科学技術

2025.06.09

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二つの黄色いボールは電子を表し、その下の白い目盛りは距離を測定するという意味=延世大学校キム・グンス

二つの黄色いボールは電子を表し、その下の白い目盛りは距離を測定するという意味=延世大学校キム・グンス


[キム・ソナ]

韓国の研究チームが、固体物質にある電子の「量子距離」の測定に成功した。

科学技術情報通信部は6日、延世(ヨンセ)大学のキム・グンス教授とソウル大学のヤン・ボムジョン教授らの共同研究チームが、固体物質における電子の「量子距離」を測定することに成功したと「サイエンス」に発表した。

「量子距離」とは、量子状態にある二つの電子が持つ類似性を数値化したもので、量子技術の精密度を左右する重要な指標とされる。二つの粒子が完全に同じ状態であれば量子距離は0に、完全に異なれば1になる。量子演算の正確度を評価し、状態変化を追跡するための重要な情報となる。

最近は、量子距離が、固体物質の中の電子の量子距離が超伝導現象など、複雑な物理現象とも密接な関連があるということが明らかになり、注目を集めている。 しかし、これまでは量子距離の間接的な推定にとどまっていた。

研究チームは、構造が単純な黒リンに注目した。ヤン・ボムジョン教授の研究チームは、黒リンの電子量子距離が波動の位相差によって決まるということを明らかにした。また、キム・グンス教授の研究チームは、各分解光電子分光(ARPES)実験を行い、位相差にともなう検出信号の強さを精密測定し、量子距離の測定に成功した。

キム・グンス教授とヤン・ボムジョン教授は、「建築物を安全に建てるためには正確な距離測定が必須であるように、量子技術の開発にも正確な量子距離の測定が必須である」とし、「量子コンピューティング、量子センシングのような多様な量子技術全般に、活用できると思われる」とした。

sofiakim218@korea.kr