韓米共同研究チームが、3Dプリンターで製作した人体組織の生体への移植に成功した。
韓国の科学者4名と米ウェイクフォレスト医科大学研究チームは15日、「3Dプリンターで製作した耳・あごの骨・筋肉組織をマウスに移植したところ正常に機能し、血管も新たに成長したのが確認された」と明らかにした。
今回の研究にはポリマーと生きた細胞、必要な栄養素が詰められた「バイオインク(bioink)」と独自開発したバイオ専用のプリンター「組織・臓器統合プリンター(Integrated Tissue-Organ Printer, ITOP)」が使われた。

韓米共同研究チームが3Dプリンターで製作した耳
研究チームはまず、ウサギの軟骨細胞を軟らかいハイドロゲルと混ぜて3Dプリンター用のインクを作り、そこに凝固すると硬くなる生分解性プラスチックを加えた。従来の3Dプリンターで作った身体組織には軟らかい性質のハイドロゲルが入っているため、形が崩れやすいという問題があった。今回は、ノズルからインクを噴射しながら幾層にも積み重ねることで、柔軟でありながら形も崩れない実際の耳のような人工耳を作り上げた。
筋肉を作るときはインクに筋肉細胞を、骨には骨細胞を入れた。とくに、組織と組織の間に細かい空気の通り道があるため、酸素から栄養成分に至るまでが実際の生体組織のように行き来することができた。
このようにして作った耳・あごの骨・筋肉組織をマウスに移植したところ、耳は2ヶ月後に軟骨組織が正常に機能し、周辺の血管も移植した耳の中にまで伸びていた。骨格筋も正常に機能し、神経も繋がっていた。また、あごの骨も移植から5ヶ月経過後も何ら問題がなかった。
今回の研究に参加した蔚山(ウルサン)科学技術院生命工学科のカン・ヒョンウク教授は「3Dプリンターで小さくて軟らかい生体組織を作ったことはあったが、生分解性プラスチックを利用して比較的大きくてかつ硬い生体組織を製作したのは今回が初めてだ。如何にして内部の人工血管を作り、円滑に栄養分と酸素を供給するかについてのさらなる研究が求められる」と話した。

骨細胞とハイドロゲルを混ぜ合わせたインクを使って3Dプリンターであごの骨の組織を作る過程

韓米共同研究チームが開発した3Dプリンター「組織・臓器統合プリンター(Integrated Tissue-Organ Printer, ITOP)」
コリアネット ソン・ジエ記者
写真:ネイチャーバイオテクノロジー
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