[均衡発展]
地域首長から聞く#1:江原道
韓国社会は現在、低成長・(富裕と貧困の)両極化・少子高齢化・地方消滅などの問題を抱えている。この問題を解決するために、韓国政府は、均衡発展を通じた国家経済の跳躍をビジョンとして揚げた。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、去年2月に行われた国家均衡発展のビジョン宣布式で「分権と包容(包摂)、革新の価値を基盤に、地域が主体となった均衡ある発展を目指す」と明らかにした。したがって、各地域は、分野ごとに均衡発展を促進させるために取り組んでいる。
コリアネットは、韓国政府が行う国家均衡発展のビジョンと推進計画などについて、江原道(カンウォンド)の崔文洵(チェ・ムンスン)知事に聞いてみた。
インタビューに応じる江原道の崔文洵知事
[江原道=パク・ヘリ、キム・ウニョン]
[写真=ゾン・ハン]
[映像=キム・シュンジュ、チェ・テシュン]
「江原道を平和特別自治道にしたい」
江原道の崔文洵知事は、国家均衡発展に向けた目標についてこのように語った。唯一、南北(韓国と北朝鮮)に分断されている江原道で、経済・文化・観光分野において交流を活発に行いたい。また、南北関係に関することは、江原道民と話し合いながら決定する地域に育てたいとのことだ。
去年2月に江原道の平昌(ピョンチャン)では、2018年平昌冬季オリンピックが成功裏に終わった。その過程で、崔知事は地域均衡発展を未来に繋げるために奮闘している。
コリアネットは、江原道が推進する国家均衡発展の計画について、先月17日、江原道庁を訪れ、崔知事の話を聞いてみた。
-2018年平昌冬季オリンピックが開催されてから1年が経ったが、感想を一言。 何よりもオリンピックが成功に終わったことに感謝している。オリンピックを通じて、韓半島に平和ムードが醸成されて、とても嬉しい。
-オリンピックを通して地域均衡発展の成果はあったか。江原道は、鉄道・空港・港湾などの交通インフラが他の地域に比べて、構築できてなかったが、オリンピックの開催により大きく変化した。江原道東部にある江陵(カンヌン)市を中心に他地域に行き来しやすい環境となった。
-その後、注力している部分は。現在まで、非武装地帯(DMZ)一帯が注目されている。江原道の鉄原(チョロン)郡、華川(ファチョン)郡、麟蹄(インジェ)郡、楊口(ヤング)郡、固城(コソン)郡、5地域を「平和地域」と名付けた。軍事的緊張が高まる地域というイメージが強かったため、観光や経済などの活動には向いてなかった。だが、オリンピックを契機に韓半島に平和ムードが醸成され、この地域に様々な投資が行われている。
-オリンピックの成果を基に推進するプロジェクトは。南北が分断されていることと険しい山地を整備するのに多くの費用がかかることで、韓国戦争以来、江原道には鉄道線路が敷かれていなかった。だが、オリンピックを契機にソウルから出発する江陵行きの鉄道が開通した。現在、ソウルから束草(ソクチョ)行きの鉄道も設計しているところだ。
特に、平和地域と廃鉱地域をバランスよく発展させるため、総合的な計画と政策を樹立する平和地域発展本部を設置した。今年から地域ごとに「生活SOC(社会間接資本)」「文化芸術公演」「軍人用施設」に投資している。多くの人々にDMZ観光を楽しんでもらいたい。江原道という地域が、北朝鮮へ行くための重要な拠点になることが目標だ。
これまで、江原道はエネルギー40%を炭鉱地域に提供してきた。だが、石炭産業が斜陽産業となり、江原道の事情も変わった。これからは、廃鉱地域発展センターを建てると同時に、総合的な計画を立てて新たな発展を摸索したい。
インタビューに応じる江原道の崔文洵知事
-特に、均衡発展のために注力しているところは。特定の分野で均衡発展が必要だとは思ってない。江原道民が均衡ある発展や生活の質の向上を目指し、努力しなければならないからだ。全分野と全地域で均衡ある生活の質が向上できるように力を入れている。
江原道民の生活の質は、経済に繋がっている。その中で最も重要なことは、雇用創出だ。今まで江原道での雇用率は、韓国最下位だった。2017年から韓国の平均値並みに回復した。今年は63%まで引き上げることを目標としている。
-これからの目標は。江原道を「江原平和特別自治道」にすることだ。均衡発展政策を推進するため、中央と地方は調和と均衡ある発展を目指す、地方分権が重要だ。江原道民が自ら決定しなければならない。
-コリアネットの読者に伝えたいことは。 江原道は、韓国最高の観光地として知られている。去年、江原道を訪れた観光客は1億300万人を超えた。外国人観光客は300万人に至る。本当に感謝している。今年は、2018年平昌冬季オリンピック1周年記念式を始め、様々なイベントが行われる。江原道を訪ねて、自然・文化・芸術・スポーツを楽しんでもらいたい。
hrhr@korea.kr