社会

2023.09.01

日本から来た6人の生徒たちが「記憶と平和のための1923歴史館」で、関東大震災と朝鮮人虐殺に関する朗読劇の講演後に挨拶をしている。=8月25日、忠清南道・天安市

日本から来た6人の生徒たちが「記憶と平和のための1923歴史館」で、関東大震災と朝鮮人虐殺に関する朗読劇の講演後に挨拶をしている=8月25日、忠清南道・天安市



[忠清南道・天安市=コ・ヒョンチョン]
[写真=コ・ヒョンチョン]

「多くの人が被害にあった関東大震災。その裏でもう一つの悲惨な物語があった。人から人へ伝わる根も葉もないうわさで多くの朝鮮人が命を奪われた。定かではない噂をうのみにし、暴力をふるうことは決して許されない」

関東大震災100年を1週間後に控えた、先月の25日、忠清南(チュンチョンナム)道・天安(チョンアン)市にある「記憶と平和のための1923歴史館」で開かれた朗読劇「約束は今も」で、日本から来た6人の生徒たちが伝えたメッセージだ。

朗読劇は関東大震災当時、虐殺された朝鮮人のク・ハギョンと彼の墓を建てた日本人の宮沢菊一郎の友情を描いた。日本でも先月1日、さいたま市で上演された。

関東大震災は1923年9月1日午前11時58分、関東地方で発生したマグニチュード7.9の地震だ。地震以後「朝鮮人が火をつけた」、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマが広がり、多くの人が虐殺された。このような歴史的事実を伝えようと、日本から6人の生徒(上條つなぐ、小林輝隼、井野拓琉、高比良あかり、大濵七海、大濵広海)が初めて韓国を訪れた。シナリオを書いた生徒とイラストを描いた生徒は都合上、今回訪韓できなかった。

この日、現場を訪れたコリアネットは、日本と韓国での朗読劇に両方とも参加した唯一のメンバーである大学生の高比良あかりさん、ク・ハギョン役を演じた高校生の大濵広海さんにインタビューを行った。


(左から)高比良あかりさんと大濵広海さん。先月25日、忠清南道・天安市にある「記憶と平和のための1923歴史館」で開かれた朗読劇「約束は今も」の舞台に上がる前に行ったコリアネットとのインタビューで、高比良さんは「人類の平和に関心がある」と話した。大濵さんはこの作品への参加に対し、「戸惑いは全くなかった」と話した。

(左から)高比良あかりさんと大濵広海さん。先月25日、忠清南道・天安市にある「記憶と平和のための1923歴史館」で開かれた朗読劇「約束は今も」の舞台に上がる前に行ったコリアネットとのインタビューで、高比良さんは「人類の平和に関心がある」と話した。大濵さんはこの作品への参加に対し、「戸惑いは全くなかった」と話した。



- 朗読劇に参加したきっかけは。
高比良:
昨年、日本語で翻訳出版された「飴売り具學永(ク・ハギョン)」の本を読んで関東大震災と朝鮮人虐殺について知った。普通の書店にはなかなか置いてなくて、問い合わせて入手するしかなかった。まだ日本人の中には、関東大震災と朝鮮人虐殺について知らない人の方が多いと思う。だから、朗読劇に参加することで、もっとみんなに知らせなければと思った。

- 関東大震災と朝鮮人虐殺について知った時、どう思ったか。
大濵:
ショックだった。でも、もっとショックだったことは、関東大震災と朝鮮人虐殺について周りに聞いても、知っている人が誰もいなかったこと。だからこそ、このような歴史をみんなにちゃんと伝えなければと思った。
高比良: 地震で家族を失う悲しみを知っている人たちが、虐殺を始めたということに心が痛んだ。心の傷は共有して分かち合うべきなのに、人が人を殺しながら悲しみを大きくさせたということが信じられなかった。

- 朗読劇で特に重きを置いた部分は。
高比良:
「自分のこと」として捉え、感情が伝わるようにすること。朗読劇では声だけですべてを表現して伝える。読むときの強弱、リズム、速さなどに気をつけながら、何回も録音して練習した。朗読劇を見てくれた人たちが、関東大震災と朝鮮人虐殺という歴史について忘れないでほしい。時間が経ったら劇のあらすじは記憶からだんだん薄れていくと思うが、劇を見ながら心の中で何かを感じたということは忘れないでほしい。

- 関東大震災と朝鮮人虐殺というテーマだが、やりづらさは感じなかったか。
高比良: 応援してくれる家族がいるから大丈夫だ。歴史はもう起きてしまったことなので、変えられない。歴史的事実はありのまま伝えなければならないと思う。まずは、歴史を知ることからなので、朗読劇を見てくれた人たちに、ちゃんと知ってほしいという思いで参加した。

- 今回の朗読劇を通じて期待することがあるか。
大濵:
 これからも日韓の交流がずっと続いてほしい。僕は韓国の袋ラーメンが本当に大好きだ(笑)。もし、日韓関係が悪化して、日本で韓国の商品やコンテンツを楽しめなくなったら、とても残念だと思う。
高比良: 自分の考えを持って、自ら判断し、行動できる若者が増えてほしい。犯した間違いについては、しっかり責任を取るべきだという考えが広まってほしい。私はこれから先も歴史と真実を伝えるための活動をしていきたいと思う。

hjkoh@korea.kr