パラサイト・半地下の家族」、「イカゲーム」、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のような韓国映画やK-ドラマから始まった韓国文化に対する関心が大衆的に拡大した。現在では、韓流ファンという枠を超えて、韓国について理解を深めながら韓国語を学ぼうとする人が多い。
- 最後に、フランス拠点世宗学堂の今後の目標と計画は。
フランス拠点世宗学堂は、フランスだけでなく欧州全体の韓国語教育のための教育機関を支援し、教員の派遣を拡大するなど、量的成長のみならず現地の教員の専門性を強化し、欧州地域での韓国語教育の内実を強化する質的成長を目標にしている。フランス拠点世宗学堂が、欧州全域に韓国語と韓国の文化を普及し、韓国と欧州の活発な文化交流をリードする中心的な役割を果たせるよう、多くの関心と応援をお願いしたい。
フランス拠点世宗学堂のシン・ヨンジ事務所長
caudouin@korea.kr